スタッフの商品日記 062 小泉硝子製作所 腰高シャーレ

工業製品のような精巧さの中に感じる手作りの表情と揺らぎ

元々は理化学実験などの用途で作られている腰高シャーレ。昔はガラス製のものが一般的でしたが、最近はプラスチック素材のものも登場している中で、腰高シャーレを作る小泉硝子製作所では、今も職人が一点一点ガラスを吹き上げて作っています。
よく見てみると分かるくらいのガラス素材故の僅かな気泡やスジ、個体差などは、完全な機械の量産生産とは違った、職人の手吹きの技術ならではの味わいがあります。
それが不思議な揺らぎを感じさせ、とても精度の高い工業製品のようでいながら、どこか柔らかさも感じます。

物流用のプラスチックのコンテナボックスや、工場やそこで働く人が使うスチールの工業製品、腰高シャーレを始めとした理化学製品など、ある用途の為の業務用品は頻繁な仕様変更などもなく、変わらない形や機能のまま長きに渡り作られ、使われています。そんな業務用品ならではの耐久性と普遍性をロングライフデザインとして、生活の中に取り入れる提案をD&DEPARTMENTは創業当初から行なっていく中で、この腰高シャーレもいわゆる日常生活用品とは違う視点から選ばれ、店頭に並んでいます。

業務用に医療用品や理化学用品のセレクトが並ぶD&DEPARTMENTの店内

つづく歴史
腰高シャーレを作る小泉硝子製作所は、1912年に東京都台東区三ノ輪で創業し、2002年には茨城に工場を移転し来年で創業110年。
創業当時から今に至るまで、耐熱ガラスであるホウケイ酸ガラスを自社内で溶解し、手作りの日本製の理化学医療用を始めとした硝子製品の製造を続けています。その他にも耐熱ガラス食器、コーヒードリップ用のガラスなどの様々な生活用品の生産やOEMなども行なっています。

創業5周年の記念写真

腰高シャーレの作業工程

小泉硝子製作所で作られる硝子製品は、吹きガラスと呼ばれる製法で、中が空洞のストロー状の形状の竿に、竿下に付いた溶けたガラスに空気を吹き込むことで作られます。通常吹きガラスで使うのは金属状の中が空洞な竿ですが、小泉ガラス製作所では、ガラスで作られた共竿と呼ばれる竿を使用して製作します。
これにより、金属の竿で作るときに入る不純物を入らないようにしています。

腰高シャーレは、通常の瓶などのように底に厚みを持たせずに、蓋と身(本体)の側面と底面の厚みを、できるだけ均一になるように調整しながら作られています。
手吹きで吹いたガラスパーツはそれぞれカットされ、研磨した後に最後に縁を焼きあげて仕上げることで、角が取れ、柔らかな肌のあたりになるよう仕上げられています。

実際の作業工程はこちら

中身が見えて清潔感のある収納に

ガラス素材は中身が見える為、細かな薬や、化粧品周りの小物などを入れるのに優れています。またキッチンや洗面周りとも相性が良く、清潔感がありながら主張も控えめな為、サイズ違いで並べてもまとまりが出てすっきり見えるのも良いところです。

お手入れに関して

水洗いなどをする際は金属製のタワシや、研磨剤入りのスポンジやクレンザーなどを使用するとガラスに傷がつく為、柔らかいスポンジやブラシなどを使って洗ってください。
カラスに熱いものを入れた際はガラスも熱くなっているため、ミトンなどを使って持つようにしてください。
ガラスが熱い状態で、冷たいものに触れることでガラスが破損する恐れがあります。

お気に入りのポイント

綿棒や、薬などこれに入れるだけでパッケージに入ったままの生活用品の雑多な感じがなくなり、見せる収納として使える点がお気に入りです。決して強度が高いわけではなく注意は必要ですが、ガラスの厚みが厚すぎると野暮ったくなり、薄すぎるとものを入れるのも怖い為、この薄さが日常使いにはちょうど良く、軽くて持ち運びもしやすくガラスが綺麗に見えるポイントだと思っています。
蓋と身(本体)がセットなので埃から守るために被せて使うのと合わせて、蓋だけにその日に飲む薬を入れたり、ポプリを置いたり、アクセサリーの置き場所として使うなど、バラバラにして単品使いでも使えるので、実は使い方次第で一個で二度お得な収納用品です。

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