狭山茶の生産をする新井園見学レポート 後編

茶畑を見学した後は収穫した生の茶葉を製茶する工場を見学させてもらいました。狭山茶の多くは茶園が製茶の工場も併設していますが全国的に見るとこれは珍しいケースなんだそうです。

見学に行った時はまさに1番茶の製茶をしていて、工場内の機械はフル稼働していました。

朝摘んだ茶葉は特殊な冷風が循環するコンテナ(上記画像)で保管をしています。保管といっても何日もするのではなく収穫したその日の午後には蒸し始めます。この数時間でも常温に置いてしまうと茶葉が熱をだし変色してしまうそうです。

コンテナから出したらまずは中蒸しをします。煎茶で約30秒、深蒸し茶で60秒ほどです。蒸されるフレッシュな若葉の香りがなんともいい香りです。

蒸した茶葉は一度冷やされそのままラインに乗って葉打機へ移動します。この機械の中では蒸した後葉の表面に残っている水分をとばしていく作業で20~30分ほど機械の中で一定方向に打ち揉むこみながら水分を飛ばしています。

次は粗揉機へこの機械も葉打機と同じ動きをしていますが葉への圧力のかかりが違い、ここからは葉に温風を当てながら一定方向に揉みこんでいます。

この段階だと葉の部分はだいぶ細くなって、茎の部分が白く目立っていますがまだまだしっとりとして生葉らしい苦味が残っています。

粗揉機で20~30分した後に今度は揉捻機という機械へ移動します。

これまで一定方向に揉んでいたのですがこの機械では重しをかけながら擦り込むように揉んでいき水分を絞り出していきます。見ていると目が回りそうです!

さらに次の機会へ、まだまだ茶葉は揉まれます。

次は中揉機です。先ほどの粗揉機よりさらに水分が抜けていますので圧をかけさらにガスによって熱を当てながら揉んでいきます。ここからは茶葉の水分を機械で計測しながら設定した水分量になるまで稼働させます。

機械を色々と見ていると『しとり値』という聞きなれない言葉が機械にありました。『しとり』とはなんなのか伺うと、茶葉の状態を示す言葉でしっとりとはまた違うのですが柔らかく絹地を触っているような滑らかさ、肌さわりの良さを『しとりが良い』などといって表現するそうなんです。この感じを体感するため、工程中茶葉を手のひら全体で握って試させてもらっていたのですが仕上がったお茶を触った時、ああこれが『しとり』だ!と感動するなんとも心地い触り心地でした。これは摘んだだけではわからないです。手のひらで握った時初めて感じるものでした。

さて機械の工程に戻ります。中揉機のあとは精揉機へ移動します。ここでも一定方向へ手で刷り込んでいくような動作が行われています。

この段階で見た目はかなり細く針のように仕上がっています。

ここからさらに乾燥機にかけじっくりと乾燥させて水分量を10%ほどへとさせていきます。

乾燥までさせたものを荒茶と言います。荒茶には葉も茎も全て含まれています。この段階までは2番摘みの茶葉まで収穫したものを全てこの段階まで行い、約10度に保った冷蔵室で保存し、ここから1年間様々なお茶へと仕立てていくそうです。

荒茶は新茶の時期だけ市場にも出るそうで茎、葉一緒になった味わいが人気があるそうですよ。

そして、荒茶まで仕上がった後、色と重さによって仕分ける機械によって茎と葉、葉でもその大きさによって分別されます。画像は選別された茎茶です。

それぞれに仕分けられた後、火入れとなります。

狭山茶はこの火入れに特徴があります。九州方面のお茶だと約90~100℃で火入れをするそうですが狭山茶の茶葉は肉厚で強いため通常より温度が高い100~120℃で20分ほど火入れをすることで茶葉の良さを引き出しています。これを『狭山火入れ』と言います。

狭山茶は渋みの中に旨みがありお茶のとろみもあるのが特徴なのだそうです。

 

煎茶は基本的に他の産地の茶葉も組み合わせてお茶を仕上げています。その配分をするのが『茶師』で組み合わせることを『合組ーごうぐみー』というそうです。

最近はコーヒーのシングルオリジンのようにひとつの産地もののお茶も出ていますが通常はお茶のバランスを茶師が見極めて合組し作り上げているそうなんです。合組もどのようにしているのか、また●●●茶と明記する時メインのお茶は何%くらいなのかなどそのあたりも気になるところです。普段産地がどこなのかくらいしか気にしていなかったお茶ですが、実際には収穫時期、茶葉の葉や茎による違い、蒸し方によって全く違う味わいがあることを知ることができました。