D&DEPARTMENT TOYAMA 公開商品選定会 レポート

ロングライフデザインをテーマに活動するD&DEPARTMENT。
について、富山の地で考え、広め、発掘する活動をD&DEPARTMENT TOYAMAで始め、4年が経ちました。

今回富山店ではD&DEPARTMENTが発信する富山のロングライフデザインな商品について、みんなで話し合いながら考える、「D&DEPARTMENT TOYAMA 公開商品選定会」を9月13日に開催しました。

 

 

D&DEPARTMENTはロングライフデザインを以下の10ヶ条として定義し、その土地に根付くロングライフデザインな商品を健やかに伝えていくことで、本当の豊かさを追求していく活動を行っています。

 

■D&DEPARTMENTが考えるロングライフデザインの10ヶ条

1.修理をして使い続けられる

2.価格が適正である

3.意思がある売り場との関係がある

4.メーカーに愛がある

5.使いやすいこと、最新機能を売りにしていないこと

6.安全・安心であること

7.計画的に生産されていること

8.使う側が商品以外の関心を持てるか

9.環境に配慮されているか

10.形が美しいこと

 

今回はこれらの定義に基づく富山らしい商品を、自薦、または他薦によって、一般のお客様から企業の方に向けて公募。結果、企業様や作家さん中心に32件のご応募を頂きました。

そこから書類選考を経て、残った14社に集まっていただき、ナガオカケンメイと富山店のショップスタッフも一緒に、集まった商品をみんなで囲みながら、富山のロングライフデザインについて考えるワークショップを開催しました。

前半はナガオカのトークからスタート。

なぜ今ロングライフデザインなのか、根付く製品の重要性などについて語られ、ロングライフデザインを普及していく為のD&DEPARTMENTのこれまでの活動や、公開商品選定会に至った経緯などを説明。

トークの中で印象的だった雑誌「KINFOLK」が掲げる「小さな幸せ」というテーマ。ニューヨークからほど近くのポートランドでの田舎暮らしを扱ったこの雑誌は、ポートランドでの小商いや小規模のクラフトなど、やみくもな成長ではないそういった小さな幸せにこそ、人々の価値観が移っていくということを紹介し、これを「カッコイイ」として捉えていました。

つまり、富山という地方にとってこれから重要になってくるデザインは、富山でものづくりをする、メーカーや作家さん自身が作っていく時代になり、その中でより長く根付いていく富山らしい個性が、これからの新しい価値を生み出していくのではないかと私たちは考えています。

そういった新しい価値観の基準を探していくD&DEPARTMENTとしてのアプローチの一つが、今回の公開商品選定会です。

後半は書類選考で選ばれた14社が提案する富山のロングライフデザインな商品を囲んだ各社によるプレゼンテーション。富山を代表するアルミの製品や、富山の特産物を活かした食品。そして富山で活動するガラス作家さんの器や、個人で出版を行っている方が製作したペナントまで...様々なジャンルが集まりながらも、それぞれに富山らしさを感じるラインナップでした。

各社の代表がまず商品についてプレゼンを行い、それについてナガオカや他の参加者と質疑応答を行うというスタイル。5分間という限られた時間の中、濃密なやりとりが行われ、プレゼン後は「電子レンジ可ですか?」といった使い手の立場に立った質問や、発注のロットについてのリアルな質問などが活発に行われ、参加者みんなで話し合いやすい和やかな雰囲気で進行しました。

その中でアルミの製品やプラスチック製品などの工業製品について「この商品のどういったところが富山らしいのですか?」といったナガオカから質問があり、富山で制作をする会社としてアイデンティティを発信する意義ってなんだろうと考えるきっかけになったかもしれません。

それぞれ興味深いプレゼンだったのですが、個人的に印象に残ったのは富山のガラス作家、木下宝さんによるプレゼン。木下さん自身は富山の出身ではないのですが、富山らしいロングライフデザインな商品として、シンプルなガラスのピッチャーとコップを持参され、「18年前、富山に来たときに初めて飲んだ水と酒の美味しさを伝えるガラスの器をつくりたい」、「色々試行錯誤した中で残ったシンプルな作品がロングライフに共有できる」と話されていたのが非常に印象的でした。

わかりやすいロゴやわかりやすい富山らしさがない普遍的な作品なのに、この器からは富山らしさがにじみ出ている気がします。

そして木下さんが作り手として心地よいものを作った結果、使い手にとっても使いやすい器が生まれ、それを僕ら売り手が販売し続けて行きたいと思える商品になったという流れに、ものづくりの在り方としてとても健やかな印象を受けました。

プレゼン終了後は今回参加された皆様で名刺交換などが行われ、参加者同士が繋がりそうな気配もあり、これからの富山のものづくりが楽しみな予感を残して、公開商品選定会を終えることができました。

今後の予定としては今月ナガオカが今回参加した14社を見学し、最終的な結果を富山店のギャラリーで報告するという流れになります。

この公開商品選定会を通して、参加者の方達とロングライフデザインについて、考えていけたらと思っています。