D&DEPARTMENT JEJU by ARARIOが活動スタート

韓国・済州(チェジュ)島にこの夏オープンするD&DEPARTMENT JEJU by ARARIO。

d初となる宿泊機能付きの拠点で、新しい旅の形や地域交流を提案しながら済州島のその土地らしさを発掘、紹介していきます。

【D&DEPARTMENT JEJU by ARARIO】

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D&DEPARTMENT JEJU by ARARIOが、2020年7月のグランドオープンに向けて、5月23日(土)よりプレオープンとなります。

日本からお越しいただけるのはもうしばらく先になりそうですが、d済州店プロジェクトを少しご紹介したいと思います。済州島に行ったことがある方もない方も、ぜひ楽しみにしていただければ嬉しいです。

 

韓国のD&DEPARTMENT - D&DEPARTMENT SEOUL by MILLIMETER MILLIGRAM

2013年11月、デザイン会社「MILLIMETER MILLIGRAM(mmmg)」をパートナーにD&DEPARTMENT最初の海外支店であるdソウル店をイテウォンにオープンしました。
dソウル店は、日本と世界のロングライフデザイン、そして古くから韓国で伝わる伝統工芸品と特産物、地域のロングライフ商品とリサイクル商品など、韓国ならではの商品を積極的に発掘し紹介して、生産者と生活者を繋ぐ勉強会やワークショップ、イベントを開催するなど、さまざまな活動を着実に展開してきています。

 

韓国内にもう一つの拠点が誕生 - D&DEPARTMENT JEJU by ARARIO

2020年5月23日(土)、D&DEPARTMENTの韓国内第ニの拠点となるd済州店がプレオープンします。d済州店のパートナーとなるのは、百貨店やバスターミナル、美術館経営を通して、人々の生活に文化の感動をもたらすことを経営理念とする生活文化創造企業の「ARARIO Co., Ltd.」です。

ロケーションは済州国際空港から車で15分程、島の北側に位置する旧済州(クチェジュ)エリア。1990年代に市場やショッピングスペース、映画館などが立ち並び、島最大の繁華街として栄えましたが、その後は、繁華街が済州市の南側の新都市に移り、開発が進まず、のんびりとした地元の人々の暮らしが残るエリアです。

アラリオミュージアムに隣接した3階建ての建物で、建築リノベーションは、スキーマ建築計画の長坂常さんが担当しました。これまでの拠点と同様にその土地らしさを伝えるショップやレストランに加えて、今回は、中長期滞在向けの宿泊付店舗「d news(ディニュース)」と、国内外からの観光客が宿泊する「d room」が加わり、新しいタイプのD&DEPARTMENTが完成します。

ARARIOは、2014年より廃業した塔洞の映画館を美術館に改修し地域の文化活動を展開していますが、今後、D&DEPARTMENTの活動を中心に、より塔洞地域の活性化を図り、地域住民や観光客に真の済州らしさと地域らしいロングライフデザインを伝える役割を目指していきます。

D&DEPARTMENT JEJUのプロジェクトは2018年4月にスタートしました。

2019年5月から、既存の建物の撤去を開始します。

スキーマ建築計画が建築や設計のディテールを構想していきます。

既存の建物を尊重し、生かしながら、新しい空間をつくる方法を検討してきました。

 

d済州店の活動紹介

・d食堂 - 済州島の食文化を発掘し、発信する活動

地元の旬の素材を使い、昔から地域でたべられてきた調理方法を基本に、美味しく正しい食事が楽しめる食堂です。地元の生産者を招いての勉強会や料理教室など、済州の食文化を若い世代にカジュアルにわかりやすく伝えていく活動も行っていきます。

d食堂のメニューの一つである「済州定食」

5月のプレオープンでは、済州で昔からハレの日に食べる茹でた黒豚肉がメインとなり、旬のワラビユッケジャン、済州の麦ご飯やニンニクの茎の醤油漬け、切り干し大根のキムチ、在来種の青豆で漬けた味噌がベースのソースなどが並ぶ予定です。

(収穫状況に応じて内容が異なることがあります)

 

・"つづく"を伝えるギャラリースペース - 「LONG LIFE DESIGN 1~47都道府県の健やかなデザイン展~」

様々な企画展示を開催するギャラリースペースが併設されます。

オープニングの企画展は2018年~2019年にかけて、d47 MUSEUMで行われた「LONG LIFE DESIGN 1 ~47都道府県の健やかなデザイン展~」を巡回展として開催します。ナガオカケンメイが考える正しく健全なデザインを感じながら、刻々と変化する現代社会の中で私たちが再び考えていきたいロングライフデザインの概念についてを提案する展示です。

