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小石原焼 太田哲三窯に見学に行ってきた時のレポートブログ後編

太田哲三窯に行ってきました。後編

0円(税込)

発売日時:2018年 06月 25日 00:00

福岡県

現在開催中のNIPPON VISION MARKET「小石原焼 太田哲三窯」展。太田哲三窯をたずねた前回のレポートブログ前編に続き、今回は後編をお届けします。

小石原焼の歴史が始まった当初は、口付徳利等に釉を入れ半乾きの素地に口付けながら流し掛ける「流し掛け模様」の技法が使われることが多かったそうですが、現在小石原焼では、実に様々な技法が用いられています。

 

なかでも小石原焼の有名な技法のひとつに、「飛び鉋」と呼ばれる技法があります。

道具はゼンマイ鋼で作った弾力性のある鍵形の薄い鉄板で、この道具を「鉋(かんな)」と呼びます。特に古時計の鋼は反発性があり具合が良いそうで、太田さんのところにもゼンマイを抜いた古時計が壁にかかっていました。

鉋を使い、ろくろの上で回る器に連続した削り目を付けるのですが、簡単そうに見え、鉋のあたる角度がしっかりしていないと綺麗には模様がつきません。

実際に、私も挑戦させていただきましたがこれが、これが予想以上に難しく、連続した削り目の「飛び鉋」ではなく、ただの深い削り跡になってしまいました汗

真ん中が哲三さんの飛び鉋、左右がスタッフが体験で作った飛び鉋

また、小石原焼といえば飛び鉋のイメージが強くありますが、実際には意外に知られていない、しかも飛び鉋よりも古くから使われてきた技法がいくつもあるということで、そのいくつかを実際に見せていただきました。

こちらは「打ち刷毛目」。平刷毛で叩くように上下させて施される刷毛目文様。「マル哲」印の大小様々な刷毛を使い分けて、ロクロを回しながらトントントンっと優しく施していきます。

仕上がりはほんわりとタンポポのようなあたたかみと可愛らしさです。

 

こちらは「櫛目文様」。
その名の通り、櫛を使い文様を描く技法で、その櫛は手製のものを使うため、色々な素材や形のものが存在します。

木製のものがほとんどですが、太田さんのところにはタイヤに使われるような硬いゴム製のものも置いてありました。不均一の線から伝わる温かさが特徴です。

 

こちらは「指描き文様」。

その名の通り、指先で直線模様を描く技法です。道具は自分自身。自由な分、作り手の個性が一番現れやすいそうです。道具を使わないということから、古くから使わられてきた技法でもあります。

 

そのほかにもスポイトを使った「ポン描き」、盃・びしゃくを使う「打ち掛け」などが挙げられますが、今回は店頭で、その様々な技法で実際に使用している道具をお借りし一緒に展示していますので、ぜひ合わせてご覧になってみてください!

 

また、今回の取材の中印象的だったのが「2割もの」という言葉。器を作るうえでどうしても2割程度は、わずかな歪みであったり、鉄分が多く出てしまったりと不具合がでるそうです。

こういった2割ものは見た目が落ち、通常の販売ができなくなるため多くの窯では割ってしまうそうですが、哲三さんは父熊雄さんの代から、「あがりが悪いからといって割らない」という言葉を守り続けています。

「鉄分も人でいうシミやホクロのようなもの」で味がある、「器量のいい子もいればそうでない子もいてそれぞれ違って良い」と、哲三さん。そういったところも手仕事だからこそ温かみのある小石原焼きの魅力だと感じました。

ちなみに太田哲三窯では、2割ものを植木鉢の受け皿や灰皿などに利用していました。

2割ものは通常あまり出回ることがないですが、もし手に入れた際は工夫して生活に取り入れたいです。

最後に、哲三さんに小石原焼の現状についてお伺いしました。

「現在、東峰村には50近くの窯があるが、伝統を守ってもの作りをしている窯が減ってきている。小石原で作られたものの中に小石原焼としての特徴がないものも増えてきている事に危機感を感じる」という哲三さん。

哲三さんが若い頃につくった器。

「何でもありではなく、これぞ小石原焼という、見てすぐにわかる独自性のある器を作ってほしい。デザイナーに言われたままにものづくりをするのではなく、数年後を見越してものづくりをしてほしい」と、仰っていました。

哲三さん自身も、良いと思って作ったものが最初は思うように世間に受け入れられなかった経験があるといいます。

櫛で紋様を付ける櫛描きや、通常のものよりも深さを出した「深いすり鉢」もその一つで、作った当時は思うように売れなかったのだとか。

深いすり鉢は当初は小石原焼の形ではないといわれたが、食卓にそのまま置けるようにと作ったその形は、その使い勝手の良さが知れ渡り数年経って急に売れだしたそうです。

さらに、「今後は若い世代と交流しながら、ろくろの技術や小石原の伝統を伝えたいと思っている。」と、仰る哲三さん。

現在は哲三さんとともに長男の圭さんがその想いを受け継ぎ用途に忠実で使い勝手の良い器「小石原焼」の伝統を受け継ぎながら作陶に励んでいます。

最後には、太田ファミリーと一緒に。半日以上の長い時間、私たちのために丁寧にたくさんのことを伝えていただき、本当にありがとうございました。

NIPPON VISION MARKET「小石原焼 太田哲三窯」展は7月3日(火) まで開催しております。ぜひ、この機会に太田哲三窯のうつわに会いに来てください。

小石原焼

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