木漆工とけしが考える琉球漆器


10月20日より開催中の、NIPPON VISION MARKET「沖縄の漆器 -角萬漆器と木漆工とけし-」展。この展示に参加の「木漆工とけし」は木地師の渡慶次弘幸さんと塗師の愛さんご夫婦。沖縄県工芸指導所、輪島での修行を経て、自然豊かな沖縄県北部で工房を構えています。工房兼自宅は道具が整然と並び、削ぎ落とされた空間ながらも温かみのある室内。お二人のつくりだす器の美しさに実に現れています。

「朱漆牡丹鳥獣草花箔絵六角三段重」


今回の新たな試みとして、加飾を琉球張子作家「玩具ロードワークス」の豊永盛人さん、重箱の吾妻袋の制作を虹色草木染 kittaさんに依頼。「朱漆牡丹鳥獣草花箔絵六角三段重」は、16<~17世紀の琉球漆器の形を写し、塗りもその時代のものを意識して作った重箱に、豊永さんが絵師として同時代の資料より模写したもの。様々な図案の豆皿も、その時代に想いを馳せ思わず見入ってしまいます。豊永さんは初めての絵付けの挑戦でしたが、ほぼ下書き無しで描きあげた事に渡慶次さん夫婦は驚いたそう。六角三段重、豆皿共に完売となりましたが、会期中は店頭でご覧頂けます。
左から渡次慶愛さん、豊永盛人さん、渡次慶弘幸さん。ご自身の個展準備の合間に駆けつけて頂きました。

kittaさんとは器では使用しない樹皮をゆずる事がご縁で、今回の重箱用に吾妻袋を制作を依頼したそう。どちらも沖縄の素材を使っている事に感慨深く感じました。今回は重箱をご購入の方のみ販売となりますが、日常のバックとしても活用できそうです。


木漆工とけしは修理や塗り直しにも対応しており、安心して経年変化を楽しむ事ができます。重箱もハレの日だけでなく、来客のおもてなしや家族とのお弁当箱として、大切な人との日常をより豊かなものにしてくれます。また、漆には殺菌作用もあるそうで、高温多湿な気候には嬉しいものです。
11月13日のうるしの日には、漆器を用いて振舞いの会を催します。「木漆工とけし」の渡慶次さんと、「角萬漆器」の嘉手納さんに素朴な疑問やお手入れ方法についてお答えいただきます。ぜひ、この機会に漆器の魅力を体感ください。