豊かな自然と共存する人々が育み繋げる食文化を伝える「富山定食」

取材最終日、今日の最終新幹線で私達は東京へと戻ります。

小矢部市から始まり、呉西から山を越え呉東に入り、富山湾を眺め新潟との県境まで。
カメラには、沢山の写真。記録ノートは2冊目を使い切ろうとしていました。

この取材期間中、大切にしたい富山のキーワードが、私の頭と胸に語りかけてきました。

立山連峰、富山湾、二十四節気、暦、神々と自然を讃え合う暮らし。
「富山定食」がどんな定食になるのか、私達が伝えたい富山のストーリーとは何なのか。
豊かな自然と神々そして、共存する人々が育み繋げる食文化。

その食材の豊富さや知恵の素晴らしさ故に、「富山定食」をカタチにしていく事は難しく、時間が必要でした。毎日、試作をしては、やり直すを繰り返して…。

富山を訪れた時には、田植えを終え瑞々しく大地が潤い、山々から昇る蒸気が空へと繋がる小暑。それから数ヶ月後の9月白露の頃、「富山定食」が出来上がりました。

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呉羽山を境に、呉西と呉東と呼ばれる富山県。
その土地で長く根付き、大切にされ続けてきた郷土食。
丸いお盆の中に、私達の小さな富山ができました。

そろそろ、私の取材記録を綴るのも終わりにしようと思います。

最後に一言だけ。

恩返しと同じような言葉に、「恩送り」と言う言葉があります。恩を受けた相手やモノやコトに直接、恩を返すこと。いただいた恩を別の誰かに送る。その誰かが、また別の誰かに送る。そうやって、山や海、水や空気、季節や神々が富山で暮らす人々に宿り、繋がっていく。それは、気づかないうちに、さまざまな恩を受け、共存を自然と生み出し続けるのだと思います。

それが、私が感じた富山県。

全部じゃなくていいんです。
私達も自然の一部なんです。と言う考え方。
旅に出る度に、沢山教えてもらうのです。
顔を上げれば、立山連峰が。いつだって、私達を見守ってくれています。

「富山定食」には、溢れる程の出会いがありました。
ごちそうさまのその後に、少しだけいつもより心の奥が温かくなってもらえたら嬉しいです。

「富山定食」
会期 2021年10月15日(金) - 2月上旬頃
場所 d47食堂(渋谷ヒカリエ8F)
価格 2,100円(税込)

〈店舗情報〉
d47食堂 Facebook / Instagram

住所  東京都渋谷区渋谷2-21-1 ヒカリエ 8F
電話 03-6427-2303
営業時間 月火木|11:30-20:00 金土祝前日|11:30-21:00 日|9:00-11:00/11:30-20:00
※水曜定休
※日曜日はd47食堂モーニング開催のため、朝の時間帯も営業しています。(第5週目を除く)