薩摩焼のもののまわり -沈壽官窯と龍門司焼-

400年以上の長い歴史をもつ”薩摩焼”。焼物づくりの文化がなかった薩摩の地に、朝鮮の先端技術がもたらされ、各地で窯を築き、永い年月伝統と技術を守り継いで独自の発展を遂げてきました。

 

”薩摩焼”は2種類に大別されます。表面に「貫入」とよばれる繊細なヒビが入った器肌に豪華な絵付けや緻密な細工を施し、装飾品や置物として評価を得た「白薩摩」と、鉄分を多く含む鹿児島の火山地帯ならではの土を用い、酒器や碗など大衆用の雑器として親しまれてきた「黒薩摩」。それぞれに赴きがあり、対照的な魅力があります。

400年経った現在でも、伝統的な登り窯で焼成しますが、火山灰の降灰に気を遣りつつ、自然の火の力を借りて焼き上げるのは容易いことではなく、窯焚きに使用する木の材質や作陶工程など、各窯が工夫を凝らし、それぞれに違いがみられます。

 

今回は、長い歴史を経てもなお、火に挑み続け、技術を守り受け継ぐ「沈壽官窯」と「龍門司焼企業組合」、2つの窯をご紹介します。薩摩焼の文化・歴史を未来へ繋げるため、伝統を守りながら、現代の暮らしに寄り添うものづくりを、実際に見て、触れて、感じる機会になれば幸いです。

薩摩焼のもののまわり -沈壽官窯と龍門司焼-

日程
2023/12/28(木)~2024/2/6(火)
時間
10:00~20:00
場所
D&DEPARTMENT KAGOSHIMA by MARUYA Map 鹿児島県鹿児島市呉服町6-5 マルヤガーデンズ4F

●お問い合わせ:099-248-7804(鹿児島店)

薩摩焼のもののまわり関連ワークショップ
d SCHOOL「わかりやすい龍門司焼」
2024/1/20(土)①11:00~ ②14:00
龍門司焼企業組合の川原竜平さんをお招きし、手捻りの器づくりワークショップを開催。黒薩摩 龍門司焼の歴史や製作過程について学びながら、陶工自ら地元で採取し調合した粘土を使って、手捻りでオリジナルの器づくりを体験します。
申し込みはこちらから
d SCHOOL 「沈壽官窯 現地ツアー -わかりやすい薩摩焼-」
2/3(土)11:00~12:30
日置市美山にある沈壽官窯を実際に訪れ、瀬川利紀さんの案内のもと、職人の作業風景の見学や歴史ある収蔵品がおさめられている「沈家伝世品収蔵庫」を特別解説を聞きながら巡る、貴重な現地ツアーです!
申し込みはこちらから
沈壽官窯
日置市美山にて開窯。420年余り代々受け継ぎ、「沈壽官」は現在第15代目。
工程ごとに分業体制で作陶しており、ろくろ、絵付け、彫刻、釉薬掛け、焼成など、全てを別々の職人が担当。分業体制は、作業の効率化だけでなく、技術の保護にも繋がる。かつて『国焼(くにやき)』と呼ばれた”薩摩焼”の起源と発展に大きく関わりがあり、白薩摩の絵付けや、透し彫りや浮き彫りなど、高い技術で国内外からも評価されている。
龍門司焼企業組合
姶良市加治木にて開窯。古帖佐焼の流れをくむ窯。
共同窯方式から、協同組合、企業組合と、時代とともに形式を変え、330年余りにわたり「黒薩摩」の伝統を守り続ける。深みのある黒と青が美しい「黒釉青流し」、鮮やかな色調の「三彩釉」、見た目や触り心地の珍しい「鮫肌釉」や「蛇蝎釉」など、「黒」の技術を更に発展させた釉薬の種類が多いのが特徴。普段使いのうつわの素朴さと力強さで、「黒薩摩」を代表する窯元。