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d design travel誌も、こう呼びかけています。「みんなでお金を出し合って、自分の県らしい場所を選定する本を作ることで、自分たちの個性を再発見、再確認できて、何か開発する時に、他県やヒットした商品の真似などしなくて済むよう、そういう本が必要だと思います」と。実際、そうなっていますが、やはり、とてもお金がかかるので、とはいえ「広告」という形は何か違うようにずっと思ってきました。とはいえ「広告」を頂き、参加されるのが一番「分かりやすい」わけですが・・・。
d newsはこういう言い方で伝えています。「ロングライフデザインなものって、ただ売れることだけを考えていない。その土地らしさなど、大切なメッセージを持っているからこそ、半分は応援しないと無くなってしまう。そうしたロングライフデザインマーケットというものを、世の中の消費を動かす”流行”と共存しながら作っていかないと、みんながトレンドでものを作り、ものを買う世の中になってしまう。それでは素敵な文化や質のある暮らしを生活者としておくれない。なので、流行に流されないロングライフデザインマーケット」を意識させるメディアが必要で、それをみんなでお金を出し合い、作りませんか? あなたの会社のロングセラー商品だって、いつかアッと言う間にトレンドで生まれたものに、また、メディアの流行を追うスタイルに流されてしまう可能性がある。だから、そうした商品、思想を持ったメーカーの皆さんで、メディアを持ちませんか?」と。
ある定番といわれる商品が、売り上げが落ちて廃番寸前だと聞きました。長くつづいているいい商品とは、「いい商品だね」とメディアが取り上げたり、そうしたものを使用し続ける上質な生活者がいないと、簡単に無くなってしまう。老舗の料亭や、街に長らくあったお蕎麦屋さんが、突如、無くなってしまうように、そういう場所や商品は、常に「いいですね」と誰かが言ったり、じぶんたちで発信しなくては「新しい」ものに簡単に負けてしまう。
その定番商品の会社。自分たちのものづくりを信じて、広告も打たず、自ら発信することもなく、一人一人のユーザーと丁寧に向き合ってきた。20年前前ならそれでよかった。なぜなら、みんなモノを欲しがった時代だったし、モノを所有する時代だった。落ち着いて生活していた時代でもあり、メディアが今のように細分化されていなくて、モノマガジンのようなものが読まれ、成立し影響力も持っていた。しかし、今は違うし、そうしたロングライフデザイン商品を持つメーカーの多くは、まだ、そういう時代が「続いている」と思い込んでいる節がある。実際はどんどん「そうした商品を知らない世代」が誕生し、社会人となって行く。そうした素晴らしいものを所有している世代は高齢化していく。次なる全くその商品の存在を知らない世代に何かしらの発信をしなければ、どんなに素晴らしいロングセラー商品さえも、じりじりと売れなくなっていく。売れないのではなく、知られていないだけなのだ。そう思い、また、自分でカリモク60など、素晴らしいロングライフデザインのブランディングなどに関わらせて頂き、本当にそれを思うのです。やはり、あのYチェアでさえ、広告を打ったりしている。そういうロングライフデザインマーケットにいるモノや場所、活動などを紹介し続ける。それがd news paperです。そして、そのメディアは書店で売れ続けていくか、というと、やはり厳しい。だからこそ、関心の高い人たちによって出資し合い、取材、編集、発刊していきたいと考えています。
また、こうもよく聞かれます。「ネット時代、SNS時代になぜ、紙媒体にこだわるのか」この答えはとてもシンプルです。SNSなど、今を生きる人々は大量に情報を浴び、自分の探したいモノにだけピンポイントでたどり着く習性をもう持ち得ていて、だからこそ、逆に「アナログ」が効き目を発揮する時代とも言えます。
ということで、1号はクラウドファンディングにより、制作費を集め、具体的支援者にも出会えました。2号からは「掲載される人がお金を出す」という、参加型、マーケット創造型メディアとして、dが編集して作っていきたいと思います。
これは全く私たちも利益を追求しませんが、経費は明朗化して、興味のある方々を会員組織として、発行していこうと思っています。私たちdはこれまで、d design travelなど、真っ当さを明示化して活動してきました。その説得力をベースに、本当にロングライフデザインなものだけを取材して紹介するメディアにチャレンジしようと思います。それは、実際、私たちdの店としての存続にも関係し、そこで扱わせて頂いている多くのロングライフデザイン商品にも影響していくと思います。