スタッフの商品日記 110 アート用箋挟

半世紀以上選ばれつづけているクリップボード

誕生
1950年代に福井商事株式会社(現・株式会社ライオン事務器)から発売された、アート用箋挾(ようせんばさみ)。特に「立ったまま書く」という動作をするときに活躍する。1950年代の日本は、ボールペンやマジックペンなどの文具も、インク漏れせず実用できるところまで開発が進み、徐々に生活の中に溶け込み、一般的なものとして普及し始めた時代。高度経済成長期を迎え、多くの人々にとって働き方が多様化した時代と重なる。アート用箋挟は、仕事が多様化していく中で、工事現場の外仕事から、工場、事務など、あらゆる仕事現場で使われはじめ、急速に普及していった。

▲1959 年のライオン事務器のカタログ

つづく仲間
1792年の創業から230年以上つづく老舗企業、株式会社ライオン事務器。初代、今津屋小八郎により、「筆墨商(ひつぼくしょう)」として大阪で創業された。筆墨商とは、コピーや印刷がない時代に、書物を書き写すための筆などを販売する商いのこと。その後、時代の変化やニーズに合わせ、欧米の文具を輸入する商社からメーカーへと舵を切り、現在は、文具・事務用品・オフィス家具メーカーとして事業を拡大している。今も昔も時代のニーズを読み取り、日本の文具を支えつづけてきた。

特徴
下書き、ファイリングの両方の機能を取り揃えたアート用箋挟。日本の仕事現場で使われつづけてきたアート用箋挟には、選ばれる理由がある。炎天下の工事現場や油手になる工場など、過酷な環境下でも耐えうるようタフに使えることを想定。例えば下敷き部分の素材には、音響機器製品や車・スイッチ等でよく見られる「紙基材フェノール樹脂積層板」を使用。これは、フェノール樹脂を数枚に重ね、熱を加えながらプレスし硬化させているもので、熱や電気を通しにくく、耐熱性に優れる。そのため、炎天下の工事現場や車内に放置してしまっても、変形の心配がない。

▲炎天下でも変形しない
必要最小限かつ機能的なデザインにより、ストレスを感じることなく毎日使える。人は物について、体を使って感覚的に心地よさを感じるものだが、特に、書類をファイリングする金具部の滑らかな開閉、固定の強さ、金具の細さがなんとも心地よい。1つ1つの要素が積み重なり、アート用箋挟の上品かつ機能的な印象が実現されている。
▲シンプルかつ機能的な金具


▲数枚重ねる
▲木材の凹凸のある机の上で使う
▲ファイリングする

お気に入りのポイント
D&DEPARTMENT TOKYOで働く一日の中で、使わない日はないかもしれません。在庫管理をするとき、お客さまからのオーダーをお受けしているとき、勉強会のとき...。パッと取り出し、立ちながらメモをする際に必ず使っています。無意識のうちに、手に取っているほど身近な存在で、作業効率を上げてくれる道具の一つが、このアート用箋挟です。毎日無意識的に使う道具こそ、少しこだわり、壊れにくく、使いやすく、なおかつ最小限でも確かなデザインがされているような質の良いものを使うこと。それは、小さく積み重ねる心地よさだけでなく、長く使いつづけることでの経済面、作業効率面にも影響を与え、相対的に仕事の質が変わると思うのです。(金藏未優/東京店ショップスタッフ)