「ガラエビ」に「イシモチ」岡山の小さな魚介たち

太陽のちからと温暖な気候、災害の少ない土地が育み、続いてきた歴史や文化、人々と触れ合い、この度トラベル誌発刊記念28品目となる岡山定食ができました。

今回の定食取材レポートでは、小さな魚介類を上手に使った郷土料理”ガラエビ出汁とナスの煮浸し”と”イシモチ”を紹介していきます。

小さな魚介の出汁が味わえる~ガラエビ出汁の煮浸し~

岡山の郷土料理を調べるにあたってよく目にしたのが、ガラエビの煮物やアミ大根。

今回岡山にて二つの漁業市場に行きましたが、そこで感じたのはサワラやハモ、タイ以外は小さな魚介類の多いこと。ガラエビやアミエビ、ベイカ、紋甲イカ、イシモチにママカリ。

瀬戸内海で獲れる魚が主なため、あまり大きい魚はいないそう。しかし、中国山脈を伝って大きな河川が3つ(吉井川・旭川・高梁川)流れていることから、海に流れる養分がとても豊富で栄養の詰まった旨味の強い魚が良く獲れます。それらの魚介は小さいながらも旨味が十分にあるため、出汁として使用してもその魚介の味がしっかりと出ます。

魚春さんでばら寿司を振舞っていただいた際もガラエビ出汁の煮浸しを小鉢として出していただきました。ガラエビやアミエビ出汁の煮浸しは、岡山の家庭料理によく出てきます。
いただいたガラエビ出汁とナスと白子の煮浸しは、出汁の旨味がよく浸みていて甘めの岡山の味付けがぴったり合い、本当に美味しかったです。

用意していただいたのはナスと白子でしたが、冬・春にはその時々に採れる根菜を使っているそう。
岡山定食では、ばら寿司を仕込む際に使用したガラエビの出汁を使って、ナスの煮浸しを作りました。エビの旨味と甘めの出汁が効いた煮浸しをぜひ味わってください。

小さな魚の骨まで楽しむ~イシモチ~

小さい魚介は出汁を取るだけでなく、そのまま食卓に上がることもあります。

代表的なのはママカリの酢漬け。ママカリは足が速いことから、酢漬けにして保存食として食べていました。”隣の家にご飯を借りにいくほど美味しい魚”ということからママカリと名付けられました。

そのほかにも市場や食事処でよく目にしたのが”イシモチ”という大きな目と特徴的な縞模様の小さな魚。

正式名称は「テンジクダイ」。頭にある耳石と呼ばれる部位が大きく、印象に残るため”イシモチ”と呼ばれるようになったそうです。

事前に岡山にて取材を進めていたtravel誌編集長の神藤から、倉敷の郷土料理屋「竹の子」のイシモチをぜひ食べて欲しいと一押しされていました。

シャコの唐揚げとともに出てきたイシモチの甘酢揚げ。
なんだかバリバリしていそうな見た目とは逆に、カラッと揚がった身に甘酢がじゅわっと浸みて本当に美味しい。
お酒のおつまみとしても良く合い、岡山の日本酒と合わせて食べたくなります。食べる手が止まらず、ついつい2回も注文をしてしまいました。

竹の子のイシモチは気さくな大将の母の味

今回の定食ではこのイシモチの甘酢揚げを小鉢として取り入れました。
岡山の地形が育んだ旨味の詰まった小さな魚介たちは、ぜひ岡山の酒と一緒に楽しんでいただきたい一品です。

 

「岡山定食」

※下から、時計回りに

○備前ばら寿司
酢を効かせすぎない酢飯に、酢締めしたサワラや岡山で獲れる食材をふんだんに使った行事飯

○イシモチ
揚げたイシモチを甘酢で和える。骨ごと食べれる揚げ魚

○ガラエビ出汁と茄子の煮浸し
ガラエビは年中取れて、良い出汁が出る。

○大手まんじゅうの蒸し直し
薄皮の酒饅頭。無添加で、そのままでも美味しいが、蒸し直すと尚美味。

○黄ニラの味噌汁
ニラよりもあっさりとした味わいが特徴の「黄ニラ」をいりこ出汁と「名刀味噌」の米味噌で。

〈店舗情報〉
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住所 渋谷区渋谷2丁目21-1 ヒカリエ8F 【MAP
電話 03-6427-2303 定休水曜
店内利用・テイクアウト 12:00-20:00(L.O 19:30)

※営業時間に変更がある場合はSNSにて最新情報をお届けしておりますので、ご来店前にご確認ください。

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