66:  ひとりひとり

ちゃんと商売をされている方には当たり前の話で恐縮なのですが、商品の問い合わせを個人的に頂くことがあって、それを「ナガオカさんに直接、こんなこと聞いて申し訳ない」みたいに言ってくださる。いろんな雑務にまみれながら、なかなか返答が安定せず、担当者につないでしまったりすることが多いけれど、こういう連絡を頂くたびに、初心に帰れます。本当に感謝です。

もともと僕は当然、店頭に立ち、接客をして梱包配送、不用品の引き取りもデザイナーをしながらしていました。もちろんそれがしたくて店を立ち上げたわけですが、色々と忙しくなり、自分の気持ちを受け継いでくれるスタッフに代わりになってもらっていくうちに、どんどん店の大きさや会社も大きくなりました。お客さんのおかげです。なので店頭にはなかなか立てませんが、こうして個人メールやツイッターのダイレクトメッセージなどから「あの商品はいつ入荷ですか?」「違う色はどんなのがありますか?」など、聞かれると、とても嬉しいのです。

正直いうと、全部を知っているわけではないので、慌ててスタッフに聞いたりしますが、それもとても復習になって助かります。自分も「へぇ、あれからそんなバージョンが出ていたんだね」とか、知ることが多いのです。

店をやっている経営者は有名無名問わず、みんな同じだと思います。ものが好きだし、それを作っている人も好き。それがある暮らしも興味あるし、同じものを持っている人にも関心がある。そして、その気持ちが募って自分でもお店やさんをして、それを販売したい、と、思って開業するわけですから。

先日もメールから商品の問い合わせを頂き、ちょうど僕がデザインした商品だったので、熱が入りました。結局、その方と会ってお茶までしました。笑 

店ってやっぱりひとりひとりなんだと改めて思います。僕は一斉メールが好きではありませんが、もしやるとしても、その基本は意識しないといけないと思います。店をしたいと思った店主、創業者がひとりいる。そこにお客さんとしてのひとりが初めてやってくる。そこで対話して、ひとりの店主が選んだものがひとりの人に売れる。この最初の感動、「お客さんがきた!!」「選んだものが初めて売れた!!」という初心と原点と、そして「基本」。それをダイレクトメールに感じたというお話でした。

来年(本当は今年の夏にオープンする予定だったのですが・・・)、自分のふるさと愛知県に小さな自分が店頭に立つ店を作ろうと計画中です。これもやはり原点に立ち戻って色々と考えて未来に臨みたいということに尽きます。お客さんひとりひとりの顔と名前を覚えられる店にします。当たり前のことですが、できなくなってきた今、まだ間に合う、まだ原点に戻れる。そうダイレクトで問い合わせを頂くたびに思います。