清原織物 工房見学レポート

1837年に京都で創業された清原織物さんに行って来ました。

清原織物は、室町江戸時代より代々家業として綴織(つづれおり)を継承されています。綴織とは、日本では袱紗や帯、劇場の緞帳(どんちょう)などに使われてきました。約4000年という歴史があり、西陣織の中でも最も古い織物ですが、現代では、日常で触れる機会が減っています。
この現状を受け、清原織物十一代目の清原聖司さんが、日常に調和するものをつくることをコンセプトにした「SOHACHI」というブランドを立ち上げました。

現在、工房は滋賀県の守山市、のびやかで大きく山々が広がるところにあります。
まずは緞帳の工房見学へ。中に入ると広い倉庫のような所に50mぐらいの織り機があり、6人の職人さんが間隔をあけて並び、織られていました。?

緞帳は、織るデザインをみて図面を設計し、そこから糸を染色するところから始まります。一度小さいサンプルを作ってから調整し、決定したら本番です。3~5色の糸を1本の糸にし、その糸を使って織っていきます。雲を表現したい時はふわっとした糸を、夕日の光を表現をしたい時は金の糸を配合するなどして、1枚の絵を作り上げていきます。そして、織り機の下に敷かれた図面を見ながら長年の経験をもとに織っていきます。

こちらは「筋立(すじたて)」です。緞帳をおる時は、糸を通した後、「筋立」という道具と指を使って糸をトントンとよせます。1人1mの幅を担当し、1日でおよそ10cm織るそうです。全員でペースを合わせて織っていくため、難しい柄のところはベテランの職人さんが担当し、柄によっては若手と入れ替わりながら織っていきます。

 

 

少しずつ糸を混ぜ込んで、グラデーションにしていくことで、立体的にみえます。

こちらは清原織物のラグです。このようなグラデーションは、機械ではできず、手織りだからこそなしえる手仕事です。

 

続いて、清原織物さんの工房へ。
清原さんは大工仕事が得意で、ご自身で改装なさったそうです。

作業部屋に入ると織り機のカチャカチャと心地よい音が聞こえて来ました。織ったときの生地のアラをわかるようにするため、電気はつけず、自然光のやわらかい光をたよりに、リズムよく、手際よく糸を通し、織られていました。
私が1番驚いたのは、職人さんのツメです。

緞帳と違い細かい作業になるので、職人さんはヤスリを使って爪をギザギザに削り、自分のツメも使ってよせます。

手織りだからこそできる、グラデーションや立体感は本当に美しく惹きつけられ、4000年も前から綴織がなぜ続いているのか、わかったような気がしました。
昔ほど触れる機会がなくなってしまった綴織ですが、「SOHACHI」を通して、私も綴織の素晴らしさを伝えていきたいと思いました。

D&DEPARTMENT KYOTOではギャラリースペースにて清原織物「SOHACHI」の定番アイテムである名刺入れのほか、袱紗、懐紙入れの販売、名刺入れのオーダー会も行なっています。清原さんがお持ちの糸の中から2色選んでいただき、自分だけのオリジナルカラーの名刺入れが作れます。手染めで染色したもののため、1点1点色が異なります。

実際に現在も使用されている織り機もギャラリースペースにて見て頂くことができます。歴史ある綴織とその美しい手仕事を、是非多くの方にご覧頂きたいです。
『NIPPON VISION MARKET「清原織物 SOHACHI」』は、4月23日(火)まで開催中です。