「にいだの感謝祭」に行ってきました。

創業312年目を迎えた仁井田本家による、年に1度の蔵開き「にいだの感謝祭2023」

D&EPARTMENT FUKUSHIMA by KORIYAMA CITY店長の山本です。
ただいまオープンに向けて準備中ですが、店舗でも取り扱いさせていただく「仁井田本家」でイベントがあることを聞きつけ、行ってきました。創業から312年目を迎えた仁井田本家の蔵開きである「にいだの感謝祭」は、年に一度の一大イベント!コロナの影響で、昨年の春に2年ぶりの再開となり、今年はより大きな規模での開催となったようです。

温かい陽気が続き、例年よりも早く桜が満開となった福島ですが、この日は風がとっても強く、冷え込んだ日になりました。毎年桜が咲く季節に雪が散らつくこともあるそうで、大阪から移住してきた私には衝撃!ですが、会場に一歩入れば、その寒さを忘れるぐらいの熱気と明るい雰囲気が漂っていて、自然とあたたかい気持ちに。

10月から4月にかけてお酒をつくる「仁井田本家」の蔵開きは、地元住民はもちろん、全国の仲間たちを巻き込みむイベントです!マルシェでは、たくさんの自然食の出店があり、飲食やお買い物が楽しめます。レジャーシートを敷いて花見を楽しむ家族もたくさん見られました。

福島店でも取り扱う「鈴木醤油店」の焼きおにぎりと、お漬物、そしてビビンバ専門店「ビビビ」のヤンニョムチキンをゲットし、さっそく日本酒「おだやか」と共にいただきます!カリカリに焼いていただいた焼きおにぎりは醤油塩とお味噌の二つの味で!美味しすぎてついついおかわり!どのお店も魅力的で、ワインに食事に財布の紐は緩みっぱなしです(笑)。
イベントを盛り上げるステージでは、仁井田本家への愛、知識、集中力が試される「にいだ杯」のほか、福島で注目のボーカルグループのライブや、蔵元による「仁井田くらもとーく」 が繰り広げられました。
そして、なんと普段は見ることのできない蔵見学も!!仁井田本家がつくる「自然酒」は酵母を添加せず、蔵にすみついた菌で育てます。麹菌が住む蔵に悪さをする菌を持ち込まないように、スリッパに履き替え、ヘアーキャップをつけドキドキしながら蔵の中へ。

まず、ご案内いただいたのはお米を保管している部屋。産地、銘柄が記載されたお米の袋がずらり。日本酒には、お米の真ん中の「心白 しんぱく」を使うため、お米を削り、洗う工程がとても大切だそうです。

この大きな機械で濾して米が蒸されます。

柿渋が塗られた、この部屋は酒母を育てる場所。

試飲させていただいた「にいだのごさん」は酸っぱくできてしまった誤算という意味と、酸っぱさの数値が5~3という意味をかけられたお酒。本当は販売予定のなかったお酒ですが、お客様の「飲んでみたい!」という声から販売することとなったそう。

仁井田本家では、酒母を手作業で造る製法、「生酛(きもと)造り」を行っています。お米を15分すり潰してお粥状にするのですが、15分の測り方も面白く、3分の歌を5セット、みんなで歌いながら仕込むそうで、お酒も美味しくなりそうです!

次に案内していただいたのは、麹室(こうじむろ)。ここでは、600kgの米に麹菌をふりかけ、寝かせます。菌は高音多湿を好むので常にあたたかくするため、ここでの作業は汗びっしょりになるそう。

そして、蔵人の皆さんは10~4月まで納豆を食べません!麹菌は納豆菌に負けてしまうので、ここにあるお米全てが納豆菌になってしまうのを避けるためです。

蔵の奥へと進んでいくと、これまでとは一変、厳かな仕込み室が待ち受けていました。伝統技術で自給自足なお酒造りを目指しながら、常に新しい酒造りの形を生み出している仁井田本家では、仕込み樽を2020年代から徐々に木桶に変更しています。全てを木桶にしていくわけでなく、色々な仕込み方ができるようにしていくそうです。現在木桶をつくる職人は全国でも少なく、自分でつくらないといけなかったため、スタッフ自らが木桶職人に学びに行き、習得してできた貴重な木桶を使用していると聞いてびっくり!

木桶には麹菌がすみついているので、昔ながらの重みのあるジューシーなお酒ができていくそう。これが仁井田本家の醍醐味で、味の変化もたのしめるのが特徴です。

なんと、ワインにつかう「アンフォラ」というかめを使って試作も!匂いを嗅いでみると、ほんの~りワインの香りが。中ではぶくぶくと発酵の様子が見れて面白い!

最後に、「船場」を見学。船場とは、昔、日本酒を搾るものが船のような形であったため今でも「船場」と呼ばれているのだそう。ここは醪(もろみ)を搾る場所。「薮田式圧搾機」という、鉄のいたに布がついており、布に酒粕がつくことで搾られ、でてきたものが日本酒。そして火入れ(殺菌処理)をして瓶詰めし、半年ほど寝かせて販売されます。
ここで、特別に搾りたての日本酒を味見させていただきました。普段、滅多に飲むことのできないものですが、この日は特別に数量限定で販売も!お祭りに来て、まさか日本酒のつくり方を、一から学ぶことができるとは思っていなかったのでとても嬉しかったです。 丁寧にご説明いただいた蔵人さんに感謝。
にいだの感謝祭は、終了までたくさんの人で賑わい、来場者数は1000人を超えたそう!私たちも最後まで、振る舞い酒と出店を楽しませていただきました。

酒蔵も初めてで、蔵開きに参加するのも初めて。生産者の「顔の見える」と いう表現をよく耳にしますが、ここではつくる方の顔だけでなく、人と人との関わり、地域とのつながりを直に感じることが出来ます。

福島に来てまだ1ヶ月半ですが、あたたかい方々に囲まれ、楽しく過ごしています。「ここにいる皆さんの強い強い絆や志を福島店でも紹介していきたい!」そう思いました。