33 意識次第

オノセイゲンさんとのトークショーを開催して、思い出したことがあります。自分たちの場所の価値についてです。

私たちには緊張感のある、お気に入りの店や場所がありますね。例えば僕なら岩手の光原社。キリッした緊張感、品揃え、接客のトーンに触れると、「よし、家に帰ったらもう少し、ちゃんと生活しよう」と、気持ちを新たにすることができます。

私たちdに限らず、最初の頃にあったそうした店にある初心のようなものを、日々の業務や個人的なもので、忘れそうになることがあります。そして、忘れ、そういう初心すらあることに気づかなくなっていきます。そこにお客さんが反応し、そこの緊張感が好きだったので、離れていく。もうこなくなっていく・・・。これはどんな店、ブランド、会社にもあてはまります。

緊張感を持った店とそうではない店の違いはただひとつだけ。それは「意識」です。

セイゲンさんとトークをして、過去、坂本龍一さんや、タチバナハジメさんなど、トップクリエイターと場所を共有できた過去を思い出しました。そこにあった緊張感を思い出したのです。そして、同時に、それを作っていた私たち自身、僕自身の「意識」を思い出せたのでした。

どんな日常でも、世界的なクリエイターがいつきても、しっかり対応できる空気感、設えなどを、例えば、平日のなにもない今日、思い出せるか。オープンの時の華々しい緊張感、高揚感をお客さんや、一緒に働いている仲間と今、思い出し提示できるか。それは各自の「意識」でしかない。それを思い出しました。つまり、緊張感のある店には、本当にふつうの日でも、そう意識してひとつひとつの店頭業務に臨んでいる。そういうことだと思いました。

定期的にみんなでがんばって緊張感のあるトップクリエイターとの企画は、働くすべてのスタッフにより重ねられ、積み重なってブランドの緊張感となっていきます。しかし、1日、1日とその意識を忘れ、店頭に業務に追われると、せっかく積み上げたものが、ひとつ、またひとつと無くなっていく。

今日、新たにとてつもない緊張感を頂きながら、みんなで日曜日の売り上げを度返しして店を閉め、企画イベントをした意味を、明日からの「意識」に替えてまた、次なる高みを目指したい。そう、思いました。「意識」は、簡単になくなったりします。それを毎日思い出せる店や場所やホテルやブランドだけが、次なる緊張感を挑める。心新たにしたイベントでした。