カール・ハンセン&サン社のもののまわり -歴史から読み解く、デンマークデザインの継承-

クラフトマンシップを3世代で伝える、 デンマークデザインの歴史と進化を支える家族経営企業

ロングライフデザインのお手本である、名作椅子 CH24(通称「Yチェア」)を手がける、デンマークの「カール・ハンセン&サン」は、創業者のカール・ハンセンから始まり、息子、孫と、3世代に渡り、デンマーク国内でも今では珍しい家族経営企業として、デザインとものづくりに情熱をかたむけてきました。

 

自身も優れた家具職人であった創業者カール・ハンセン、ハンス J.ウェグナーを見出し「Yチェア」を世に送り出したホルガー・ハンセン、デンマークデザインの保護に努めながら、今もなお製品を生み出すクヌッド・エリック・ハンセンらによって、これまで数々の名作を生み出し、今年で創業115年を迎えます。創業当時は一般的だった手仕事から、いち早く加工機械を導入し、製作工程の合理化を図って世界中に優れたデンマークデザインを広めながらも、現在ではアプレンティス(見習工)制度を開始するなど、伝統あるクラフトマンシップの継承にも重きをおいています。

 

本企画では、その3世代の歴史と時代背景、各世代を代表する5つの椅子をご紹介。デンマーク家具の伝統を守りながら「優れたクラフトマンシップと最新技術を融合し、質の良い家具をリーズナブルな価格でより多くの人々に提供する」という、世代を超えて変わらない、彼らのものづくりへの想いに触れていただければ幸いです。

カール・ハンセン&サン社のもののまわり -歴史から読み解く、デンマークデザインの継承-

日程
2023/6/24(土)~7/25(火)
時間
12:00~18:00 水・木曜定休
場所
D&DEPARTMENT TOKYO Map D&DEPARTMENT TOKYO

「カール・ハンセン&サン社のもののまわり -歴史から読み解く、デンマークデザインの継承-」関連企画
d SCHOOLわかりやすいデンマーク家具
- カール・ハンセン&サン ジャパン 郡司圭さんに聞く、ロングライフなものづくり-
日時:2023年7月15日(土)18:30~20:00頃


コーア・クリントから始まるモダン家具デザインの歴史から、デンマーク家具の「美しく機能的である」という特徴、そしてカール・ハンセン&サン社の変わらないものづくりのこだわりを、カール・ハンセン&サン ジャパンの郡司圭さんをお招きし、深掘りしていきます。会の最後にはハンス J.ウェグナーの「CH24(通称Yチェア)」がなぜ名作椅子と言われているのか、その魅力も徹底解析していただきます。すでにYチェアをお持ちの方、検討されている方はもちろん、デンマーク家具の歴史や名作椅子の魅力、長くものを使いつづけることに興味がある方など、ぜひご参加ください。

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\会期限定/
3世代にわたる家族の歴史と時代背景に関連した、代表的な5つの椅子
創業者であり、デンマーク・モダンデザインの出発点の時代に生きたカール・ハンセンは、自身も優れた家具職人であった「職人親方の世代」として、自らがデザイン・製造を行いながら、作業の機械化・効率化を進めていました。その息子であるホルガー・ハンセンは、Yチェアを生み出したハンス J.ウェグナーを始めとした外部デザイナーと共同して家具を世に送り出すことに舵を切り、企業から独立した品質検査機関を創設するなど、デンマークデザインの環境を整えた「新しいデザイン環境を作った世代」。そして、第3世代であるクヌッド・エリック・ハンセンは、自身は職人ではないものの、失われつつあるデンマーク家具デザインを支えようと、デザインの保護や復刻に努めるとともに、クラフトマンシップの継承をしようとしている「新たな課題下でデザインを見つけ、守り、育てる世代」です。

