福岡 久留米絣の織物

一反を使い切るものづくり

日本三代絣の一つとされ、福岡県南部の筑後地方で200年以上にわたって織られる久留米絣。「くくり」によって糸を先に染め、糸の染まった部分と染めていない部分を組み合わせて複雑で多様な柄を織り上げていきます。昔ながらのシャトル機で織られた生地は、限りなく手織りに近い風合いで、やわらかく丈夫に仕上がります。今回の特集では、福岡県八女市を拠点に“地域文化商社”としての活動を行う「うなぎの寝床」が提案する久留米絣のアイテムを通して、久留米絣の魅力と、一反を無駄にせす使い切るためのものづくりのアイデアをご紹介します。

 

炭鉱夫のワークウェアであったジーンズがファッションアイテムになったように、日本のワークウェアであるもんぺも日常着として楽しもうと提案された「現代風もんぺ」。従来のもんぺよりスッキリとした細身のシルエットになっているのは、小巾生地と呼ばれる日本の伝統的な織物の幅に合わせて作られているためです。もんぺを作る際に余る生地は、あずま袋やハンカチに仕立てることで、生地を無駄なく使い切る工夫がされています。

 

また、そもそも生地に無駄を出さないことを目指して作られたのがKAPPOGI(割烹着)です。小巾生地を裁断し接ぎ合わせるだけのシンプルな形は、襟ぐり部分以外はハギレがでないよう考えられています。

 

そして、久留米絣を織る際に必ず出る「くくり糸」。捨てるしかなかったくくり糸を巻き直し、その糸で作られたのが「久留米絣のための靴下」です。

 

今回の特集では、さまざまなアイテムを通して、久留米絣の模様や風合いの魅力、そして、無駄を出さないものづくりのアイデアも合わせて楽しんでいただければと思います。

福岡 久留米絣の織物

日程
2024/4/10(水)~5/6(月)
時間
11:00~19:00(火曜定休)
場所
D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA 3 Map プラザハウスショッピングセンター 2F

●お問い合わせ:098-894-2112(沖縄店)

久留米絣とは
福岡県 久留米・八女・広川・筑後を中心に発展してきた伝統工芸である久留米絣。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を括り(くくり)染める、先染めの織物です。できる模様は古典的なものから、現代的なものまで幅広くあります。久留米絣はそれぞれの工房で特徴があり、藍染手織りから、機械織りの化学染料染めまで技術と得意とする分野は多様です。
現代風 MONPE
地元の人から「家に眠っている久留米絣の着物で、もんぺを作りたい」と相談を受け、「うなぎの寝床」が型紙をデザイン。反物から効率よく作れるように考えた結果、腰回りもすっきりと細身になりました。負担がかかりやすいヒザの部分が補強されているなど、もんぺとしての機能性も残しながら、普段使いしやすいデザインです。
KAPPOGI
久留米絣を最大限に無駄なく活かす型を考えたいという思いから生まれた割烹着。小巾生地と呼ばれる幅が36~38cmの伝統的な生地幅を生かして、生地を裁断し接ぎ合わせて作られています。襟ぐり部分以外ははぎれが出ない、生地に無駄を出さないよう考えられています。
久留米絣のための靴下
久留米絣の柄や模様を生み出す「くくり」。「くくり」とは、糸を染め分ける防染技法で、織る前の糸を1本1本別の糸でくくることで、染まる部分と染まらない部分をつくり、それを組み合わせることで柄や模様を表現しています。くくり糸は染色が終わった時点で役目を果たしますが、"使い切る”ことを目指して、くくり糸を巻き直して生まれた靴下です。
福岡 久留米絣の織物

うなぎの寝床

福岡県八女市を拠点に地域文化商社としての活動を行う「うなぎの寝床」。地域文化を紐解き、担っている方々と対話し、ものが生まれる背景にある物語を掘り下げ、流通させる。加えて文化や風景と生活者をつなぐことで対話を生み、地域文化が今後どうなっていくのかをみんなで考えるきっかけをつくりだしている。