竹林面積日本一の鹿児島県。昔から農具や必要な道具を、竹を使って各家庭で作る習慣があり、竹製品が日用品として使われさまざまな暮らしのシーンを支えてきました。
竹は木材と同じように、身近な生活道具として用いられてきましたが、プラスチックなどの便利な素材の発展に伴い需要は減少。しかし、時代の流れや生活様式の変化と共に、改めて竹素材の良さ、長く使い続けることのできる高い耐久性や安全性が再び求められています。
山から竹を切り出すことは自然環境を整える為に必要で、鹿児島の竹細工は理にかなっていると言えます。現代では、竹細工・竹工芸は一定の職人が担っており、次世代への継承や、適正な価格での流通により職人を守ることなどもこれからの課題と言えそうです。
竹細工は素材の加工から編みの工程まで全てが手作業で、下準備に膨大な時間と労力を要します。青竹を切り、油抜きをし、ひごをつくり、編んでいく。良い竹細工を製作するためには、最適な材料が必要です。それらの工程は全て手作業によるもので、熟練の技が要求されます。
(油抜きの工程)
今回は、薩摩川内市入来町にて親子三代に渡って竹細工に携わり、新しい世代に親しまれる製品の開発と伝統工芸品としての竹細工の普及に力を注ぐ「八木竹工業」、姶良市に工房を構え、竹細工をはじめ工芸品の制作や指導を行っている「柚木竹細工工房」、伝統工芸の継承・普及に取り組む「竹工芸振興組合」の、籠やざる、収納、キッチンツールなど、暮らしの道具としての竹細工を中心にご紹介します。
長年、鹿児島の土地の暮らしに根付いてきた竹細工の魅力を改めて感じ、生活に取り入れるきっかけになれば幸いです。この機会に道具を“長く使い続けることの魅力”に一緒に目を向けてみませんか。