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日本一の漆の産地、岩手県二戸市浄法寺より塗師や漆掻き職人をお招きし、東京店では初めてとなる漆を学ぶワークショップを行ないました。

レポート(1)漆を学ぶ会

0円(税込)

発売日時:2019年 12月 05日 00:00

岩手県

2018年に発行したd design travel IWATEをきっかけに、今年7月に浄法寺漆のふるさと「二戸」を巡る「d design travel NINOHEスペシャルツアー」を開催し、今回東京店では初めてとなる漆を学ぶワークショップを行ないました。

岩手県二戸市浄法寺は日本一の漆の産地。二戸市では地域で漆の木を育て、掻いた漆で塗り重ねる、一貫した営みを守り継ぐ漆工房「滴生舎」を運営しています。「滴生舎」の塗師である小田島勇さん、田村良子さん、三角裕美さんと漆掻き職人で塗りも行なう鈴木健司さんを講師にお迎えしました。

まずは漆の歴史や特徴について簡単にご説明いただき、早速浄法寺で1週間前に伐採したという漆の木へ。

漆掻き職人の鈴木さんは漆掻き歴20年のベテラン。金属部分を除き道具はご自身で作られます。

にじみ出た漆を入れる樽は、「タカッポ」と呼ばれ朴の木の皮で作ります。

漆は木の樹液。漆の木の表面に傷をつけることで、傷を癒そうと樹液が染み出します。

乳白色の漆がじんわりとにじんできました。少しずつヘラで採取していきます。

受講生のみなさんも、実際の道具で漆掻きに挑戦しました。傷が浅すぎても深くても漆は出ず、力加減が難しい。

一人前になるとひとシーズン(6月~10月)で400本の漆の木を受け持ち、毎日100本ずつ傷をつけ漆を採取していきます。木は4~5日休ませることが必要で、驚かせないよう掻く幅も少しずつ増やしていきます。たくさんの蚊やブヨなどの虫、熊に注意しながらまさに命がけで採った漆は、1本の木から約180mlと牛乳瓶1本分。とても少ないです。シーズンを終えた漆の木は漆掻き職人自ら伐採し(殺し掻き)、また10~15年かけて育てていきます。時間をかけて育てた木を伐採するとは驚きましたが、根が張ったまま伐採することで、種を蒔くよりも早く成長します。

今回は、その貴重な浄法寺漆(精製漆)を使い、お椀の内側の上塗り(仕上げ)を行ないます。

滴生舎では、下塗りから上塗りまですべて浄法寺漆を使用します。(中央のだるま落としが工程見本です)木地固めを行ない、塗りと研磨の工程を6回繰り返し、最後に空気中のゴミが入らないよう別室で上塗りを行ないます。漆を塗り重ね堅牢に仕上げていきます。

最初は練習です。デモンストレーションを見て真似をしていきます。

まずお椀を持つ、刷毛を持つところから。普段使わない手の動きにみなさん戸惑われます。

刷毛の手を動かさず、お椀の持ち手を回しながら塗っていくことが難しく、練習にも力が入りました。

刷毛は女性の髪の毛。端まで詰まっていて、毛先が使えなくなったらカットして調整していくそうです。日本人の若い女性の髪の毛はなんと1本10万円!(こちらの刷毛は練習用)

本番用の漆はさらに細かなゴミなどが入らないよう丁寧に和紙で漉された漆と刷毛で仕上げていきます。最後のひと塗りが難しく、何度もやり直しをした方も。刷毛の痕が残らないよう漆の量を調整することも難しそうでした。

初めての体験にみなさん興奮気味。終了したお椀は後日お持ち帰りいただけます。

完成品が楽しみですね!

日本で唯一の二戸市「漆産業課」の田口さんより、漆の現状を教えていただきました。現在国内の漆の自給率がおよそ3%、内約7割が浄法寺産です。浄法寺は漆の木が豊富な地で、藩政時代に産業奨励で漆の植え付けを行なったことで、漆の産地となっていったそうです。需要が減った時期もありますが、数年前に重要文化財がすべて国内産の漆と指定された時から必要な漆が2.2トン、今年浄法寺で採取された漆が1.5トンと、需要が供給を上回るように。また、高齢化が進み後継者不足だった漆掻き職人もにも変化が。地域起こし協力隊を募り漆掻き職人を育成中で、20年前は15人だった漆掻き職人も今では40名に。ただ、漆の山を管理する地主の高齢化が進み、荒れ放題の場所も出てきているため、漆の木が不足していく可能性があることを危惧されていました。後世に伝え続けるためにも植林や整備、保全活動にも力を入れています。

「漆を知らない方にももっと漆について知って欲しい」と東北芸術工科大学の学生とともに漆を身近に感じてもらうツールなどを作成していました。

最後に、漆器のお手入れについて伺いました。

「毎日使うことが一番よいお手入れです」と小田島さんは言います。水洗い(ぬるま湯)で問題ありませんが、油ものが気になる方は柔らかいスポンジに中性洗剤につけて洗いましょう 。洗ったらきちんと水気を拭き取ること。また、食洗機や電子レンジ、オーブンの使用と直射日光は避けましょう。漆器は使いほどにツヤが増し、育てることが楽しくなる道具です。修理ができることから次の代に残すこともできます。長く愛用していきたいですね。

今回は、東京にいながら現役の職人に学び、実際の道具を使用しながら漆掻きやお椀を塗るといった普段できない貴重な回となりました。国産漆の貴重さ、扱いの難しさ、漆の魅力が伝わったのではないでしょうか。日常に漆器を取り入れてみることで普段の食事に感動が生まれ、ぐんと食事が美味しく感じます。次回はぜひ『d design travel IWATE』を片手に二戸市浄法寺へ訪れてみてください。

この日はワークショップだけでなく、漆器を使ったスペシャルディナーも開催しました。当日のレポートは追って公開します。ぜひお楽しみに。

岩手 二戸 漆 滴生舎 漆塗り

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