今回、会期限定で、3世代の歴史に馴染み深い、5つの椅子をご紹介します。これらの椅子がどのような時代の流れで誕生し、現在も販売され続けているのか、カール・ハンセン&サン社が守り続けた、デンマーク家具の伝統を感じていただければと思います。
FH38(1938年)
もともとカール・ハンセンがデザインしたウィンザーチェアは存在していましたが、2代目 ホルガー・ハンセンのアイデアで品質とデザイン、価格で選ばれる“市民のための家具”として、カール・ハンセンの友人でもあったフリッツ・ヘニングセンがデザインし、FH38が誕生。職人の繋がりが生んだクラシックなデザインで、第二次世界大戦中・戦後の厳しい時代を支えた椅子です。2003年に廃番となっていましたが、近年復刻されました。
CH24(1950年)
ロングライフデザインのお手本であり、“デンマークのモダンデザインを代表する椅子”と評価されているCH24。しかし、発売当初はモダンすぎるが故に、すぐに人気は出なかったといいます。しかし、2代目 ホルガー・ハンセンがCH24を含めたハンス J.ウェグナーの家具をアメリカに広め、その評価が今日に繋がり、世界中で愛され続けています。今回展示をする淡い黄色の仕様は、イルス・クロフォード(イギリスのインテリアデザイナー)のセレクションによるもので、CH24の中でウェグナー以外が選んだ色を初めて定番化。デザインの古典に新しい印象を与えています。
CH88P(1955年)
ハンス J.ウェグナーが他社のためにデザインしたものの、当時の製造技術が追いついておらずプロトタイプのみで生産されなかった幻の椅子を、3代目のクヌッド・エリック・ハンセンによって、ウェグナー生誕100年を機に初製品化したもの。現在では、カール・ハンセン&サン社の人気の椅子であり、ウェグナーがデザインした椅子の入門編的な位置付けになっています。
KK96620(1914年)
デンマークモダン家具デザインの父と言われるコーア・クリントの実質的な処女作であり、デンマークモダン家具デザインの出発点と言われる椅子です。デンマーク最古の工房「ルド・ラスムッセン工房」の代表作でしたが、職人の高齢化などが進み廃業の危機にあった中、2011年に3代目のクヌッド・エリック・ハンセンが工房を買収。コーア・クリントのデザインが失われないよう、保護に努めています。
VLA26T(1956年)
デンマークの機能主義を代表する建築家であるV.ラウリッツェンが、自身の建築のためにデザインしたダイニングチェア。その建築を訪れないと使用できない椅子でしたが、ラウリッツェン事務所創立100年を記念して製品化されました。カール・ハンセン&サン社が、当時のデザインを守りながら、部品交換ができて長く使い続けられるように、現代の環境課題に合わせて仕様を変更して生産しています。時代に合わせて機能を改善していく、新しい試みです。
Yチェアを長く使い続けるためのD&DEPARTMENTの取り組み
世界中で愛されているYチェアの魅力は多岐に渡ります。曲線を描くフォルムの美しさ、クラフトマンシップによる品質の高さなど、しかしなによりもD&DEPARTMENTがおすすめするのは、自分好みにお手入れ・経年変化を楽しめる点にあります。趣味の道具を手入れしたり、洗車して気分が落ち着くような、そんなメンテナンスの楽しさがYチェアにはあります。10年後、30年後のYチェアのある暮らしを想像しながら、好みの姿に近づいていく過程も楽しんでください。

→特集|暮らしのかたちが変わっても直して使う世界のスタンダード「Yチェア」
メンテナンス動画を公開しています。
カール・ハンセン&サン社の今村昇子さんを講師にお迎えし、Yチェアの塗装別メンテナンス講座を開催。すべすべさらさらの木肌が心地良い?ソープフィニッシュ編、歳を重ねるように色の変化を楽しめるオイル塗装編を動画でご覧いただけます。定番のビーチ材からカラー塗装まで、多様なラインナップがあるYチェアそれぞれのバリエーションについても解説いただいています。

→ 視聴はこちら
Yチェアを買取・再販売しています。
ロングライフデザインの代表とも言えるYチェアは、中古市場には中々出回りません。その存在ゆえに手放す人がそういないのです。やむを得ず手放す機会がきてしまっても、その時はD&DEPARTMENTにお問い合わせください。通常買取より高く買い取りさせていただきます。

→ 買取フォームはこちら
→ event archive|USED販売会を開催しました。
修理の受付を行っています。
Yチェアは年月の経過と共に木肌の表情は味わいを増していき、メンテナンスをしっかりと行えば一生愛着を持って使用できる椅子です。木部のクリーニングのほか、座面が破れた場合も、座面の張替えができます。お気軽にお問い合わせください。

→ blog archive|Yチェアの張替え
Yチェアとの組み合わせをイメージして作ったD&DEPARTMENTオリジナル家具
ラウンド型なので角が無く複数人で使う際に、自然とテーブルを「囲む」ことができます。脚部は中央に一本脚の形状で、椅子を並べた時に脚が邪魔をせず、椅子の配置の場所を選びません。円形テーブルの縁とYチェアのアームがカーブを描き、一体感があります。

→ LAUAN TABLE ROUND|商品詳細はこちら
カール・ハンセン&サン社のもののまわり -歴史から読み解く、デンマークデザインの継承-

カール・ハンセン&サン

1908年に創業したデンマークの家具メーカー。ハンス J. ウェグナーの家具をもっとも多く生産する家具メーカーとして知られているほか、コーア・クリントやオーレ・ヴァンシャー、ボーエ・モーエンセンなどデニッシュモダンの巨匠の家具の製作も手がけている。もともとは小さな家具工房として王室家具などの製造を行なっていたが、優れた家具を多くの人々に伝えるためにいち早く機械加工を取り入れ、職人の伝統技術と最新技術を合わせた上質な製品作りを行なっている。

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