スタッフの商品日記 060  つばめキャンドル つのキャン

“鬼のつの”から生まれたキャンドル
火を点すと柔らかな明かりで空間を照らしてくれるキャンドル。柔らかい光を見ているだけでリラックスできるアイテムですが、この「つのキャン」はインテリアとして置いても可愛い商品。キャンドルと聞くと、筒型の長細いものを思い浮かべる方が多いと思いますが、つのキャンは円錐状。下部にかけてぽってりとしたデザインがなんとも言えない可愛らしい魅力があります。なかなか見かけないユニークな形ですが、名前に付いている通り”鬼のつの”を意識したデザインだそうです。

つのキャンが制作されている新潟県燕市は、伝説の鬼”酒呑童子”の生誕の地とされています。鬼と聞くと、怖く恐ろしいというイメージがありますが、「弱い立場の人々を助ける正義の味方だった」という説もあるそうです。そのため、燕市では”酒呑童子”を人々の縁を結び、願いを叶える神様として祀られています。この人々の幸せを願う存在であることをヒントに、つのキャンは製作されました。

幸せのおすそ分けキャンドル
原料として使われているのは、結婚式場から回収してきたキャンドル。結婚式場で眠っていたものを再形成して製作されています。今では自分の結婚式の記念のキャンドルを寄付してくださる方もいるそう。寄付する前日に夫婦一緒に最後にもう一度火を灯し、思い出を振り返る。そんな素敵な話もありました。
結婚式というと、一生に一度の特別なイベント。新郎新婦がゲストのことを想い、今までの人生を振り返り感謝の気持ちを伝える場です。そんな幸せな空間の中にある、1組ずつのかけがえのない時間が記憶されているキャンドルを使用しています。それだけでなく、さらにスタッフの方の「温もりのある手仕事」がプラスされることで、手元に届く方へ「幸せ」が連鎖する、まさに幸せのおすそ分けキャンドルです。

↑結婚式場から回収したキャンドル

↑実際につのキャンを使って行われたキャンドルリレー

つばめキャンドル
つのキャンは、新潟県の燕市社会福祉協議会就労支援センター内にある「つばめキャンドル」というキャンドル製作チームによって作られています。ここは障がいのある方が働く事業所で、一般就労に向けて、言葉づかいや仕事への責任感、作業の正確さや丁寧さなどを身に付けられるように支援しています。
彼らが大切にしていることは、「障がいがあっても社会とつながりながら仕事に誇りを持って働くこと」。ただキャンドルを作って売るということだけなく、製作チームのスタッフが仕事を通じていろいろな経験を積み重ねられるような環境を作っています。そして、社会の一員としてキャンドルを製作しながら一般就労を目指し、日々「働くことへの意識」を育んでいるのです。

↑つばめキャンドルの直売所。作業室横に常設しており、色とりどりのキャンドルが置いてある。

また、つのキャンは、障害のある人との協働で生まれた魅力的な仕事や働き方の全国公募プログラム「Good Job! Award 2015」において、準大賞を受賞しています。その時、審査員として会場にいたナガオカケンメイが原料の循環、商品のストーリー性、地場の産業、完成度や発展性を評価し、D&DEPARTMENTのオリジナル商品の開発がスタートしました。

商品を販売するにあたり、通常のつのキャンは2色のグラデーションタイプでしたが、D&DEPARTMENTのオリジナルとして白と黄色の単色を製作してもらいました。シンプルな1色だと不純物や気泡が入らないように注意が必要になります。また冬になり気温が下がると凹みが出やすくなります。そのため原料選びから温度調整など完成に至るまで、一つ一つの工程を丁寧に手作業で製作されています。

↑D&DEPARTMENTオリジナルのつのキャン。白色と黄色の2色で2サイズ。

↑右2つが通常のグラデーションタイプのつのキャン

つのキャンの作り方
まず、回収したキャンドルに付いているを汚れやゴミを溶かす前に綺麗に拭きとり、色が変わらない様、低温でゆっくり溶かします。さらに不純物が入らない様、溶けたロウを丁寧に濾します。

凹み対策には、ロウを入れる型をドライヤーで温めて、ロウとの温度差を減らしたり、冬場はさらに段ボールの中に入れてゆっくりと固めていきます。それでも上手くいかない時は、材料のキャンドルの配合自体を変えたりもするそうです。
最後に型から取り出したロウの底の部分を綺麗に平らにし、パッケージングをして完成です。

また、オリジナルの白色のつのキャンは透明の白いキャンドルにマットな白のキャンドルを組み合わせます。しかし、透明のキャンドルは仕上がった時に気泡が出やすい性質を持っているため、より注意しながら型に入れるそう。製作をする際、気泡が出やすい種類の透明キャンドルしかなかったり、使いたいキャンドルが足りない時は、黄色や青色などの色付いているキャンドルの中身を使う等、徹底したこだわりを持って取り組まれています。

つづく地域
新潟県燕市は、古くから金工技術をはじめとした様々な地場産業があります。実はキャンドルを成型する型も、障がいがあるスタッフの動きを考慮しながら、オリジナルの形で製作してもらったそうです。
また、地域の方たちに「つばめキャンドル」の活動を知って欲しいという想いから、キャンドルが製作できるワークショップを行っています。地域のお祭りや学校行事など、幅広い年代層の人が楽しく参加できるような催しのため、リピーターも多いよう。

これはただ活動を知ってもらうだけでなく、つばめキャンドルの製作スタッフ一人一人にとっても良い影響を与えてくれています。最初は接客をすることに対して苦手意識のあったスタッフでしたが、ワークショップで様々な人と関わり、一緒に作業をすることによって、今まで感じていた苦手意識から仕事に対して自信や誇りを持つようになったと言います。キャンドルという媒体を通して、参加者だけでなく、スタッフにも”幸せ”が広がる催しです。

お気に入りのポイント
形状がとにかく可愛らしいのと、商品に込められたストーリーが素敵でとても気に入っています。ちょっとした明かりが欲しい時、今までは間接照明を使っていましたが、デスクで読書や作業をする時はどうしても手元の明るさが足りず、わざわざ近くに移動させて使っていました。しかしキャンドルだとPCの近くやベッドの横のサイドテーブルに気軽に持っていけるので、とても便利です。それに加えて、柔らかい光が近くにあることでリラックスできるからか、自然と集中力も高まるようになりました。燃焼時間も約2~3時間とたっぷり使えるので、最近は何かにつけて火を灯して作業するようにしています。他のキャンドルと比べて蝋が垂れにくいので、使った後の片付けも楽チンです。
また、シンプルなデザインやちょうど良い大きさのため、インテリアとして飾るにも可愛いく、事あるごとにギフトとして購入しています。幸せが詰まったキャンドルを私の手を通して誰かに送り喜んでもらう、まさに幸せの連鎖が続いています。

つばめキャンドル つのキャンの商品ページ