スタッフの商品日記 040 カリモク60 Kチェア

1962年販売開始から長く愛され続けるKチェア

カリモクとD&DEPARTMENTの出会い
2000年、ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT創設者)は、D&DEPARTMENTの1号店(東京店)をつくる準備を進めている段階で、1階のカフェに必要な椅子を探していた時、リサイクルショップで気になる椅子を見つけ購入しました。しかし、その椅子は、ネジが取れてしまっていため、椅子を製造している家具メーカー カリモクに問い合わせてみたところ、その椅子が今でも販売されていた事がわかったのです。その椅子がのちにカリモク60を代表するアイテムとなった「Kチェア」です。ナガオカは、「この椅子をこれからオープンするうちのカフェで使いたい。うちのお店で売りたい。」と思いカリモクに連絡して交渉しました。しかし当時名も知らないデザイン会社の提案に、直接の取引は難しく、都内の家具屋さんを紹介してもらい販売をスタートしました。


( 販売スタート当時、D&DEPARTMENTのプレートをつけて販売をしていました )

カリモク60のスタート
Kチェアは、D&DEPARTMENTで販売をする前、病院や自衛隊、官公庁などで年間数千万円の売り上げがあるだけで、カリモク全体の売り上げの数%にすぎず、いつ生産を辞めても問題ない商品でした。ところが、D&DEPARTMENTで販売をして1年もすると、雑誌などに紹介をされ、爆発的に人気となりました。その後、良いデザインは普遍的に時代を越える「ロングライフデザイン」を伝えていくプロジェクト「60VISION」で、最初のパートナーとしてカリモクと一緒に「カリモク60」として本格的に動き始めます。

( 発売当初のカリモク家具カタログ写真 )

「60VISION(ロクマルビジョン)」とは、日本デザインのスタンダードともいうべき「原点」を持つ企業が集まり、一度は廃盤になってしまった1960年代生まれの商品を掘り起こしてロングセラー商品として販売するプロジェクトです。1960年代は戦後から時が経ち、高度経済成長期へ突入、海外で起きたデザイン運動が日本にも入ってきたこともあり日本人の豊かな暮らしを作るため、各メーカー、デザイナーが奮闘した時代でした。そんな社会背景もあり、1960年代に作られた物には今に通ずるデザインの基盤や、普遍的な良いものが数々生み出されていました。

カリモク60を代表するアイテムとなった「Kチェア」は、2020年で誕生から58年が経ちました。シンプルで圧迫感がなく飽きのこないデザインで、奥行が700mmと浅めでコンパクトではありますが、こだわりのシート内の構造により反発性があり、ゆったりとくつろぐ事ができます。実際、私もワンルームの部屋に住んでいた頃、Kチェアの2シーターを使用していました。ワンルームなのでベッドもあるし、ソファーを置くと圧迫感が出るな、、、と思っていましたが、Kチェアはアームの抜け感があるためか、部屋に圧迫感は出ず、くつろぎの一角となりました。
また、Kチェアは、傷んだパーツを交換し、直しながら使い続けられるノックダウン方式が採用されているので、長く使い続けられのも魅力です。実際に、カリモク60になる前の30,40年前のKチェアのパーツ取り寄せをお受けした事があります。少し仕様が異なりますが、パーツの取り寄せは可能で、新しく生まれ変り喜んでいただきました。

Kチェアのショップリミテッドが販売スタート
名乗りを挙げたカリモク60取扱い店舗が、独自のKチェアを限定製作するショップリミテッドの第4弾が販売スタートしました。

今回のD&DEPARTMENT限定モデル

イメージしたのは、上質なプライベート旅客機や高級長距離列車の旅です。そして、レンジローバーなどの高級車の室内。大きなテーマは「旅・移動」です。
じっと室内に定位置を決めて配置する家具としての椅子に「移動」というのも、ちょっと変わった発想ですが、座って旅をするように過ごすイメージから、移動空間にあるモダンさ、高揚感を考えて、本革をイメージしたネイビーの合皮、シックなピュアオークの木部分をチョイスしました。(ナガオカケンメイ/ D&DEPARTMENT ディレクター)

アームの木部はピュアオークを使用しています
オーク材は古くから家具や家の内装、扉などに幅広く活用されており、木目が美しく耐久性も高いのが特徴です。ポリウレタン樹脂塗装を施しているので水や汚れ、傷に強い仕上げとなっています。

シートは、合成皮革を使用
原料の中に牛革のコラーゲン質(蛋白質)を加えた合成皮革は、革の持っている手触りややさしさ、温かさなど本物の素材感を再現しています。

ショップリミテッドには、カリモク取り扱い当初の様にD&DEPARTMENTのネームプレートがついて数量限定で販売しています。

 

Kチェアショップリミテッドの商品ページ