d design travel WORKSHOP SHIBUYA 制作がスタートしています!!

2021年8月29日(日)、渋谷ヒカリエ8Fの「8/COURT」で『d design travel』の編集方式に倣い、市民参加者のみなさんと作る渋谷の観光ガイド『d design travel WORKSHOP SHIBUYA』のキックオフイベントが開催されました。

『d design travel』本誌は、編集部が特集県に赴き、暮らすように旅を続けながら、各地のロングライフデザインを感じるスポットを巡り、それぞれの土地の個性を見い出し編集していくのですが、『d design travel WORKSHOP SHIBUYA』は、渋谷近郊に住んでいたり、暮らしている方々が参加し、本誌同様、観光・レストラン・ショップ・カフェ・ホテル・キーマンの6つのカテゴリから4つずつを選びだし、ロケハン、取材、原稿執筆、撮影、取材先への確認などの、編集の一連の作業を通して「渋谷らしさとはなんだろう?」というテーマを掘り下げながら制作を進めています。

県単位のものと違って、もう少しエリアを狭め、市町村単位のエリアで制作が進められているのも特徴の一つです。

キックオフは、『d design travel』発行人の、ナガオカケンメイによるトークイベントからスタートしました。

これまで29の都道府県をそれぞれ一冊ずつ、土地に根付き続けるロングライフデザインという視点で発刊してきた『d design travel』。
制作の過程で、「土地の魅力」「土地の個性」を見出しながら、掲載箇所を選んでいく際の、視点の持ち方などについて話されました。

デザイン=見た目の良さ……と捉えがちですが、表面的なデザインだけでなく、その裏側にある歴史や背景、ものづくりの姿勢、地球環境への配慮、その土地の風土や気候が育んだもの……など、複合的な観点で掲載候補を選び、実際に訪れ、訪れた際の経験や感動をもとに、掲載箇所を絞り込んでいきます。

『d design travel』では掲載地選定の考え方として、下記を念頭において編集を行なっています。

●取材対象選定の考え方。
- その土地らしいこと。
- その土地の大切なメッセージを伝えていること。
- その土地の人がやっていること。
- 価格が手頃であること。
- デザインの工夫があること。

トークの後には、参加したみなさんが、6つのカテゴリに分かれ、「渋谷」の個性、魅力について話し合いながら、それらを体現しているスポットやショップを選ぶワークも行ないました。

10代~60代の幅広い世代の方々が集まり、それぞれの世代で捉える「渋谷らしさ」について話が盛り上がります。

渋谷といえば、百貨店やデパートなどの大型商業施設が立ちならび、どんどんと店が変わっていく、変化の大きな街というイメージも強いなか、戦後の復興の場所になった「渋谷百軒店」や「のんべえ横丁」などには、まだまだ足繁くファンが通う老舗も立ち並んでいます。
アートや芸術、ファッション、音楽、そしてサブカルチャーの発信など…、渋谷はさまざまな側面を持つだけに、どの場所を「渋谷らしさ」として捉えるかが今回の肝になりそうです。

何度か各地でコーディネイターを務めさせていただいていますが、この「候補地」を探す…というワーク自体が、ロングライフデザインの視点を育む良いトレーニングになるのではと考えています。

参加するのは、それぞれの土地に住む方や、働く方ばかりなので、皆さん本当にその土地のお店やスポットをよく知っています。

たくさんの候補が飛びかう中、街のプロデューサーになったような視点で、その土地の風土、気候、歴史、人の営み、そこで暮らす人たちの間に育まれた気性のようなものを、言語化し、大前提としてある「土地のらしさ」を体現しているスポットやお店、活動などを選出していきます。

単なるお店探しではないだけに、土地のらしさの言語化にいつも悩み、いくつも出ている候補の中で選びきれなくなってしまう時も。


この翌週から始まった3回連続の『d design travel WORKSHOP SHIBUYA』号を作るワークショップからは、実際に24名の参加者たちと一緒に、渋谷らしさ、渋谷のロングライフデザインを考え、悩み、思いを共有しながら、制作を進めています。

このワークショップは、単に取材の仕方、原稿の書き方、写真の撮り方を教えるワークショップではありません。
掲載先を選ぶこと、選ぶ際の自分の視点を鍛えること、候補先で何を見て、何を感じたのかに気づき、自分の感度を高めること。そして、選んだ候補地の魅力を、自分のことばで伝えること。
ありのままの姿を映しつつも、紹介する場所の魅力が伝わる写真を撮影すること。
こうした一連の行程から、自分たちの街に必要な「土地の個性」について改めて考える。
そうして仕上がっていくワークショップ号は、作り手たちにとっても愛すべきものになるし、読み手にも伝わっていくのではと思います。

次回のレポートでは、ご参加くださった24名の皆さんが、3回連続ワークショップを経て、どのように制作をすすめているのか、進捗状況をご案内いたします。

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●完成に向けたワークショップをレポート!!