また、今回の展示期間中、日本の47都道府県のロングライフデザインだけではなく、同じ選定基準をもとに、済州島の代表的なロングライフデザインを10点選定して展示する予定です。D&DEPARTMENTが考えるロングライフデザインの概念を理解し、それを私たちが住んでいる地域に当てはめて考えてみる、参考書となる企画となります。

 

・D&DEPARTMENT JEJU - 済州島と韓国のロングライフデザインを発掘し、発信する活動

流行に左右されることなく、つくられ使いつづけられているロングライフデザイン商品を韓国、日本、世界からセレクト。使い勝手の良い生活用品や家具が揃います。済州島の歴史と文化の中で育まれてきた工芸品や地場産業、特産品とその素材や技術なども発掘、紹介をしていきます。

済州島のロングライフデザイン、生産者を訪問し学び、発掘している様子。

D&DEPARTMENT JEJUで紹介する済州島のロングライフデザイン商品。

長く受け継がれてきた技術でつくられる縄や竹の工芸品、島の火山灰を使ったマッコリ杯、島の特産物みかんの収穫かごや、地元のつくり手によるd済州オリジナル商品も並びます。

 

・中長期滞在向け宿泊付店舗 d news - 済州島の新たな魅力をよそ者目線で発見し、地域の可能性を広げる場

D&DEPARTMENTが新たに提案する旅の形、メーカーズレジデンスです。1階のスペースで創作したり、イベントやポップアップストアを開きながら、2階の部屋で宿泊して滞在することができます。滞在中、済州島ならではの素材や技術を学び、地元のキーマンや、コミュニティと交流して、新しく創作活動を広げることができます。

例えば、料理人は生産者や地元住民から島の食材や食文化を学び、新たな解釈でメニュー開発して期間限定のレストランをオープンしたり、音楽家や映画監督は、島で受けたインスピレーションから一晩限りのライブや上映会を開くなどの創作を試みることができます。

これまでD&DEPARTMENTが20年をかけて、各地域で活動を行う中で出会ったネットワークを活かし、様々なコンテンツを通じて新たな交流と創造を生んでいく場所になります。

 

・ロングライフデザインを伝える体験型宿泊施設 d room - D&DEPARTMENT初めてのゲストルーム、地域の個性を育てるための交流の場

D&DEPARTMENTが創業当時から目標としていたホテルが、遂に20年越しに実現します。目指すのは「ホテルのようなもの」。ホテルのようであり、D&DEPARTMENTのショールームのようであり、済州に暮らす友人の部屋を訪ねる感覚で泊まれる場所。長坂常さんとナガオカケンメイの間では、「それじゃホテルになっちゃうからダメだね」という対話を続けながら設計を進めてきました。全13室の部屋のインテリアはロングライフデザインの定番商品とユーズド家具で構成され、ARARIOの監修で地元アーティストの絵画や写真が置かれ、部屋着やカップに至るまで、調度品の全てが購入可能。環境に配慮し、使い捨てのアメニティは排除し、D&DEPARTMENTが選定する定番商品をフロント併設の宿泊者専用ショップで必要に応じて購入していただく仕組み。フロントでは、『d design travel』編集部の独自の目線で選定、紹介する観光の案内機能も備え、交流体験型のゲストルームになります。

d roomの利用は会員制で運営されます。
D&DEPARTMENT初となる宿泊施設は、D&DEPARTMENTの地域活動に共感し賛同いただく方に、一緒に参加し体験することができるサービスをご用意しています。済州で始まるD&DEPARTMENTの地域活動を応援する想いがあるどなたでも会員になることができ、参加メンバーと一緒に交流することができるd roomをつくっていきます。

【ロングライフデザインの会会員について: 日本語韓国語】

※現在、日本からの宿泊予約は受け付けておりません。ご案内できるようになりましたら、会員の皆さんへお知らせいたします。

基本となるコンセプトは、"D&DEPARTMENTに併設するホテル"ではなく、"宿泊することができるD&DEPARTMENT"です。
このため、長い通路と画一的なインテリア、開かない窓、長いレセプションカウンターのような既存のホテルの常識を覆し、店の中に泊まる感覚を取り入れました。ナガオカケンメイが追求する日常と非日常の境界、これまでのホテルの常識をもう一度疑ってみた結果を体験するユニークな宿泊になります。

d roomの備品となるアイテムは、一部、日本国内のD&DEPARTMENTでも販売していきます。商品情報はd webサイトやSNSでも紹介していきますので、ぜひお楽しみに。

