スタッフの商品日記 067 月兎印 ホーローポット

業務用ドリップポットをベースに生まれた形

月兎印 スリムポットは、1970年代初頭より変わらないデザインでフジイが企画販売し、野田琺瑯が製造している。
琺瑯は、金属の板を素地に、ガラス質の釉薬をかけて焼き付けて作られ、強度がありながらガラス質の表面により汚れや臭いがつきにくい素材。このホーローポットも強度を保ちながらも、釉薬の質感によりまろやかな印象だ。ボディの美しい曲線もスリムポットの特長だが、このカーブをつくるために、22個もの鉄のパーツが繋ぎ合わされている。

その後の琺瑯かけの作業でも、釉薬のかけムラのない美しいホーローの肌を生み出すために、工程を細かく分けてつくり続けていた。

このポットの良いところは、直接火にかけてお湯が沸いたら、そのままドリップポットとして使用ができること。鉄製のため熱伝導率も良く、初心者でもこれを使えば、コーヒー豆のねらった場所に細くお湯を注ぐことができること。またスリムの名のとおり、収納するときも場所をとらずにしまうことができる。


野田琺瑯工場見学

続く歴史

キッチンウェアの開発を手がける専門商社「フジイ」は、1923(大正12)年、関東大震災の1ヶ月後に創業。「月兎印」シリーズは100年近い歴史をもつオリジナルブランド。商標には、家庭の平和への祈りを込め、日本語で吉祥を表す月と兎を刻んだ。著名なデザイナーの“作品”よりも、社内の企画開発者や工場の生産者、生活者の声を大切に、息の長いツールを手がけている。


商品やパッケージなどに使用されている月兎印

保存容器“ホワイトシリーズ”の生みの親「野田琺瑯」は、1934年に東京で創業。栃木にある自社工場で全ての工程の加工を行い完成させる国内唯一のメーカーで、精度の高いクオリティコントロール、企画、方向性の相談ができることから「フジイ」が製造を依頼。以降約40年間、共にブランドを守り育てている。


野田琺瑯のホワイトシリーズ(野田琺瑯ホワイトシリーズの商品日記はこちら)

続く仲間

野田琺瑯の工場がある栃木は、北に那須高原の自然、東に日光東照宮があり、西に焼きものの里・益子がある。県内に自然やものづくりの風土が根付いた栃木に、空間づくりも魅力的な、まちづくりの手本ともいえる黒磯にあるカフェ「1988 CAFE SHOZO」では、開業当時からスリムポットが使われ、販売されている。

お手入れに関して

表面はガラス質の為、落としたり強くぶつけたりすると表面のガラス質の表面が欠けたり割れる恐れがあるので注意する。
ガラス質の表面に傷をつけないよう、洗う際は金属タワシや研磨剤は使わずに洗う。
空焚きはできるだけ避ける。
内面の注ぎ口付け根部の穴のまわりが鋼板の切断面になっているため、鉄サビがつくことがあるが衛生上は問題ないが、使用後は水分を切り良く乾燥させる。

お気に入りのポイント
ちょっとコーヒを飲みたい時に、サッと水を入れて火をつければすぐに沸くのが嬉しいです。見た目はスッキリした印象ながら良く見ると底面が広く取られているなどさりげない工夫が良くできているなと実感します。Sサイズでも700mlの容量の為、3~4杯のコーヒーやお茶出しにもしっかり使えます。ステンレスや金属製のポットとは違う、シャープすぎない温かみを感じるような印象は、手作業で仕上げる釉薬掛けによる仕上がりもあってか、しまわずにコンロの上に置きっぱなしにしても、絵になるような愛嬌があって気に入っています。

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