49  4つのハンガー

みなさん、それぞれに「人生の目印」のような「もの」ってありませんか? 僕は「ハンガー」です。どうして僕がハンガーなのかは、正直まだ自分でもわかっていません。なんだか導かれるようにハンガーに興味がある。

最初のハンガーは生まれて初めての一人旅。バルセロナのセレクトストア「ビンソン」に行った時に買ったものです。おそらく26歳くらいでしょうか。学研が出していた(現在は休刊)「FP」というデザイン誌の中で紹介されていた記事を読み、いてもたってもいられなくなり、言語は全く話せなかったのですが、行きました。その頃から「いつかはホテルをやってみたい」という漠然とした夢がありましたので、その備品として、また、その前にそうした普遍的価値のあるものを集めた店をやりたいと思っていたので、「商品」としてハンガーはなぜか、気になっていました。

写真左上がバルセロナのゴシック地区にある小さな店で「これ、全部ください」という意味のゼスチャーを身振り手振りで伝え、きょとんとされながらも、40本くらい獲得したでしょうか。今も我が家にはあります。

その後、帝国ホテルに泊まった際に出会った「ランドリー専用」のハンガー(写真右上)を見つけた時は、本当にワクワクしました。「これだ!!」と思い、問い合わせ、d&departmentを立ち上げた時から取り扱いさせていただいていました。シンプルで気取りがなく、安価で丈夫。それがなんと、しばらくして製造中止に。泣く泣く、dとしてハンガーの取り扱いを別のもので代用。将来のホテルを目指しながら、僕の考える理想のハンガーを探し続け、ある日、自宅で出しているクリーニングのハンガーが気に入り(写真左下)、問い合わせてもらったのですが、特定できず、その代りという感じでハンガー業者を当たった中にあったのが、今回、ホテルで採用するもの(写真右下)です。
僕はずっと自宅のハンガーは適当でごちゃごちゃと使っていました。ひどい時は、半分以上がクリーニングでもらう針金にビニールがコーティングされた簡易なものを使っていて、Tシャツなど肩の形が変に崩れて嫌でした。とはいえ、高額でしっかりした形のものは、スペースを取り、お値段的にもすべてを揃えられません。

今回、これを見つけ、本当に嬉しくてたまりません。最近、これを使って(試験)いますが、Tシャツなどを干し、乾いた時の形の良さは、本当に嬉しくなります。もちろん、通常のクローゼットで使っても問題ありません。何より安いのが嬉しいです。もうすぐ、ホテル開業前に、商品として取り扱いを始めます。ぜひ、みなさん、まとめ買いを!!