 

D&DEPARTMENT JEJU by ARARIO プロジェクトへ寄せる想い

d済州店をスタートするにあたり、韓国内では、ロングライフデザインの会会員となり、「d room」の宿泊を体験する最初のゲストをクラウドファンディングで募集しました。募集開始から1日で目標の100%を超える応援をいただきました。本当にありがとうございます。

募集にあたり紹介した、ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT)、CI KIM(ARARIO)、長坂常さん(スキーマ建築計画)、3人のメッセージをこちらでもご紹介します。

 

ナガオカケンメイ / D&DEPARMTMENTディレクター・デザイン活動家

2000年、D&DEPARTMENT PROJECTを創設。ロングライフデザインをテーマに、現在は、国内外10店舗を展開。2009年、デザイントラベルガイド『d design travel』を創刊。2012年、日本初47都道府県の魅力を伝えるデザインミュージアム「d47 MUSEUM」をオープン。物販、飲食、出版、観光を通じて地域の「らしさ」を再発見する活動を行う。

www.d-department.com

 

”私たちD&DEPARTMENT PROJECTは「その場所(土地)らしさ」をテーマにLONG LIFE DESIGNを合言葉に現在、日本国内8箇所、海外2箇所で「その土地に長く続いている素晴らしい個性」を感じる生活用品、生活様式などを紹介、販売しています。意識としては「その土地に関心のあるみんなでその土地らしい店を作る」こと。今回、クラウドファンディングを使い、それを世界で初めて済州島のプロジェクトで行ってみたいと思っています。意識として考えていたことを実際に募ってみようと思ったからです。皆さん一人一人の意識の終結としてのd済州店をみなさんと作ってみたいと思ったからです。

日本もそうですが、交通、物流の進化で、今ではどこに行っても同じような風景が広がり、同じようなものが売られています。これからますます旅や働き方の自由度が増してゆき、都市にものを集める暮らしではなく、様々な個性豊かな場所に行き、体験していくことが重要になっていく。そのためには「土地の個性に関わりたい」と思う多くの人々の意識がとても重要です。

そうした理由から、韓国済州市にdをみんなで作ってみたい。みんなの応援で一つの「済州らしいd」という場所を済州市に産み、そこに集まる意識に町が、みんなが影響されて、ますます済州の個性が進化していく。世界に一つの提案をしてみたいと思いました。

ぜひ、一緒にd済州プロジェクトを存在させませんか。そして、継続的にそれを存在させ、一緒にその土地の個性を感じる宿泊交流文化施設を作りませんか。よろしくお願いします。”

 

CI KIM / ARARIO

ARARIOは1978年CI Kimが天安ターミナル事業を買収し、創業しました。「アートがあるところに良い人が集まる」という信念を元に天安にアートを中心とした新世界百貨店・忠清店とターミナル、ギャラリー、映画館などが入店したショッピングモールを運営中。また、ソウル、天安、済州、上海にギャラリーやミュージアムを運営し作家を支援して発掘するとともに、CI Kimのコレクションを広く公開してアートがある生活を作ろうと尽くしている。済州の古い建物をミュージアムに改修してアートを中心に、様々なコンテンツを入店させ街の再生に努めている。

www.arariomuseum.org

 

"ARARIOが展開する済州の塔洞プロジェクトは、済州の代表的な旧市街の一つである塔洞近くを2014年10月にオープンしたアラリオミュージアム塔洞シネマ、アラリオミュージアムドンムンモーテル1,2を中心に再生するプロジェクトです。

この塔洞プロジェクトの一環として、ARARIOは、日本のD&DEPARTMENTとD&DEPARTMENT SEOULを運営しているMILLIMETER MILLIGRAMとパートナーシップを結んで、D&DEPARTMENT JEJU by ARARIOの活動を開始しようとします。地域を再生することは、文化芸術だけでは足りず、その地域の文化や生活、そしてストーリーを一緒に入れなければならないと信じているからです。

私たちは、D&DEPARTMENTの活動を長い間関心を持って見守ってきました。

日本の各地域店と昨年オープンした中国の黄山店は、地域をベースにしたお店や活動が人々を繋げており、また、その記録を『d design travel』を発信してきた彼らのノウハウと経験の深さに非常に大きく感動しました。そしてD&DEPARTMENTもアートを愛し、私たちの努力に共感し、一緒に塔洞プロジェクトを盛り上げることに協力してくれました。加えて、過去と現在が共存する空間を作ることもとても重要な部分であるため、現在、これを最も見事にやり遂げているスキーマ建築計画がパートナーとして参加して、私たちが考えている価値とビジョンを込めて視覚化しています。

