『東洋的な見方』 鈴木大拙(KADOKAWA)

D&DEPARTMENT東京店の1階にある、小さな本屋「LONG LIFE DESIGN BOOKS」で販売している本を紹介します。

本日の一冊は
『東洋的な見方』鈴木大拙(KADOKAWA)

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(以下、2019年1月15日配信のナガメルの紹介文を抜粋)

以前にここにご紹介したことを覚えています。それからかなり時間が経ってしまいましたが、読破しました。駅伝のランナーになった気分で読み進んでいきました。途中、どうにもわからない部分(宗教的な用語がいっぱいで後続ランナーにぶっちぎられた感じの最後尾ランナーの気分で耐えました)

さて、一言で言うとタイトル通り「世の中には西洋的見方と、東洋的見方がある」という本です。これは岐阜「ぎゃるりももぐさ」の安藤雅信さんから「読め」とアドバイス頂き、読んだ本です。

d&dをやりたいと申し込んでくる人がヨーロッパ圏にいないのも、アジア圏に多いのも、ここだと思いました。全体的に大拙節での「禅」解説と並行しています。禅も結局「東洋的」なわけですから。ひとまず、文中からご紹介します。

「飢えて食い、渇して飲み、困じ来たって眠り、醒めてまた働く、日日是好日で結構この上なしだが、ここに一つ「押さえ」どころを持っていないと、人間ではない。価値の自覚ということがある」文中より

「価値の自覚」ですよ。そんなこと、意識したことないですよね。「価値の自覚」・・・・。

「知性の特徴は、何でもを、まず二つに分けて、それから考え出すのである」文中より

これもすみません。そういえばそうですね。

「抽象の極限と思われるものを、日常生活そのものの上に具現するのである。これを、禅と言ってよい」文中より

わかりません!! わからないけれど、うっすらわかるかもしれない。そういうのが僕は好きです。

「剣道に禅が大いに関係するなどいうと、西洋人は一体どういうわけか。禅は一種の宗教ではないか。剣は何と言っても人を殺すもの、この両者に何の関係があるべきか。禅は人殺しに何の役に立つのかと、大いにいきり立って、つめよるのである。ことに剣は、自分を忘れ、敵を忘れ、殺すの、生かすのというような分別も何もないところから、発足しなくてはならぬ」省略 文中より

東洋人はこれを割と理解すると書いてあります。戦う時は「自分を忘れろ」が東洋的だと。そもそも西洋人にこの手の話は「何を言っているかさっぱりわからない」となるようです。なので、西洋人の一部の人がここにはまってしまうわけでしょうね。

「東洋は母性愛を理想とし、西洋は父性愛が好いという風になっている」文中より

観音さまは母ですねー。キリストの神(ゴッド)はヒゲの生えた年より爺さんですね。笑 そこを「マリア」が補っている感じでしょうか。宗教が親しまれるためには、マリアと観音さまは必要キャラですね。

「東洋民族の意識、心理、思想、文化の根源には、この母を守るということがある。母である、父ではない。これを忘れてはならぬ」文中より

欧米人の考え方の根源には「父」があるようです。父は義、母は愛。こういうの、じっくり日常の中で意識することはないですね。しかし、私たち日本人のDNAの中に刻まれていそうです。

 

と、いうことで、この本、辛いですが、お勧めします。
ロングライフデザイン的にいうと、ものを作り出す人間にも、東洋的、西洋的思考がある。そして、その根底には「禅」のようなものがある。だから、極論ですが、そういう意識が混ざっているようなものは、どうも、長く使いたいとか思うのでしょうね。しかし、僕にはとっても難しい本でした。

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【 LONG LIFE DESIGN BOOKS 】

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