d SCHOOL「わかりやすい藍染」武州中島紺屋から学ぶ武州藍染レポート

天候にも恵まれ、9月23日に開催された、熊谷初のオーガニックフェス。その中で、メイン会場とは少し離れた場所に、d埼玉店のポップアップストアは出店いたしました。

テント側の会場には、埼玉県全63市町村キーマン展示とスタンプラリーのスタンプ場があり、人の往来が一日中途切れない場所でした。そんな中、開催された藍染のワークショップには、想像以上のお客様の反響をいただき、通りすがりの人の興味を引く内容でした。当日参加のご希望者が予定以上だったため、定員数を増やして開催いたしました。多くの方が「藍染」にご興味があり、染めてみたい!という方がたくさんいるのだな、と実感する機会となりました。

さて、埼玉県羽生市は100年以上にもなる藍染の歴史のある土地で、現在も藍染による剣道着生地の生産では全国の8割をシェアするほどの地場産業となっています。今回、分かりやすい藍染の講師を担当してくださった武州中島紺屋の新島大吾さんはその武州正藍染の伝統を守っておられます。武州正藍染は江戸時代から北埼玉(羽生市、加須市、行田市)あたりで藍の栽培がされていたことからその周辺地域で農業の閑散期に行われたのが始まりといわれています。その手法は、藍の葉から自然発酵建てでとった染料を使い、伝統的な手染めであること、そして中島紺屋さんの多くは糸染めから行っています。剣道着の生地などはしっかりと染め上げるため何十回と染めを繰り返すことで深く美しい藍に仕上がります。

 D&DEPARTMENTではd&REWEARという着なくなった洋服を染め直して、また復活させるというプロジェクトにおいて、中島紺屋さんに藍染の染め直しを年に一度行っていただいております。今回のd SCHOOLでは埼玉県内外の方に、埼玉県内で今でもなお藍染が盛んに行われているということ、なぜ羽生市で藍染がさかんとなったのか、植物由来の藍染の技術の実物を見ながら学ぶことのできる絶好の機会となりました。そして会の後半はD&DEPARTMENTのオリジナル風呂敷を、本藍の染料に化学藍を調合する「割建て」を行なった染料で藍染の体験をしました。

藍は春に種をまき、夏に刈り取り?乾燥?水を加えて発酵?すくもと呼ばれる染料になるまで10か月の期間を要するそうです。藍色を作るための大事な期間、気の長い作業ではありますが、生きている自然を相手にするという“時間”の観念について考えさせられる工程です。この藍色は、繊維に染められたときに、多様な効果をもたらすそうです。自然の恵みを感じますね。藍染をすると繊維が締まり丈夫になる。防虫・消臭の効果、皮膚病の抑制、そして紫外線のカットの効果も。また藍の色には、精神の鎮静化、集中力の抑制、内分泌系の働きの鎮静、発汗を抑える作用があるということです。(武州中島紺屋 HPより)

染め柄の作り方は簡単で、染める布を小さくたたんで、おもいおもいに輪ゴムを絡めていきます。輪ゴムの縛られた部分には、藍が入り込まず、白に抜ける形となりますので、一人ひとりのオリジナルの柄を作ることができます。みなさん、出来上がりを想像しながら、工夫しながら輪ゴムを巻いていきました。そして、輪ゴムがまかれた布をまずは水で濡らします。それから藍の中へ布をつけていきます。よく布を揉み、3分程度漬け込みます。だんだんと藍が空気に触れて発色し、きれいな藍色になっていきます。

特に、子供たちは初めての体験に、青く染まっていく手袋、布の輪ゴムをほどいたときに期待膨らむ仕上がりの柄がどんな風になっているのかと、興味深々に作業を進めていました。化学染料による染めが主流となった今だからこそ、この勉強会を通じて天然の藍による藍染の特徴、そして長く守られてきた伝統技法の知恵、天然の藍がもたらす自然の豊かさを感じていただけたのではないかと思います。ご自身で作ったオリジナルの藍染を使うたびにそういったことを思い出していただき、皆さんの生活の中の藍染が当たり前の存在になるといいな、と思います。