最近の、地域を再生し、地域の価値を再び出そうとする個人や企業が増えている現状を満足しています。ただし、その流れの中で、文化芸術を中心に置いている場合は、まだ多くないようで、同時に物足りなさを感じます。文化芸術とその地域の生活を込めて出して済州塔洞を再復興させ、さらに多くの人々が真の済州の姿を感じて体験する活動を開始するアラリオミュージアムとD&DEPARTMENTの努力に多くの関心と応援お願いします。"

 

長坂常 / スキーマ建築計画

スキーマ建築計画代表。1998年東京藝術大学卒業後にスタジオを立ち上げ、現在は青山にオフィスを構える。家具から建築、そして町づくりまでスケールも様々、そしてジャンルも幅広く、住宅からカフェ、ショップ、ホテル、銭湯などを手掛ける。どのサイズにおいても1/ 1を意識し、素材から探求し設計を行い、国内外で活動の場を広げる。日常にあるもの、既存の環境のなかから新しい視点や価値観を見出し「引き算」「誤用」「知の更新」「見えない開発」「半建築」など独特な考え方を提示し、独自の建築家像を打ち立てている。

<代表作> sayama flat / hanare / flat table / coloring / blue bottle coffee / 桑原商店 / お米や / DESCENTE BLANC / HAY /東京都現代美術館など

www.schemata.jp

 

"「見えない開発」

済州島の北、塔洞。この地域は1990年代に市場やショッピングスペース、映画館などが立ち並び、済州島最大の繁華街として栄えました。その後、繁華街が済州市の南側の新都市に移り、開発が進まず、一旦寂れかけ、部分的に廃墟と化しているとこもある街でした。 そして、かつて町の中心的存在であった映画館が鉄骨まで盗まれなくなるほどボロボロでそれをリノベーションしできたのが交差点に位置し一際目立つ「ARARIO MUSEUM」で、それ以外にも複数買取少しずつ改修を続け、それあってかどうかはわかりませんが、この地域もだいぶ息を吹き返しています。
そして、さらにARARIO MUSEUMの北側の二棟を同時に改修し物販・飲食・出版・観光などを通して、済州島の「個性」と「息の長い、その土地ら しいデザイン」を見直す拠点としてD&DEPARTMENT JEJU by ARARIOができる。その中には今までのショップと食堂以外に、長期滞在型ワークショップ機能であるd newsとその場所を国内外から来て楽しむお客さんが宿泊するd roomが加わり新たなタイプのD&DEPARTMENTがチェジュ島に完成する。
また、ARARIO MUSEUMの西側にはFREITAGと済州島の全土を自転車でつなぐハブになるべく作られるレンタルバイク屋「PORTABLE」ができる。さらに、その改修は隣のサウナビルにも至る予定で少しずつこの辺り一帯が塗り替えられていく。
これらを我々は「見えない開発」といっている。というのもアジアにおける開発の多くが巨大開発で、ある一帯を一掃し、そこに巨大なビルをつくり、人を集める起爆剤にしてきました。そして同時にその土地土地に引き継がれてきた歴史を消し去り、新たな新旧の境界線が町の中にくっきり作ってきました。そのようなスクラップアンドビルド的な開発をこの数十年アジアは繰り返してきたが、その結果、結局便利だがどこも同じような空間、商品、味を提供する街が生まれた。
そんな均質な都市像にそろそろ嫌気をさして来ているアジアの人々も増えてきていて既存の建物を生かしつつ街をリノベーションしてゆく開発が少しずつ増えてきており、それを我々は「見えない開発」と呼んでいる。
その見えない開発によって得られる体験は、ヨーロッパの積み重なる崇高な歴史を感じる町の改修とはまた一味異なり、すでにバラバラに作られ統一感のない外装を各々持ちながらも内装で関係を築いていきます。そして見えない隣のビルの内側に対する期待が町のワクワク度をあげる。そして、実際に予想のつかない体験ができる街になる。"

 

今後も、d済州店の活動を、webサイトやSNSで発信していきます。

d済州店ができるまでの様子は、ナガオカケンメイのnoteでも公開中。気になる方は、ぜひご覧になってください。

私たちの活動に賛同してくださる皆さんと一緒に、d済州店をつくっていきます。済州のその土地らしさを守り、より素敵な場所に発展させていくことができるよう、皆さんの応援をよろしくお願いいたします。

【D&DEPARTMENT JEJU by ARARIO】

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d済州店店舗情報(d webサイト内)