地元のうどん屋「一文字うどん」

岡山定食では取扱えなかったのものの、現地で出会った美味しい食や素敵な人々を「岡山定食ができるまで 番外編」として紹介していきます。

 

備前ばら寿司のルーツとなったと言われている”どどめせ“を求めて、備前福岡にあるうどん屋さん、一文字うどんへ伺いました。

お話を聞かせて頂いたのは店長の大倉剛生さん。

どどめせとは炊き込み飯に酢を混ぜた炊き込み寿司で、備前ばら寿司の元祖とも言われています。

日本でまだ酢が作られていない時代、鎌倉時代末期に「備前福岡(現在の瀬戸内市長船町)の市」の船の渡しが町内にありました。そこで行われていた高瀬船の船頭の炊き込み飯にある日偶然酸っぱくなってしまったどぶろくがかかってしまいました。それに気づかず食べたところたいそう美味しかったそうです。それから「どぶろく飯」が訛って「どどめせ」となり、後世に伝わり、備前ばら寿司へと発展していったと言われています。

 

今やこの料理が外で食べれるのはこのお店だけ。セルフ形式でうどんが食べれる店内に、どどめせも並んでいます。

うどん作りにこだわっていく中で、備前福岡で食を提供し続けることにも着目した大倉さん親子は、備前福岡の郷土料理を継承するためにどどめせを提供し続け、地元小学校にどどめせ作りを教える授業を実施しています。

 

一文字うどんのお話しをするには、どどめせだけでなくこだわり尽くしたうどんの話が欠かせません。

一文字うどんで使用している小麦はすべて地元岡山産の小麦、「ふくほのか」と「しらさぎ」。

ふくほのかとしらさぎのうどん食べ比べができます

なかでもうどんに最適な「しらさぎ小麦」は自分たちの田んぼや周辺農家さんと協力して育てています。

自分たちで育てた小麦、せっかくだから自分たちで製粉しようと思い立ち、祖父の代から続くうどん屋を自家栽培、自家製粉にこだわったうどん屋としてリスタートしました。

地元で育てた小麦を地元のうどん屋が製粉して手打ちし、セルフで提供する。

これ以上にない最高のうどん屋だろう。と意気込んでいたものの、始めた当初は散々なうどんだったそうです。

石臼で擦る製粉は安定せず麺はブチブチと切れボソボソとして小麦の良さが全く出せない。

「こんなのはうどんじゃない。美味しくないと意味がない。だけど正しい小麦、正しい製粉、これが美味いのはわかっている」

様々な葛藤を抱えながら、2代目の父と一緒に毎晩反省会を繰り返していたそう。

4~5年ほど前からようやく製粉技術が安定してきて、やっと美味しいうどんが出せるようになりました。

「美味しいということが大前提で、どれだけこちらが思いやストーリーを話したってうどんはうどん。おじいおばあが作り上げた“地元のうどん屋”の良さを残しつつ、親父と美味しいうどんが出せたら良い、と思えるようになった。僕たちはただ、小麦にこだわって、製粉にこだわって、それが美味しさにつながった。」

この地に生まれたこと、この地で生きること。地域の仲間と手を取り合って育っていくことを考える一文字うどん。

d47食堂として共に歩んでいきたい生産者さんとの出会いでした。

〈店舗情報〉

一文字うどん(Web/Instagram

住所 岡山県瀬戸内市長船町福岡1588-1

電話 0869-26-2978 定休日 毎週水曜日、第1・3火曜日

「岡山定食」

※下から、時計回りに

○備前ばら寿司
酢を効かせすぎない酢飯に、酢締めしたサワラや岡山で獲れる食材をふんだんに使った行事飯

○イシモチ
揚げたイシモチを甘酢で和える。骨ごと食べれる揚げ魚

○ガラエビ出汁と茄子の煮浸し
ガラエビは年中取れて、良い出汁が出る。

○大手まんじゅうの蒸し直し
薄皮の酒饅頭。無添加で、そのままでも美味しいが、蒸し直すと尚美味。

○黄ニラの味噌汁
ニラよりもあっさりとした味わいが特徴の「黄ニラ」をいりこ出汁と「名刀味噌」の米味噌で。

〈店舗情報〉
d47食堂 Facebook / Instagram

住所 渋谷区渋谷2丁目21-1 ヒカリエ8F 【MAP
電話 03-6427-2303 定休水曜
店内利用・テイクアウト 12:00-20:00(L.O 19:30)

※営業時間に変更がある場合はSNSにて最新情報をお届けしておりますので、ご来店前にご確認ください。

※d47食堂では、お客様に安心してお過ごし頂けるよう、以下のような対策を取っております。
○間仕切りのない開放的な空間で換気を徹底
○席間の十分な確保
○入口にアルコール消毒を設置
○スタッフのマスク着用