スタッフの商品日記 108 森正洋デザイン G型しょうゆさし

使う人、生産者、流通の現場も考えながら生まれた、白山陶器の代表作G型しょうゆさし

プロダクトデザイナー森正洋によってデザインされ、1958年の製造開始から現在まで長く生産され続けているG型しょうゆさし。窯の中でそれまで波佐見町でメインに作られてきた土瓶1個分のスペースに、醤油さしなら3個入れることができ、かつ土瓶の3分の1の燃料で効率よく焼くことができる、と生産効率までを考え、使う人、生産者、流通の現場も考えながら生まれた、白山陶器の代表プロダクト。

 

誕生

プロダクトデザイナー森正洋が、多摩美術大学工芸図案科卒業後、長崎県窯業指導所デザイン室に勤務し、五島白土を用いた試作を研究テーマとして与えられ、ソースポットをデザインした。そのポットが東京の物産展示場に展示された後に松屋のグッド・デザイン・コーナーの審査に持ちこまれる。そこでは改良の余地ありと判断されたためデザインを修正。そして1957年、日本デザインコミッティ(1953年に国際デザインコミッティの名称で発足し、日常の暮らしに良いデザインを広めるための熱いデザイン運動としてスタートしている。)の常任メンバーだった岡本太郎がたまたま森がデザインしたしょうゆさしを見つけ、再度日本デザインコミッティーの定例審査会に提出。注ぎ口の位置などについて使用者の観点から意見が交わされ、その後2種類のしょうゆさしがデザインされたが、一方は尻漏れしてしまいもう一方はフォルムが気に入らなかったため、1958年に改良版ソースポットとしょうゆさしが再びグッド・デザイン・コーナーの審査に持ち込まれた。森は「これだけ言われるということは、しっかりしたしょうゆさしに近づいたということだ」と考え、しょうゆさしを改良したという。そして晴れて、1960年G型しょうゆさしを含む一連の食器が日本デザインコミッティの第1回グッドデザイン賞を受賞する。グッドデザイン賞を受賞したことから「G型しょうゆさし」と後に命名された。

 

特徴

入れる中身、使われる場所、握り、注ぎなど、あらゆることを素直に考えてつくられ、安定感、持ちやすさ、そして後引きしにくい注口の作りのよさが特徴。手にすると、自然と親指と中指がくびれた首部分を掴む所作になり、蓋の空気穴を人差し指で押さえることで使う量を調節しやすくなる。醤油を補充しやすい広めの口は、内側を綺麗に洗いやすいという利点もある。


 

製造

400年の歴史をもつ窯業の地・波佐見でつくられ、半世紀以上も家庭や飲食店で使い続けられている。また、品質やデザインが変わらぬよう、原材料はじめ、道具、型、気候の変化に気を配りながら製造されている。


▲素焼窯に積まれている様子


▲釉薬をかけているところ


▲完成したG型しょうゆさし(大)天目

 

つづく産業

G型しょうゆさしをはじめ、森正洋のデザインした器たちは白山陶器株式会社で作られている。森正洋は1956年に同社に入社、社員デザイナーとして約20年間を過ごし、2005年11月に亡くなるまで顧問デザイナーを務めた。白山陶器株式会社は1779年に創業し、「なにより使いやすく、生活の中になじむものである」ことを原点に、長崎県の波佐見町で器づくりを行う陶磁器メーカー。デザインから成型、絵付、施釉、焼成まで全ての工程を自社内において一貫生産している。日本人の日常の生活シーンをイメージしながら、華美でも平凡でもなく、使っていて飽きのこないデザインを追求し続け、これまでに100点以上もの通産省のグッドデザイン賞、ロングライフデザイン賞を受賞している。長年、食器を作り続けてきた老舗のメーカーが行き着いた形には、日本人の生活にぴったりと寄り添うようになじむ、使い心地の良さがあり、時代を超えて多くの人に長く愛用されている器を作り続けている。

 

お気に入りのポイント

1958年に発売され、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞も受賞した白山陶器の醤油差し。森正洋氏の代表作としても広く知られています。d47食堂ではカスターにこの醤油差しが必ず常備されています。注ぐ量の調節ができるように蓋には穴が開けられており、片手で持っても注ぎやすく、ちょうど良いサイズ感。蓋を開けると注ぎ口も広いので、醤油の補充もしやすいです。どんな食卓でも溶け込む様なシンプルなデザインなのも、おすすめポイントの一つです。(山田果穂/d47食堂)

 

【引用・参考】
『HAKUSAN press 2018』白山陶器株式会社 、森正洋を語り・伝える会(2012)『森 正洋の言葉。デザインの言葉。』 株式会社美術出版社

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