スタッフの商品日記 072 SUNAOカトラリー

使う人に寄り添ったカトラリー

1.日本人の手と、日本の食卓のために作られたサイズ
2.細いくびれ、柄の曲線など、繊細なデザインを支える手作業による加工
3.一度の検品で半数を再研磨に回すなど、わずかな妥協も許さない、金属加工職人たちの高いものづくりの意識


Photo by 山中慎太郎(Qsyum!)

日本人の手に合わせた、やや小ぶりにつくられたサイズ感と細いくびれ、持ち手の曲面など、繊細なデザインながらも工場での製造のしやすさも考慮されたカトラリー。マット仕上げの表面は、指紋や傷が目立ちにくく、毎日、手軽に、使うことが出来る。D&DEPARTMENT TOYAMAのダイニングでも使用している。新潟の燕振興工業と大阪のクリエイティブユニット「graf」がタッグを組むことで、随所に細かな気遣いとデザイン性、技術力の高さを表現している。

誕生
SUNAOのカトラリーは、新潟の燕振興工業株式会社が、大阪のクリエイティブユニットgrafにデザインを依頼し、2004年に誕生。燕振興工業の営業担当者が、grafが掲載されている雑誌や代表の服部滋樹氏のトークイベントに参加したことがきっかけで繋がり、デザインを依頼することとなった。燕振興工業からの依頼は、「日本人の手に合うように、また、食卓でお箸と並ぶことを考え、現在の日本の食生活や食卓にも合うような日本のための道具を日本でつくりたい。」であった。現代の食生活を見直すことにつながるものづくりの想いに共感し、graf のプロダクトデザイナーの松井貴氏が製品化まで1年かけて「使い心地=食べやすさ(つかいやすさ)」を一番に考えたデザインを生み出した。

松井氏「口に直接入るので舌触りや抜け感、安全性なども含めすべてが使い心地につながるかたちを考えました。例えば、持ち手(柄の部分)の厚みや裏面の甲丸状はそのためのかたちです。燕振興工業さんよりいただいたご要望にもありますが、日本人の手や口、テーブルや食器のサイズ、食事の際の食器の数、カトラリーのアイテムの用途などを考慮して各アイテムのサイズを決めていきました。テーブルを囲み、おいしく楽しく食事をする大切な日々の営み(時間)。味わうことや会話を楽しむことを邪魔しない、使っていることを忘れてしまう(意識しない)ようなカトラリーになればと思いつくりました。」


開発当時のデザインスケッチ

研究されたデザイン
「デザイン」「品質」「個性」、かつ、「made in japan」にこだわり、日本の食生活のシーンのキッチンツールとして、人々に“艶”のある“潤い”のある暮らしを提供。特徴として「日本の食卓に合うカトラリー」、「使っていることを忘れてしまう(違和感のない)ようなカトラリー」というコンセプトを、各アイテムの用途と使い方、使う際の動作、日本人の口や手のサイズ、食卓のスペースやお皿のサイズとの相性などに当てはめると、違和感を全部とりのぞくと言う行為になった。その結果、現在のかたち(=使い心地)となった。

ディナースプーン
滑らかな口あたりと抜け感を目指しスプーンの壷(頭の中心)位置を少し奥へずらし先端にかけて浅く平らなかたちにしている。

ディナーナイフ
指先の延長のような感覚で、小さめのお皿の上でも自由な小回りが効くように刃先を短くし、手にした際、人差し指を置くポイントを刃とハンドルの境界に設定。そのポイントはナイフをテーブルに置いた際に刃が浮くので直接触れない仕組みになっている。道具としての機能と丈夫さ、お手入れのしやすさも考慮して作っており、長く使える工夫がされている。




製造工程の様子


1点ずつ職人さんの手作業によって作り出されている


検品も慎重に行い、何度も研磨を行い、仕上げていく




つづく仲間
grafは1998年、服部滋樹氏がインテリアショップで出会った友人たちと立ち上げた。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手掛け、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。「ものづくり」を通して、「暮らしを豊かにする」ことを目指すクリエイティブユニット。大阪の中之島と豊中を拠点に、家具の製造・販売、グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザイン、カフェの運営や食や音楽のイベント運営など、さまざまな手法を使って「暮らし」にまつわるあらゆる事柄に取り組んでいる。「暮らし」は、家はもちろん、住まいの骨子となるテーブルや椅子などの家具や道具、部屋に彩りをあたえるアートや植物など、数え切れない要素の中に成り立っており、異なる専門分野が集まり、協働し活動することは、grafの活動の原点。「graf」という名前は、「自分たちで時代を測る」という信念のもとに名付けられた。常に変化していく「暮らし」の中で、驚きや発見に胸を踊らせ、新しい価値を模索し提案しくビジョンを持っている。




つづく産業
製造を行なっている燕振興工業株式会社は、金属加工の産地・燕市で、1919年にナイフ製造からスタート。現在は、金属洋食器(カトラリー)、道路反射鏡(カーブミラー)、道路標識、グラフィックサインと、4つの基幹事業を持つ多機能メーカー。3代目の小柳考礼氏は、第一線で活躍するデザイナーとデザイン性の高いカトラリーを数多く開発。量産のプロダクトでありながら、繊細なデザインを表現するために職人の手作業による加工にこだわり、妥協を許さないモノづくりの姿勢を感じさせる。




つづく暮らし
「日本の食卓に合うカトラリー」、「使っていることを忘れてしまう(違和感のない)ようなカトラリー」一目惚れするような、暮らしを一生楽しませてくれそうなもの。料理をすること。料理をつくる人。誰かのためにおいしい食事をつくること。そんな人の気持ちを考え、かたちにする。料理がたのしい。愛着がわく。その気持ちは、きっとまた料理にもあらわれる。ともに育ち、スタンダード(定番)となり10年、20年続くことを目指している。


メンテナンス
・使用後は、ぬるま湯と洗剤で洗い、よく拭いてください
・硬いスポンジやたわしの使用は、細かな傷の原因になるのでお控えください
・アイテムごとに区切って引き出しに収納して頂くと傷が付きにくくなります


お気に入りのポイント
使い始めは気が付かなかったのですが、他のカトラリーに比べて握りやすいので食卓で使う機会が必然的に増えました。よく見ると角が当たらないよう持ち手の柄の裏面部分が“かまぼこ型”のデザインなっていたり、またくびれ具合が絶妙でまるでお箸のような感覚で握れます。デザインもシンプルなのでどんな料理でも合わせやすく来客用にも数本揃えて追加購入したいです。(長島加奈恵/d47 MUSEUM)




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