”干す”という文化「シラウオ」

「田畑も原野も土肥え、海山の利ありて…海山川野の豊かな土地である。」
(常陸国風土記)

奈良時代に編纂された『常陸国風土記』にて、「常世国(とこよのくに)」と呼ばれていた茨城。
海と山と川に囲まれて平地が多く田畑の耕作もしやすかったため、どの地域で暮らしていても食べ物に困ることは少なかったといいます。

『d design travel』29県目として、その茨城県へ伺いました。
d47食堂では2年前、県都水戸市を含む中央部の県央地域を取材し、ひと足先に「県央定食」を作りました。今回は茨城全域を巡り、関東の食を支えてきた豊富な資源と土地の恵みを存分に体験することができました。

人々は古くから”干す”という加工方法によって食材を保存してきました。
干すことで旨味が凝縮され、栄養価が高まるという効果もあるそうです。
前回ご紹介した「凍みこんにゃく」も天日干しと夜間の凍結を繰り返すことにより、移動や長期保存が可能になりました。
一年を通して日照時間が長いという茨城県。
私たちの取材中も全日程快晴。晴れた空の下で様々な食材が干されている光景を目にしました。

茨城の食を支える豊かな水源 霞ヶ浦
日本で2番目の湖面積を誇る霞ヶ浦。茨城の食を豊かにする流通の要となった霞ヶ浦は、東北と江戸を結ぶ水上交通網として重宝されていました。
そんな霞ヶ浦のほとりにて水産加工業を営む常盤商店さんに、霞ヶ浦で獲れる旬の食材を教えていただきました。

お店に伺うと、軒先でその日仕入れてきたシラウオが箱にどっさり積まれていました。

ざかざかと大きなボウルで計量した後、大きな釜でさっと湯通しします。

釜揚げしたばかりのシラウオは、半透明だった色味が真っ白になり、プリッとした身にツヤが出てとても綺麗です。

それらを網の張った木枠にあげ、工場上の屋上で天日干しします。


ここでも太陽の光と適度な乾燥具合、そして霞ヶ浦からの風によって、旨味の詰まった食材が作られていました。

ちなみに、シラウオとはサケ目シラウオ科の汽水域に生息する魚のこと。シロウオやシラスと間違われることがありますが、シロウオはスズキ目ハゼ科の魚で、シラスはカタクチイワシやマイワシ、ウナギなどの魚の稚魚を総称してシラスと呼びます。

茨城定食では、常盤商店から届いたシラウオの釜揚げをご飯の上にのせています。プリッとした身と程よい塩味、舌触りの滑らかなシラウオをお楽しみください。

「茨城定食」

※左下から時計回りに。

○ シラウオごはん
霞ヶ浦で漁獲されたシラウオの塩茹でを、
白米にのせるだけでもう十分。

○ ほしいも
「玉豊」の平干し、「紅はるか」の粉ふき平干し、
「紅はるか」の丸干し食べ比べ。

○ 蓮根の天ぷら
霞ヶ浦の豊富な水を活かして栽培される蓮根を、
ホクホクの天ぷらに。

○ つと豆腐
豆腐を藁苞で包んで作る「つと豆腐」。
出汁が浸みて美味しい。

○ けんちん汁
里芋、大根、人参、芋茎に加え、
県北の“凍みこんにゃく”を入れる。

○ 在来大豆の納豆
「菊水食品」がつくる在来大豆を使った納豆。
写真は須崎農園の「青御前」納豆。

〈提供期間〉
会期 2021年2月16日(火) - 2021年05月24日(月)予定
場所 d47食堂(渋谷ヒカリエ8F)
価格 1,800円(税込)

〈店舗情報〉
d47食堂 Facebook / Instagram

住所 渋谷区渋谷2丁目21-1 ヒカリエ8F 【MAP
電話 03-6427-2303 定休水曜
店内利用・テイクアウト 12:00-20:00(L.O 19:30)

※営業時間に変更がある場合はSNSにて最新情報をお届けしておりますので、ご来店前にご確認ください。

※d47食堂では、お客様に安心してお過ごし頂けるよう、以下のような対策を取っております。
○間仕切りのない開放的な空間で換気を徹底
○席間の十分な確保
○入口にアルコール消毒を設置
○スタッフのマスク着用