草加せんべいの庭 見学レポート

先月のGREATER KUMAGAYA ORGANIC FES 2018で開催した「わかりやすい草加煎餅」で講師としても参加いただいた山香煎餅本舗。私たちスタッフもdSCHOOLを開催する前に現地へと行き勉強会を行ってきました。

今回はd design travel 埼玉号に掲載されている山香煎餅本舗の経営する「草加せんべいの庭」というカフェと体験施設も併設された店舗へ行ってきました。

一見すると素敵な庭園のある和食店のようです。
風と木漏れ日を気持ちよく感じながら店舗へ近づいていくと屋外にずらりと並んだお煎餅焼きのコンロが目に入り、カウンターにはカフェメニューがあります。なんと煎餅の名のつく色々なメニューが!もうスタッフみんなでメニューに釘付けです。がそのお話は後半で。そして逆側にはお煎餅がずらりと並んだ店舗があり、店内でも食事が楽しめるようなスペースもあります。

私たちはまずお煎餅の体験焼きにチャレンジしました。

山香煎餅本舗の河野文寿さんにお煎餅の素材のお話や焼き方を教えていただきながら体験焼きを始めます。お煎餅焼きはもっとじっくりしっかり焼くのかと思っていたら意外にすぐ生地を表にして裏にしてと返す作業が大変です。お煎餅が膨らみ始めると今度は膨らみを抑える作業まで追加され私たちは終始河野さんの呼びかけに必死について行きながら焼き上げて行きます。結構厚みのある生地でしたが焼きの時間は5分ほどであっという間でした。

こうして焼きたてのお煎餅が完成です。なんとも香ばしい香りで、ついあっという間に間食してしまいました。

煎餅焼きの職人は毎日焼くことで日毎に変化する生地の状態を見極めながら焦がさずにそして均一に焼き色をつけて焼いていくのだそうです。

私は、煎餅というとスーパーやおみやげ屋さんなどで買う印象が強く実際に作ったことはもちろんないし、どうやって作られているのか想像はつくけれど確信はないそんなレベルでした。きっと多くの方は同じではないでしょうか?

時代の変化とともに、お煎餅も機械化が進み安価で大量に作られるようになったり、洋菓子の普及なども加わり私たちの生活からその現場は遠いものになってしまっています。もともと草加市にはお煎餅屋さんが約120軒あったのに今では40軒余りに減ってしまい、煎餅焼きの職人もまた減り続けているのだそうです。

山香煎餅本舗が体験焼きの施設を作ったのも、私のように煎餅がどうやって作られてるのか知らない人が多いことに着眼し、まず地域の人たちに煎餅がどうやって作られているのかを知ってもらい、煎餅焼きの技術や本来のお煎餅の美味しさを若い人たちにどんどん広げたいという思いから始めたそうです。

そしてその思いは山香煎餅本舗のお煎餅にもよく現れています。それは商品の裏の成分表をみると一目でわかります。原材料がシンプルなんです。うるち米、出汁、醤油、酒、味醂。添加物や保存料はほとんど使用されていません。お煎餅はこうやってみるとおやつとはいえ日本人の主食が原材料であり、日本食定番の味付けです。それでいてしっかり乾燥させ焼いて作っているため保存力も高く、まさに保存食でもあります。

またここでは定番の草加煎餅だけでなく新しい形のお煎餅にも取り組んでいました。例えば草加せんべいチョコです。これはお煎餅を砕いたものをホワイトチョコでコーティングしクランチチョコに仕上げています。お煎餅、だけどチョコ、そしてすごく美味しい!のです。お煎餅もしっかり生きているけどお煎餅っぽさは強くなくホワイトチョコとしっかりとマッチした逸品。

この感覚は商品だけでなく冒頭で触れたカフェメニューにも通じています。せんべいダシうどん、草加せんべいソフトクリーム、草加せんべいヘルシーバーガーなどどれも言われてみるとせんべいだけどすごく美味しいそんなものばかり。美味しさを追求しつつも主軸はいつもせんべいがしっかりとある。そんなメニューでした。

草加せんべいの庭は誰もが訪れることのできる場所です。ここにくるとお煎餅が好きになり、気づくとみんなで笑って話をし和やかな気分に慣れます。お煎餅の魅力をいろいろな角度から体験できるとても素敵な場所でした。