96: 必要だけど、買いたいと思うその時を我慢する

今年から小さな新しいd&d「d news」を愛知に開業することで、その準備、開業開始後のことを考え、月の前半(1日~15日)、愛知県に暮らすこととなりました。店は「愛知県知多郡阿久比町」という2万5千人くらいが暮らす「町」です。そんな小さな町に「アピタ」といういわゆる大型商業施設があります。元々は巨大な紡績の機織り工場があった場所で、産業の衰退とともにこの施設が誕生。阿久比町に住む町人にとっては、大事件でした。僕はなんとなく意識して避けてきたのですが(大型商業施設が苦手)、町に暮らすことになり、何かと必要になり、初めて入ってびっくり。なんでもあるのです。なんでもありすぎて、「これでいいじゃん」という気持ちにもなり、こうして「町の質」が作られていくんだなぁと、思いました。

沖縄で中古品の仕入れをするために、沖縄のあちこちのガラクタ屋を巡っていると、その大部分が「ニトリ」とかのものであることに気づきます。決して小さくはないですが独立した「島」。外からものを持ち込むと大変な送料がかかりますから、島での買い物が循環し、結果として「島の質」をわかりやすく作っていきます。そんなことで、わが町「阿久比町」の質を上げるには、やはり「阿久比町で素敵なものを生む」ことが重要になってくる。なるべく外から持ち込まず、町の中で質を意識する・・・・・・。とはいえ、生活は日々、仕事との時間の兼ね合いの中で待ったなしにやってきます。冷蔵庫も掃除機も、我慢して購入しないという選択肢はもちろんありますが、そうも言ってられません。そして、「どうせなら」ということで、「無印良品」に行くことに。もちろん、そこが正解ということでもないのですが、「これでいい」が売っているのは、皆さんもご承知のこと。改めて18歳の時に愛知県から上京し、池袋サンシャイン60の横の「SEIYU」の2階の片隅でテスト店としてオープンした「訳あって安い」というコピーで登場した無印のその成長ぶりを、久しぶりに体感し、圧倒されてしまいました。ここにも「なんでもある」のでした。

大型商業施設も、MUJIも悪く言うつもりはないのですが、自分が選んでいるようで、実は選んでいない。欲しいのは、機能とサイズと価格だけでは決めたらかなり物足りない。その時は満足しても、それをずっと使っていく生活において、今度は「そういう買い物」で買ったもので出来上がっていく「自分の質」はどうなのか、と、考えたくなります。やっぱり、MUJIはよくできていますが、やっぱり物足りなくなる時がくるのが見えます。とはいえ、我慢できない日常生活・・・・・・。笑 つまり、人が憧れるような素敵な深みのある生活者って、「買いたい、必要な時」に我慢しているんだなぁと、考えました。
余談ですが、田舎町に暮らすことになると「MUJI」は天国に思えます。笑 デザインがある。生活へのこだわりを提言してくれる・・・・・。そこにある「意識」に、田舎暮らしを始めたばかりの僕は、なんとなく救われもするのでした。