38    愛のある店・揃える

何度か書いた話ことのある内容ですが、今日、沖縄で知人にある店に連れて行ってもらいました。おおよそカフェなどあるはずのない住宅地の中にそれはありました。入り口の植物の配置、入って店内へのアプローチ、ショップコーナーの様子、テーブルに置かれたカトラリーの様子、どれをとっても「愛」を感じました。

僕は全国の自分の店に行った時、できることはほとんどないのですが、(やりたくても足手まといになってしまうのと、極端に腰痛持ちでちょこちょこ作業できないのとで・・・・すみません) できることは頑張ってやります。その一つが「整える」ということです。「整える」には2つのポインがあります。一つは「配置を考えてあげる」こと。商品も、そうでない例えばフライヤーみたいなものも、横に置かれるものとの相性というのはあります。相性がいいと、場の空気感もグンと上がります。そして、そこには少なからずセンスと愛が必要です。この組み合わせは店全体へと広がり、影響を及ぼしていきます。もちろん、季節(シーズニング)などのリアルな購買欲への刺激も欲しいところです。これがうまくいくと、多少、商品がゆがんでいても大丈夫。そして、もう一つは「徹底的に整える(縦横を揃える)」です。前記したこととは反しますが、やはり店の基本は整っていることだと思います。不特定多数のお客さんが手に取り、元に戻す。服屋さんなんかは、たたんで、広げて、またたたむの繰り返して、ここに愛がないと大変なことになります。

ブランディングのお手伝いをした「イケウチオーガニック」というタオルを中心としたブランドの店舗ディリクションでは、商品としてのタオルの置き方、そして、価格など商品解説POPの置き方など、決めておこなっていただいてます。その表示POPは店内に50以上はあるでしょうか、それを固定しないと決めていて、とにかくずれたら直ちに直す。これがまたずれるわけで、一見、商品の販売に関係なく思うでしょうけれど、店やスタッフの姿勢、ブランドに対する思いなど、商品以外で伝えることができます。また、こういうところに気づくお客さんがいます。そして、そういう方にお客さんになってもらいたいと思うわけで、この微妙な行為ですが、かなり大きなコミュニケーションの一つと考えています。もちろん、このあたりのことを「めんどくさい」と思うスタッフは、このブランドにふさわしくないということになるわけです。

各店をめぐり、「そういうことは大したことではない」「そんなところ、お客様は気にしていない」「そもそも、直しても直してもズレたり、ぐちゃぐちゃになってキリがないから、やりたくない」という意識が、最も問題で、なぜ、そんなことをしなくてはならないか、という意識の共有をするか、そこに関心のない人は、他に行ってもらうか、ということだと思っています。

お客さんがいない店内を見渡して、整っていないところが多いと、直しながら「この店は愛がないね」と思うのです。