53 定期的

d中国店がやや難航していて、その原因は「とてつもない田舎の奥地」という立地にあるのですが(笑) そんな時、あることを考えました。

dは基本的に直営で店は出しません。出すべきでもない。僕らの考えた「その土地に長く続く素晴らしい個性をその土地の人が編集して紹介していく」ということなので、その土地の人がやらないと意味がないからです。とはいえ富山、京都など直営店はあります。しかし、大阪店、福岡店を閉めたのは「やはり、僕らが東京で現地採用はするけれど、離れた知らない土地のことはできない」と思ったのです。

何を思ったのかというと、フランチャイズ本部として、というか、そもそも店を成立させるってどういうことをしなくてはいけないのかな、と、そこから考えてしまいました。そして、本当に当たり前のことを気づき(今更)ました。それは「商品開発」と「広報」です。商品開発の「商品」は形のある、ないに関係ありません。「定期的にお金を払って欲しくなるものを創造する」ということ。ポイントは「定期的」にです。

雑誌を作る時、これもごく当たり前の話ですが、出版関係の方から「定期刊行物」という言葉を聞き、「ほぅ」と思ったことが30年くらい前にありました。自分のペースで作る。できたら売り場に並べる・・・・・これではお客さんはわからない(買えない)わけで、毎月25日発刊とか、決まっていることで、作っている人のものに関心を湧かせられます。もちろん、不定期で「いつ開店しているかわからない店」みたいなものはありますが、それはそれでいいのですが、ちゃんと商売をしようと考えたら、やはり、「定期的」は大切です。「ほぼ日」って、そこをブランド名にすることで、日刊(ほぼ)の印象を持ってもらえています。

話を戻し、僕らは今、好きな時にものを作り、自分たちのペースで情報発信しています。そうすることで、とても関心を持ってくれるファンのような方は、とにかく「dのことをいつもチェックする」という癖がついて、本当に嬉しいのですが、もちろん、僕らのビジネスの規模だと、もう少し、そうした方々を取り込まないと成立しない。と、中国店の難航を考えた時、「定期的なd的商品」と、あるならある、ないならない、と、これまた「定期的な発信」をしないと忘れられてしまうのです。「成立させる」とは、そういうことだと思いました。そして、その「定期的」ということこそ、本当に難しく、そこがしっかり出来ているって、実はすごいことだと思うのです。変な例えですが、雑誌で例えると「内容」よりも「定期的に出る」ことの方が大切なことなのかもしれないとさえ思います。

個人個人、それぞれの人生、生活がありますが、大きく考えると社会のリズムの中で生きています。そのリズムを意識することで定期的なことがいかに大切かがわかると思います。もっと大きくいうと、地球や宇宙のリズムで私たち地球人は生きている。まぁ、かなりそのリズムを無視して世界中が環境に負荷を与えるという「地球が定期的に行ってきた様々」を自分勝手に崩そうとしている今って、やっぱり後に何か大きな代償に発展するのでしょう。
ロングライフデザインって、実はそういうことも踏まえ、みてみるととても奥深いと思います。