スタッフの商品日記 090   柳宗理 ステンレスケトル

ツマミのバランスにもこだわったケトル

誕生
1994年に発売されたステンレスケトルは、市場でのブランドシェアを確保するため、商品寿命が長く、価格、オリジナルデザイン、意匠登録のできる特徴を持った商品として開発、誕生。自家需要だけでなく、ギフトとして贈れることも考えられた。機能としては、突然沸騰しないよう注ぎ口を大きくし、湯が垂れることのないよう注ぎ口の仕上げを改善し、握っては手に馴染みやすく、テコの原理で力を入れなくてもハンドル後方の凹みに小指をかけると楽に注げるハンドルにするため、はじめに三次元モデルを作るなど、「注ぐ」ために必要な一連の動作がスムーズに行えるよう、念入りに検証を重ねて開発。すでに金型が出来て試作したものの柳宗理が「ツマミ」のバランスがどうしても納得がいかないということで再度型から作り直しになったことも。この「こだわり」がその後に続く「片手鍋」などに共通の部品として使用されている。2013年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。





特徴
一般的なやかんに比べて、平らで広い底面は、お湯を沸かす道具としての安定感があり、石油ストーブの上などでも安心。底が広いことで、熱伝導が効率的で、比較的お湯が沸く時間も早い。(ガス火・IH共に対応)蓋のフチ(横面)に穴が開いていて、お湯が沸くと、穴から横方向に蒸気が出て、持ち手部分に熱い蒸気がかからないように工夫されたデザイン。持ち手は、握った時に手にフィットする形状をしており、持ちやすい。蓋が大きいので、水を注ぎやすいのと、洗いやすさがストレスない点も長くつづく理由のひとつ。


製造
新潟県燕市にある日本洋食器で行われ、プレス、研磨、溶接など50を超える工程を経て作られている。注ぎ口だけでも10工程以上あり、高い技術力が要求される。

製作現場の様子




つづく環境
ステンレスは約50%のリサイクル原料が使用されている。ステンレスは耐蝕性に優れ長期にわたって使用でき、廃棄物となっても素材としての品位をほとんど低下させないため再利用が可能。工場で製造課程において発生した廃棄物(プレス加工の切断くずや不良品など)も回収され、電気炉で溶かし原料として再利用される。


つづく仲間
佐藤商事は1930年に東京・茅場町にて佐藤ハガネ商店の商号で個人創業された、鉄鋼・金属の専門商社。その中の一事業として、柳宗理デザインやDANSKといったキッチンテーブルウェアを取扱、企画。佐藤商事といえばマーシャンマークが特徴で、火星人を模したユニークなそのマークは、柳宗理シリーズにも刻印されている。

          


つづく暮らし
柳宗理デザイン事務所では、実際に模型を作りながら製作することで使いやすさを重視したものが誕生している。「これ見よがしの派手さやファッションを追ったようなものはかえって飽きが来る。本当の美しさは自然のままの姿にある。」と柳宗理氏が言った様に、シンプルながら使いやすさを重視したデザインであることで長く愛されるものになっているのではないかと考えられている。


メンテナンス
水気が残っていると錆の原因となってしまうので、お湯を入れたままにせず残り湯は捨てる。また、変色や錆の原因となるので、湯沸かし以外の用途には使用しない。食器用洗剤で洗い、よくすすいだあとは、水気を拭き取って保管。長く使用する中で、変色や錆が出てしまった場合は、市販のステンレスクリーナーやクリームクレンザーを乾いた柔らかい布に付け、磨く。クレンザーやクリーナーの中には研磨剤が含まれており、粒子によって表面に擦り傷が残る場合があるので、使用前に目立たない場所で試してから使用してください。ひとつのものを長く使っていただけるよう、修理や部品交換も受付している。




お気に入りのポイント
取っ手の高さもちょうどよく、注ぐときに脇を広げたり、手首に力を入れなくても良いなど、熱湯を扱う道具としての安定感が一番の特徴なのではないかなと思います。(背が高く、取手が大ぶりなヤカンは注ぐときの動作が大きくなるのが苦手)あと、ケトルはもちろん、同じく柳のフライパンや鍋などの調理道具のプラスチック部分は、修理や交換のために取り外せるようになっているのも良い。調理道具でダメになるのはパーツ部分の割れなどが多く、金属部分が使えなくなることはほとんどないことから、デザイナーさん達がこだわって設計されたそうです。一度買ったら一生使えてしまう!!!誠実なデザインもやっぱり魅力です。取っ手が片方に倒れるようにするための付け根のカットのカタチもキレイだなぁと思います。安定感とキリッとした細部のデザインが融合している、定番のなかの定番だと思います。(黒江美穂 / ディレクター)

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