タルマーリーのパンだけじゃない、 ビールでもつくる循環の話

野生の菌で醸す地ビール
タルマーリーでは野生の酵母を培養し、パンとビールを作ります。ビール作りのスタートには、創業当初からパン作りで培養してきた酵母を使いました。しかしそもそもビール作りを始めたのは、ビールの澱（オリ）をパン用酵母として使いたかったからだそう。パンとビール作りが実にうまく循環しているのが、タルマーリーの非常におもしろいところです。





Talmary‘s Bread Beer／ブレッドビア
野生酵母のみで発酵させるパン作りは不安定なので、タルマーリーではときどき失敗が起きて販売できないパンが生まれます。今回、D&DEPARTMENTとのコラボレーション企画として、このパンのロスを、さらにもう一循環してビールにしました。長い時間をかけて培養してきた酵母と共に、タルマーリーとD&DEPARTMENTのコンセプトもぐるぐると循環し合う、その名も「ブレッドビア」です。

野生の菌が生きるパン
純粋培養のイースト菌を購入して使うパン屋さんが多いなか、タルマーリーでは自家培養した野生の菌で発酵させてパンをつくっています。５種類の酵母を使い分けることで、柔らかいパンから噛みごたえのあるパンなど、様々な食感と風味を作り出します。小麦本来の味わいや、酵母の酸味や甘みを感じる香り豊かなパンを、ぜひお楽しみください。
 

 

よりよい地域内循環を生むパンづくり
タルマーリーでは、「パンとビールを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」事業を目標にしています。素材の栽培方法や水質が発酵に与える影響に気がつき、より良い材料、より良い水、より良い環境を求め、千葉県から岡山県へ、さらに鳥取県智頭町に移住。セルフリノベーションした元保育園を醸造所兼店舗としています。
 

 
これからの暮らし方の手本として
d47 MUSEUMで開催した企画展『NIPPON の47人 2017 これからの暮らしかたOff-grid Life』※のなかで、渡邉格さんは次のように語っています。

※『NIPPON の47人 2017 これからの暮らしかたOff-grid Life』
今まであたり前だと思っていた生活やシステム（＝グリッド）にとらわれず、自由に、そして楽しく暮らしを実践し、社会活動を行っている人たち（＝オフグリッド）にフォーカスした企画展。（2017年開催）
 

 
「自然栽培の農地が広がれば、肥料や農薬による環境汚染が軽減し、里山の生態系は保全される。そうして地下水が綺麗になれば、パンやビールもさらに良い発酵をする。そんな環境保全型地域内循環の鍵となる農産加工業者でありたい。」
 
パンやビールづくりにとどまらず、タルマーリーの活動は、これからの働き方や暮らし方について考えるきっかけを与えてくれます。