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三重の素材を使った、三重のどら焼き「dどら」ができるまで。

三重店のdどらができるまで

0円(税込)

発売日時:2021年 07月 15日 00:00

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D&DEPARTMENT MIE by VISONの開業が残り1週間と迫りました。食部門のディレクターをつとめる、相馬(あいま)です。三重の素材を使った、三重のどらやきを出す、小さな小さな手焼きどらやきスタンドが三重店の中にできるまで、を今日はご紹介したいと思います。

三重店では、当初、小さなキッチンスペースをつくり、例えばロースターの方がふらっと現れて、ポップアップのイベントができるような、簡易なキッチンカウンターを設置しつつ、飲食の営業まではしないでいこうか、という計画がありました。
 
VISONの全体の計画が少しずつ明らかになっていき、薬草を使った温浴施設が併設され、宿泊用の客室も、大小合わせて200室程度、、、ショッピングやカフェが目的ではない、リラックスできる時間を目的としている人も多いこともあり、その方達にとって、山の中に突然できあがった、ひとつの街のようなVISONを散策しながら、歩き回っていく中で利用していただけることがしたいな、という思いが強くなっていきました。
 
小腹が空いた時にスイーツを頬張りながら、お風呂上がりにもちょうどよい、コーヒー牛乳なんかを飲みつつ、夕暮れを歩くのは、きっと気持ちいいだろうな、と。遠くには山の稜線がしっかりと見えるので、朝靄の中の散歩も気持ちいい。そんな環境にしっかり寄り添いながら、三重店の周辺では、伊勢茶、大台茶といったお茶の生産が盛んなこと、お茶にも相性がいいもので、手軽に持ち運べて、と考えた末に、三重の素材で、おいしいどら焼きをつくろう、と思い至ったのです。
 
やることが決まれば、まずは、何より大先輩に話を聞いてみることから。『d design travel 岐阜』でご紹介させていただいた、「ツバメヤ」の岡田さんに連絡をしました。
 

『d design travel 岐阜』
 

岐阜市にあるツバメヤ。
 
事情を説明したら、すぐに一度うちに見においで、と返答をいただきました。同時に、レシピ開発ができる岐阜の和菓子職人の「まっちん(=町野仁英)」さんにも、同席してもらうといいので、連絡しとくね、とも。
 
さっそく岐阜にお伺いさせていただき、製造現場の見学や、近隣にある他の甘味屋さんなどにも見学。最初は、何もわからない僕に、どら焼きは大変だから、ドーナツにした方がいいのでは?という提案もあったのを思い出します。しかし、何が難しいのかも、まだよくわかっていなかったので、やってみないとわかんないもんな、と思っていました。
 
結果、三重の素材で、三重らしいどら焼きを、つくってみることにチャレンジしたい、とお伝えしたところ、まっちんさんも、三重県の伊賀出身ということもあり、三重のためになることですから、ぜひやりましょう、と快くお受けいただきました。こうやって、三重のどら焼き開発プロジェクトが産声を上げました。
 

試作第1回目。
 
どら焼きは、とてもとてもシンプルなたべものです。生地を焼き、餡を詰める。以上。そのシンプルさこそが、後に難しさにつながるのだと、身をもって知ることになっていきます。
 
さて、さっそくどら焼き作りに取り掛かります。まずは、三重県内の食材をリサーチ。まっちんさんの和菓子づくりは、白砂糖を使わず、粗糖を使います。なるべく精製されたものは選ばないその作り方は多くの方に支持され、料理本を出版する経験もお持ちです。健康に良く、かつ素朴で食べ疲れない。気を衒ったところはなく、自然体。それでいて、本当においしい。
 
「ツバメヤ」のどら焼き。「山本佐太郎商店」の「大地のおやつ」シリーズのお菓子など、まっちんさんの開発したお菓子の魅力は、多くの方に時間をかけてじっくりじわじわと伝わっていきます。まさにロングライフなものばかりなのです。そのためには、やはり、素材選びは、とっても重要なのです。
 

 
生地には、三重県産の小麦粉「伊勢の響」。平飼い有精卵で、VISONとは目と鼻の先にあるコケコッコー共和国の平飼い卵。伊賀産の菜種だけをつかった「菜ノ油」のなたね油。松阪の「松治郎の舗」の三重県産のはちみつ「花々」。といった、三重県内の素材に、鹿児島県産の粗糖が加わり(粗糖はさすがに三重県内にはない)、生地を仕上げていきます。
 
さて、何が難しいのかというと、その配合のバランス。生地を焼く際に、粉が多いと早く焼き上がります。水が多いと、べちゃっと広がりすぎる。もちろん、レシピもさることながら、その場の湿度や環境に左右される。1g変わるだけで、思ったより変わっていくのを体験します。
 
加えて、どら焼きを焼くのは、自動マシンではなく、手焼きです。マシンだと、たった2~3時間くらいで600枚くらい焼けるそうです。でも、そんなに売るつもりがない上に、イニシャルの投資が大き過ぎて、手が出ない。その次はもう手焼きしかない、っていうのが、どら焼き業界なのでした。初めて知ることばかりです。
 
結果、選択の余地なく、手焼きを選ぶのですが、手焼きのどら焼き屋の有名店の動画を何度も見続けて、こんなことができるようになれることはとてもいい、と、マシンではなく、手焼きでやることに面白味を感じていきました。
 

