「K chair recycled by D&DEPARTMENT」について

現在東京店で開催している企画、
「K chair recycled by D&DEPARTMENT」について、ご紹介させていただきます。


こちらの企画、概要は「ボロボロのカリモクのKチェアを集めてきてD&DEPARTMENTでフルリペアして展示販売する」というものです。

K chairは座面と背面などパーツ交換が可能なのですが、なんでわざわざ手間をかけて直すのか、一番の理由は、シート交換ですと現状のシートはゴミになってしまうのでそのサイクルを止めたいという想いです、、というのが表向きなのですが、私個人としては、「直して使うことの面白さ」を感じてもらいたいという想いのほうが強いです。

去年の5月くらいにusedのyチェアの企画を開催したときにペーパーコードの張り替え職人さん(sim designの坂本さん、本当に凄い方です!)に張り替えをお願いしたことがあったのですが、座面だけでなく、木部フレームのガタ付き、クリーニングまでをびっくりするくらいのクオリティで仕上げていただいてとても感動したことがありました。完璧に修理された経年したyチェアは、新品のyチェアよりも私は魅力を感じました。
受け渡しの時に職人さんが「どんなにボロボロのyチェアでも直せるから持ってきて」と言っていて、ここまで言い切れちゃうのはすごいよな~ととても感動したのですが、なんとなくこの時のことが頭に残っていて、例えば、ザ・ロングライフデザインと呼べる「Kチェア」で同じことができないかな~と漠然と思案していました。つまり「どんなにボロボロのKチェアでも完璧に修理して、新品より価値のあるものを作り出す」ことができないものかと。
考えるのは簡単ですが、ここから私とKチェアとの長い長い戦いが始まりました、、(言い過ぎました笑)

この企画を開催するにあたって、まずはKチェアを仕入れる必要がありました。それなりの数でお披露目したいと思っていたので、目標は16台!リサーチしたところ、2021年現在、Kチェアは思ったよりも中古市場には出回っておらず、かつ、あったとしてもあまり値段が落ちてなく、仕入れにくい現状でした。それだけKチェアは愛されてるんだな~と嬉しく思いつつ、同時にどうしようと、、悩みましたが、諦めずに今まで培ってきたリサイクルのネットワーク(北は福島、南は熊本まで!)を存分に使って、なんとか16台集めることができました!今回集まったのはカリモク60以前のいわゆるオールドカリモクと呼ばれる時代のものがほとんどで、ボロボロでしたが、安く仕入れることができました。

↑Kチェアの座面の中身です。Sバネというものが取り付けられています。

ここからいよいよ修理、まず着手したのが座り心地の改善です。
Kチェアは耐久性のある椅子ですが、長く座っているとどうしてもこのSバネがへたってきてしまい、底付き感のある座り心地になってしまいます。以前にもKチェアの張り替えをお願いしたことがあったのですが、Kチェアに合うSバネを見つけられず、そのときは張り替えのみでの対応となり座り心地は改善されませんでした。
しかし、今回、この企画を開催するにあたって、Sバネも交換して座り心地も改善しなければ「完璧な修理」とは言うことはできないと思ったので、必死にリサーチしてサイズオーダーでSバネを作ってくれる工場を見つけ出しました。サンプルを取り寄せて、研究して、またサンプルを取り寄せて、、このやり取りにとても時間がかかりましたが、なんとかSバネを作り出すことができ、実際に取り付けて、新品のKチェアのような座り心地を再現することができました。(USEDのKチェアと比べるとわかると思いますが、かなり感動すると思います!)

張地は電車やバス、インテリア家具用のモケットの生地の製造をしている、和歌山県の妙中パイル織物さんのデッドストックの生地やリバコ社のチェック柄の生地を使用しました。花柄やチェック柄は柄合わせが難しく手間がかかるのですが、今回はカリモク本体では作っていないスペシャルなKチェアを作りたかったので、職人さんに無理を言って張り替えてもらいました。

木部のダメージが激しかった2脚はウレタン塗装をすべて剥がし、サンディングしてソープフィニッシュで仕上げました!ソープフィニッシュのKチェアなんておそらく、世界でD&DEPARTMENTにあるこの2台だけだと思います。

修理が完成したものにはオリジナルのプレートを取り付けました!「Recycled by D&DEPARTMENT」
日々の業務の中で常にリサイクルについて向き合ってきたつもりでしたが、リサイクルやリペアの可能性をより感じた半年間でした。D&DEPARTMENTの本気のリサイクルを是非店頭で感じていただければ嬉しいです!
この「Recycled by D&DEPARTMENT」プロジェクトは今後もKチェア以外のアイテムでも展開できればと考えております。こちらも是非ご期待ください。

「K chair recycled by D&DEPARTMENT」

D&DEPARTMENTでフルリペアした
USEDの Kチェアを展示販売します。

1962年に誕生したカリモク最初の家具「Kチェア」。

普遍的で美しい形、すべてのパーツが交換可能という作りは、まさしくロングライフデザインと呼べる椅子で、D&DEPARTMENTでも創業以来、USEDを含めずっと取り扱い続けてきました。

Kチェアは耐久性の高い椅子ですが、長く使用しているとどうしても座面のへたりが出てきてしまいます。座面交換はもちろん可能ですが、交換する場合は今まで使用していた座面は廃棄しなければなりません。

今回は経年によりそのまま使用するのが難しくなってしまったUSEDのKチェアを引き取り、パーツ交換ではなく、D&DEPARTMENTでフルリペアし、再販売します。

Kチェアを長く使う上で、より環境に配慮した「張り替え」という方法が、今後選択肢の1つになり、「直して使う魅力」を感じ取る機会になれば幸いです。

※今回のイベントはD&DEPARTMENT独自の企画となります。企画についてのお問い合わせはカリモクではなくD&DEPARTMENTにお願いいたします。

「K chair recycled by D&DEPARTMENT」
日程 2021/12/4(土)~12/26(日)土日祝のみ営業
時間 12:00~18:00
場所 D&DEPARTMENT TOKYO

●お問い合わせ:03-5752-0120(東京店)