41    オリジナルとは何か?

中国店の課題は何と言っても「中国セレクトがまだまだ少ない」こと。dには「その土地のロングライフデザイン」「その国のロングライフデザイン」「世界のロングライフデザイン」の3つをバランスを見ながら売り場に並べています。どの店も立ち上がりは「世界の」が多く、よそから来た店という認識もあり、ものめずらしい自分の土地にないものが売れます。その時期を経て、半分以上を自分の土地のものに代えていくわけです。今回はその打ち合わせ、すり合わせに行ってきました。

その土地のロングライフデザインには、2種類方向性があります。1つは「探し出す」もの。デザインなど、そのままに選び出すことです。もう一つは「オリジナルを作る」です。dでは常に「最新型ではなく、過去に作っていたもの」から見せてもらいます。その中でまだ作っているものがあれば、それを取り扱わせてもらう。できたら色や素材を変えたりして、dでしか手に入らないものの可能性を探る。廃番になっていたら、「復刻」の可能性を探るわけです。そして、完全なオリジナルの可能性も探るわけですが、ここは注意しながら進みます。どんな注意かというと、「オリジナルを作る目的」です。

僕らは「なるべく新しく作らない」という意識があります。なのでdの「オリジナル」とは、その土地の伝統的なものが衰退しそうな時など、必然がないと作りません。もちろん、その制作する地域にとって毎月、どれくらいの仕事としてあると、ちゃんと働き、ちゃんと休めるか。その適性量を割り出し、こちらの販売力と照らし合わせ、価格やロットを決めていきます。まぁ、簡単に言えば「儲けるためのオリジナル」ではない、ということです。ただ、結果として特別なものになるので、売れます。ここはあまり考えず、健やかさを徹底的にやっていけば、自然と売れる。とでも思ってギスギスやらないように心がけます。

今も若干ありますが、昔はオリジナルといえば、儲けるための既存のデザインを少し変えたくらいのものに、ブランド名を入れただけ、みたいなことはありました。そのたびに「何がオリジナルか」という議論が起こりました。いろんなオリジナルの考え方はありますが、僕らは「継続してほしいものを継続させるためのスタイル」に、オリジナルという観点をつけようと気づきました。

今回も、産地を訪ね、しっかり対話し(なので、深い飲み会に発展していくわけですが・・・・笑) どうなっていきたいか、という作る側のビジョンを聞き、お互いに幸せになる方法を探ります。ただ、こちらの発想が「オリジナル」で、それをただ、価格を決めて作る。それだけでは結局、幸せに続かないと、気づいたのです。