 
福岡の「工藝風向」の高木さんが、駅員のガイダンスや、ラーメンのチャルメラみたいな、あるリズムみたいなものの中にも、民藝が潜んでいる、という話を聞いたことがありました。僕はそれがとても好きなお話で、それは専門店なのだろう、いつか専門店をやろう、と思っていたのです。高木さんに、これはもう民藝だね、っていつか言われるようになりたい、なんてことを思っていました。そんな思いも重なり、お客さんの目の前で、手焼きする道を選びました。
 

 
銅板では、温度を一定にするため、ガスではなく電熱のものを選びます。手焼きで効率よく16枚を同時に焼いていけます。スピードを上げないと、全部の片面を焼く前に、最初に生地を焼き始めたものが、焼き上がって焦げ始めてしまう。スピード感やリズムがとっても重要になります。風向の高木さんの顔が脳裏によぎります。人が、その動きに、リズムに、魅入ってしまうくらい、なんでもなく、ちゃんと焼けるようになろう。そこに美しさがあるなーと思えたし、美しさが同時に、ちゃんとおいしいにつながるのです。
 
美しいと、おいしい。おいしいためには、美しくないといけない。手焼きは、やってみると最初は失敗もするけれど、それ以上に、本当に楽しい。やるからには、良いものを楽しく。
 

 
さて、スピード感が上がってきたら、レシピを少し見直します。レシピを変えたら、また焼き具合を調整します。その無限のループを繰り返し、繰り返し。しかし、それこそが、まっちんさんの真骨頂なのです。とにかく、調整しながら、ひたすらに、焼き続けます。研究し、研究し、反復し、反復し、、、意識と行動とが重なり合っていくような、修正の連続。
 
それは、焼き続けながら、この選んだ素材に向き合い、その素材の特性を捉えていくために必要な工程だと思いました。一歩ずつ、その素材を捉えていきます。出来上がるまでに、果たして何回、何枚焼いたことでしょう。試作を食べ続けたスタッフたちは、もうしばらくどら焼きは、、、と思ったことでしょう。
 
東京で、何度も試作を繰り返し、僕たちも少しスキルを高め、いよいよ少しずつ形が見え始めたところで、6月下旬、内装が引き渡しになり、三重にどら焼きマシンを送りました。次は、三重の環境の中での調整を始めます。室内が乾燥しているとか、湿度があるとか、、、そう、環境にも大きく影響を受けていきますが、素材の特性を少し把握してきている僕たちにとっては、それでも、一から全てをやり直すということではありません。まっちんさんには、本当に何度も何度も立ち会っていただきました。つくるものへの愛が深い。こういう人こそ、本当にクリエイターなのだと、あらためて気付かされた時間でした。
 

 
さて、ここで、どら焼きのもう一つのパーツは、餡子です。今回は、伊勢市内に製造工場を構える「伊勢製餡所」と、一緒にレシピをオリジナルの配合を開発し、製造をお願いすることにしました。伊勢製餡所での基本レシピは白砂糖を使います。しかし、今回は、まっちんさんの強いこだわりがあり、精製されていない粗糖を使い、かつ、定番品よりも糖度を下げ、甘すぎない餡子作りを依頼しました。
 
◯甘すぎず、それでいて保存もちゃんと意識した糖度の設定
◯あんこの柔らかさや滑らかさ、それでいて粒も感じる
◯ツヤがあって、見るからにおいしい
 

 

 
もともと、伊勢製餡所のあんこは、非常にツヤがあり、粒もしっかりとした、とってもおいしい餡子です。だからこそ、良い餡子作りが目指せると依頼をさせていただきました。
 
しかしながら、こちらも何度となく試作をしてもらい、もう少し柔らかく、今度は少し柔らかくしすぎて、そうしたら固くなりすぎて、小ロットでは本製造の釜とは出来上がりが違うから、一度大量に仕込ませてもらえないか、、、とにかくやってみないとわからないことの連続で、お互いに時間も労力も持ち出しながら、なんとか壁をいくつも乗り越えていきます。
 
ただ自分たちがつくりたいものを伊勢製餡所につくってもらう、という単なるOEMではなく、伊勢製餡所が大切に使用している、北海道産の小豆「雅」の良さを最大限に引き出しつつ、伊勢製餡所らしい餡子でもあるものを目指したい。そうやって、独自配合レシピのオリジナル餡子が出来上がりました。
 

 
生地と餡子が揃い、焼印も揃い、現在は、スタッフが毎日毎日、どら焼きの練習を続けています。きっと、10年や20年を経て、銅板もそろそろ買い換え時か、、、というときが来たら、どら焼きをひっくり返す、
 
ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、、、
 
という音が、本当にリズム良く、VISONの中に響いて、その土地にその土地の民藝があるように、VISONの中のどら焼きがある、と思ってもらえるようになっているかもしれません。大袈裟ですが、そんな思いで焼いていきます。
 

 
三重の中には、まだまだ知らない素材がたくさんあります。気を衒わず、まっちんさんと目指したどら焼きを、三重店のスタッフ達にバトンタッチし、これから、さらに発展していってくれると思っています。
 

 
三重の素材を使った、三重のどら焼き「dどら」。ぜひ店頭に味わいに、そして手焼きをしている様子を見に来てください。
 

どら焼き 三重

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