富山の風景の中にある桂樹舎の和紙(八尾町編)

現在富山店で開催中の富山の街と桂樹舎の和紙
富山では、老舗の蕎麦屋や寿司屋、レストランなど様々な場所で、桂樹舎の製品が長く使い続けられ、富山に根付いていることが伺えます。今回は、富山の風景の中にある桂樹舎の和紙を通して、その魅力をご紹介します。
今回は桂樹舎のある八尾町で桂樹舎の和紙製品を使用しているお店に取材に行ってきました。


まず始めにうかがったのは長江屋豆富店。2007年に八尾町諏訪町通りで、長枝さんご夫婦二人で始められた豆腐屋です。店名の豆富の「富」は富山の「富」にちなんでいます。富山の大豆と水を使い、生搾り法にこだわって豆腐を作っています。生搾りとは大豆をすりつぶした呉を生のまま先に搾って、豆乳とおからに分け、豆乳のみを煮る製法です。

長江屋豆富店では、桂樹舎の先代、吉田桂介氏がオープンのお祝いとしてプレゼントしてくれたというオレンジ色の「八尾のとうふ」と書かれたのぼりを掲げています。デザインは桂介氏によるもの。なんとオープンの日にサプライズで持って来てくれたそうです。
ご主人の長枝春一さんは八尾町出身。お母様が桂樹舎で働いており、幼少期からずっと桂介氏と交流があったそうです。お店を始める際にも、桂介氏に相談しに行ったのだとか。長枝さんと桂介氏が非常に親しい間柄だったことが窺えます。「桂介さんは、飾らないフレンドリーな人でした。そして、美術品に詳しく、先輩のような存在でした。」と長枝さんは言います。親子程の年が離れていても、父ではなく、友人に近い存在だったということに驚きです。それほど、桂介氏は親しみのある方だったのだろう思いました。

オープン時に使用していたのぼりを持つ長枝さん。現在使用しているものは昨年の冬に新調した3代目(写真右)。この長さの和紙は桂樹舎では普段作っておらず、特注品。

店内の一角にある椅子には、角座が置いてありました。これも10年使い込んだものなんだそう。いい色になっています。

こちらも桂介氏からプレゼントしてもらったもの。桂介氏の直筆です。当時と価格は変わっていますが、記念にずっと飾っているそう。

淡雪豆富(汲み豆富)をいただきました。甘くてクリーミーで大豆の味がしっかりしていました。

次に向かったのはステーキハウス胡弓。小高い丘の上にあるロッジ風のステーキ屋さんです。店主の澤井さんにお話を伺いました。

大きな窓があり開放的な店内には、20年前にパーティールーム用に特注で作ってもらったという和紙クッションがありました。

使用していない期間が数年あったそうですが、20年前のものとは思えない程きれいです。

フローリングに敷いて使用するために、足が痛くならないよう、通常のクッションよりも厚めの仕様になっています。修理してもらいながら、使い続けています。
坂のまちアートinやつお(八尾町で20年以上続くアートイベント)のときに桂樹舎和紙文庫内にある喫茶パピルスに行った際に見た和紙が素敵で印象に残ったのがきっかけで、桂樹舎に頼んだそう。「それ以来、桂介氏が坂のまちアートの打ち上げでお店を使ってくださったり、奥様と二人でいらっしゃったこともあります。」と澤井さん。来店された際に、桂介氏が傷んだクッションを見て、無償で作り直してくれたことも。桂介氏について尋ねると、「温かみがあって人望が厚い人でした」とのこと。ほぼボランティアの青年会議に、桂介氏の声かけによってたくさんの人たちが集まっていたそうです。

クッションの横側には穴が空いていました。座ったときにクッションの中の空気が抜けず、縫い目が破れそうだったので、相談したところ、穴を開けて空気が通るようにしてもらったそう。

店主の澤井さん。

ステーキランチをいただきました。分厚い柔らかなお肉は、おろしポン酢につけて食べるのがおすすめです。味噌汁つきなのが嬉しい!

今回の取材を通して、桂樹舎が八尾の人々に愛され、八尾の風景となっていることをあらためて感じました。
それは、デザインだけでなく、桂介氏自身も魅力的だったからではないでしょうか。だからこそ、桂樹舎の和紙製品が街に根づいて長く大切にされているのだと思いました。

今回の催事に合わせて、長江屋豆富店にプレゼントされた初代の和紙のぼりと、ステーキハウス胡弓で使われている20年もののクッションを、特別にお借りしました。現在店頭で展示していますので、長く使い込まれた桂樹舎の製品を、間近で是非ご覧下さい。

長江屋豆富店
富山市八尾町諏訪町2617-1
tel:0764-54-7372
営業時間:11:00~17:30
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業、水曜代休)

○ステーキハウス胡弓
富山県富山市八尾町新田3-1
tel:076-454-6020
営業時間:11:00~16:00(LO15:00)/17:00~21:30(LO20:30)
土・日曜、祝日11:00~15:00(LO14:00)/17:00~21:30(LO20:30)
定休日:月曜の夜、火曜(祝日の場合営業)