南條工房のおりんとLinNe

創業190年余り、京都府宇治市に工房を構える南條工房は、仏具のおりんや祇園祭の鉦などの鳴物神仏具を専門に製造する、国内でも数少ない工房です。

南條工房では銅と錫を用いた「佐波理（さはり）」という合金でおりんを製造しており、澄んだ音色と心地よい余韻が特徴。2019年に立ち上げたブランド「LinNe」は、「もっと身近に佐波理おりんの音色を楽しんで欲しい。」という思いから誕生し、佐波理おりんの持つ澄んだ音色はそのままに、現代の生活にも取り入れやすい、新しいおりんの形を提案しています。

かつて、どこの家庭にも当たり前のようにあった仏壇は、生活様式の変化と共に需要が減り、私たちが日常的におりんを鳴らす機会は失われつつあります。おりんは仏具のなかでも人に近い道具です。一般的には、仏様に手を合わせる際の合図として使われますが、おりんの音色は空気を清めるともされており、私たちの心を整えるものでもあります。

今回の展示では、南條工房のおりんとLinNeに加え、新作の「Synclee（シンクリー）」の音色も店頭にて体感していただきます。また、会期中は好きな音色と組紐を組み合わせ、自分だけのおりんを選べるセミオーダー会も合わせて開催。ひとつひとつ異なるおりんの音色をじっくり聴き分け、“音で選ぶ”という感覚を体験してみてください。

南條工房のおりんをきっかけに、誰かを思うことや心の拠りどころなど、祈るためのひとつの選択肢として、仏具やおりんの在り方を広げる機会にもなれば幸いです。

LinNe STUDIOについて

2023年に誕生した、おりんの音色を感じてもらうための拠点。ショップと工房が併設されており、工房見学も開催している。

〒6110014
京都府宇治市槙島町千足42-2
※営業日時・時間は不定期です。詳しくは、南條工房HPをご確認ください。（要予約）

→南條工房HP