22 d news hotel 2

スキーマの長坂常さんたちと打ち合わせをしているとき、僕はつい「これはデザインホテルみたいですね」といってしまうことがあります。要するに「意図的すぎる」ということです。必然がない造形というか、なぜ、そうなっているのかを説明できないデザインのことを言うのですが、自分で言っていて、面白いなと思うわけです。やがて長坂さんも「これって、デザインホテルっぽいですかね」と、自分のプランを聞いてくる。デザインホテルにはしたくない、でも、デザインをしていく。その僕なりのゴールは「居心地」です。
先日のホウさんが手配してくれたホテルの体験から、「居心地」とは、家具や空間とは関係ないもの。そんな風にも思えています。居心地とは、清潔感と人の思いやりで作られるように思います。そう思うとき、長坂さんたちに求めるのは、とはいえ作っていく空間で、それをどう表現するか・・・・。本当に難しいです。
床はモルタルだとしても、床暖房で暖かいとか、一枚のふかふかのラグが敷いてあるとかも、居心地に関係してくる。加湿器によって適度に加湿された部屋は、やはり、居心地を感じますが、その加湿器が堂々と部屋のどこかに置かれることは僕は嫌です。では、どこに置くか、です。
「居心地」とは「自分の部屋のような」ことでもあり、臭い言い方ですが、「母のような愛」がある空間かもしれない。陽だまりや開放感を感じながら、住居のモジュールで程よく狭い・・・・。究極、人により「居心地」はまちまちです。だから、様々なホテルがあるのは当然です。と言いながら、dのホテルの「居心地」とは、普遍的なものであってほしいと思うのです。そして、「居心地」は「快適」とも似ています。静かで、清潔。大好きなお茶の葉が揃っていて、世話をしてくれるスタッフの顔や名前を覚え、宿泊中、不安なく過ごせる。そう色々と考えていくと、究極は「愛」なんじゃないかと思い始めてきました。最初、座り心地のいい椅子やソファがあるとか思っていましたが、やはり、そういうところに「居心地」はない。「居心地」はそういうもので、簡単に表現、象徴できるものではないと思いました。  つづく