d SCHOOL「わかりやすい ほしいも」開催レポート

『d design travel IBARAKI』の発刊を記念した展覧会「d design travel IBARAKI EXHIBITION」。関連イベントとして、茨城県ひたちなか市で、地域の農家さんと「100%ひたちなか産」の干し芋を作る「マルヒ」の黒澤さんを講師にお招きし、「干し芋」について学ぶd SCHOOLを開催しました。
 
d SCHOOL「わかりやすい ほしいも」
2021年4月10日(土) 13:00~14:30/16:00~17:30
d47 design travel storeでの会場参加と、オンライン会議サービス「Zoom」を使用したオンライン参加の2つの方法で開催しました。


 

茨城県の特産品である干し芋。その中で、全国生産の約8割を担っているのが、ひたちなか・東海地域です。2006年、水戸芸術館 現代美術ギャラリーでの佐藤卓展をきっかけに、デザイナー・佐藤卓氏をアートディレクターに発足した「ほしいも学校」。地元の干し芋メーカーや干し芋農家が参加する「ほしいも学校」について、スライドを見ながらお話を伺いしました。
 

 

 

発足当時、佐藤氏から投げかけられる素朴な質問にも答えることができなかった、と黒澤さんは言います。生産者でありながら、干し芋について知らないことがあると気づいたそう。そこから生まれたのが、書籍『ほしいも学校』です。干し芋の歴史や作り方はもちろん、パッケージや製品の写真、体への効能などを徹底的に調べ、同じく「ほしいも学校」という名の干し芋とセットで、食べながら学ぶ“賞味期限のある本”として販売されました。

 
まるで辞典のような分厚さ。そのページ数は400ページ以上。中には「ほしいも学校 校歌」も。

 
干し芋の歴史や作り方を学んだ後は、実際に干し芋作りを体験。まずは、d47食堂で蒸した熱々のサツマイモ(たまゆたか)の皮をむいていきます。体験用に小さめのサツマイモをご用意くださったそうですが、それでも十分立派な大きさです。

 
お手本を見せてくださる黒澤さん。簡単そうに見えますが、、、刃の当て方が難しい。仕上がりにも影響する皮むきは、思い切りの良さも必要です。

 
皮をむいた後は、専用のスライサーでスライスします。茨城県ではホームセンターでも売られているというスライサー。一般用としては木製のものが主流だそうですが、今回は業務用でもある金属製のスライサーを使います。

 
スライスしたサツマイモを、指でスライドさせながら、1枚ずつ剥がしてスダレに並べていきます。柔らかく熱々のサツマイモは崩れやすく、想像以上に難しい作業です。

 

 
マルヒでは、天日で5~7日間干して完成とのこと(丸干しの場合は14日間ほど)。現在は、雨よけがあるところで干しているそうですが、昔は雨が降ってきたら、みんなで急いで取り込んで、雨が止んだらまた出してを繰り返していたそう。
 
体験後には、d SCHOOLのために特別に作っていただいた「干し芋食べ比べセット」を試食。品種や平切りと丸干しの違い、自宅で作るときのコツなど、さらに詳しく教えていただきました。オンライン参加の方からもチャットを使って、多くの質問や感想をいただきました。

 

冬の食べ物というイメージが強い干し芋でしたが、一年を通して人気があり、大手企業も注目する今は、まさに「干し芋戦国時代」とのこと。その荒波に飲み込まれないよう、地元の農家さんと協力して、美味しい干し芋を作っていきたいと黒澤さんはおっしゃいます。
茨城県の土地と気候、干し芋作りの道筋を作った先代の方々、それを受け継ぎながら世界一、宇宙一を目指して挑み続ける黒澤さんをはじめとするつくり手の方々。自然の恵と意思を持つ人の手によって、美味しい干し芋ができることを改めて実感しました。そして、「ほしいも学校」の活動は、それぞれの土地に合わせて実現できることなのだと学びました。
参加者の方々の溢れる干し芋愛に触れながら、和やかに会は終了しました。
 
「d design travel IBARAKI EXHIBITION」は、2021年6月27日まで開催。マルヒをはじめとする様々な干し芋も販売しています。