鹿児島県のデザイントラベルを考える 3

dトラベル編集部とともに甑島に行ってきました。
甑島列島は上甑島、中甑島、下甑島の有人島3島といくつかの無人島で構成されており、約8000万年前の地層が隆起してできた断崖、玉石の海岸線など、島の成り立ちを生々しく伝える景観が広がります。

水戸岡鋭治さんデザインの高速船に乗り約50分、最初の港、里港へ。この日は偶然にも島立ちの日でした。甑島には高校がないため、島内の中学三年生の多くが卒業とともに島を離れます。江戸時代から「一蔵一銘柄」の伝統をもつ塩田酒造が島立ちを応援するために手掛けている焼酎「島立ち」は、中学三年生が芋の栽培から仕込みを担い、島を旅立ち、島を背負って立て、そんな想いが込められ毎年作られています。
そして出迎えてくれたのは食の活動家としてd47企画展でお世話になった山下賢太さんご家族。山下さんは農業、商店、観光ガイド、豆腐屋などを通して甑島の日常を次の世代へ伝える活動家。

釣り人のみが利用していた釣り宿を、開かれた宿として生まれ変わらせた「FUJIYA HOSTEL」、使われなくなった港を島民の集会所として再生させた「コシキテラス」など、じんわりと島の人々を巻き込みながら新しい甑島の日常をつくっています。
海と風によって岩が崩され、玉石ができ、集落をつくる。海と風を取り込みながら受け継がれてきた甑島の暮らし。見逃してしまいそうな甑島の普通=甑島らしさに、山下さんは気づかせてくれます。



その土地の日常が魅力的な観光資源になる。そんなことを考えた旅となりました。