11 ロングライフデザイン

今、ロングライフデザインの定義を見直しています。見直しているうちに、正直、理屈っぽいと思い始めてきました。社会のことを考えすぎて、まるで公共機関のようになっていく。定義通りに品揃えしていくうちに、無印良品のようになっていく。もしかしたらそこを目指してきた結果なのかもしれませんが、みんなが共感するものに、危険性を感じ始めている自分にも気づけました。定義は必要ですが、それを前面に押し出すことの上品さが、嫌になってきた、というよりも、そもそも、そういうことをしたかったのか??と疑問が湧き、それを自問した時に即答できる自分もいて、何か違うなと思いました。
dd SCHOOLの4回目を開催し、自分個人として呼べる2席分の招待枠に、dを始めたあたりに交流のあったコマーシャル製作会社のプロデューサーだった藤原さんをお誘いしました。久しぶりの再会で喜んでいると、藤原さんは鞄から一冊のファイルを出し、その中から写真のプリントを差し出してくれました。2000年のd創業当時の僕が書いた「決意書」でした。

一番、グサリときたのは「普遍的なことでクリエイションをしよう」という締めくくりの一文。まさに、これから行おうと考えていたことが書かれていました。

今日は午前中、商品部のみんなと根本的な商品の見直しをしていました。これは随分前から気になってきた「ただの家具雑貨店に見えてきたdの将来を考え直す」ということから、一度、扱っているものを見直そう、というもので、一つ一つ店頭の商品を見ながらみんなで議論するというものです。今、売れているとか、自分たちが定め、Web上にも公開しているロングライフデザインの10か条に沿っているかということは置いておき、そもそも、この商品は取り扱いたいと本当に思っているのか、という観点と、dとして扱う必要があるのか、という観点からで、私たちの業界でよく言われる「売り飽きる」ということを意識しながら、「飽きたからやめる」ということにならないよう、しっかりと、そして、原点に戻ってみようということです。そんな時に、藤原さんと再会し、この決意書をまるで未来から遣いのように、差し出されたのでした。これはまさに運命的だと思いました。

僕らはロングライフデザインの定義を定め、それに沿ったお行儀のいい店、活動をしたかったわけではないのです。長くつづいている素晴らしいもの、コトの本質を見極め、学び、使い、未来に向けて新しくクリエイションしていく。

藤原さん、ありがとう、やっと気持ちが晴れました。もやもやしていたコトが吹っ切れました。さて、これからパートナー全店と話し合いながら、新たなスタートラインにみんなに立とうと決意しました。