D&DEPARTMENTでの仕事から学んだこと

大学でデザインを学びながら、アルバイトスタッフとして富山店で働いてくれた島田さん。卒業を前に、D&DEPARTMENTで働いた経験を振返りレポートしてもらいました。

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私がD&DEPARTMENT TOYAMAのアルバイトを始めたのは、大学3年の夏のことです。今だから言えますが、履歴書を出したときはまさか自分が採用されるとは思っておらず、私よりもっとふさわしい人が選ばれるだろうなという気持ちが少なからずありました。ですから採用の電話がかかって来たときは、通話が終わった後、夢だったのかもしれない…と母に確認したことを覚えています。

アルバイト初日はお客さまと店長の間を行ったり来たり。緊張でレジさえまともに打てない有様でした。(でもまかないはしっかり食べました。おいしいグリーンカレーだったのを今でも覚えています。)怒濤の初日が終わった後、ほっとして店内を見渡すとなんだか清々しい気分で、新しい事を始める不安よりも、これからしっかり頑張ろうという気持ちに。自分へのご褒美に可愛い鳥の箸置きを買って帰りました。

栃木県の陶芸家・郡司さんの箸置き。すべすべとした鳥の形に一目惚れでした。

 

そこから少しずつ店内のことを覚えていき、dスタッフはなんて忙しいんだ!と思ったこともありました。店内のことはもちろん、備品の用意もスタッフの大切な仕事。とにかく手を動かし、効率的に進めなくてはいけないことがたくさんです。私の最初の目標は、限られた時間で効率よく作業を進めることになりました。

D&DEPARTMENTでは、ご家庭で不要になったショッピングバッグを回収し、ロゴテープを貼って再活用しています。このロゴテープを貼るのもスタッフの仕事。

 

作業を効率良く進めることで余裕ができます。その時間でするべきことを自分で考え、実行できるようになりました。例えばギフト提案。その時期にあったギフトを組み立て、お客さまに提案する。ただ商品を合わせるのではなくて、自分だったらどんなものをあげたいかな、と考えます。そして自分の提案したギフトが購入されると、お客さまの贈り物のお手伝いをさせていただいたと、とても嬉しく思いました。

幸のこわけ、技のこわけを詰めたギフト。年末年始の帰省の時期に合わせて、富山のいいものをおすそわけするのにぴったりです。

 

D&DEPARTMENTにはご存知の通りたくさんの商品があります。そして富山店には、富山の人たちが作った商品が沢山並んでいます。私は富山県出身ですが、最初から知っていたのはほんの一部。D&DEPARTMENTで働き始めて、商品について学ぶにつれ、富山でものづくりに取り組む”人”について知りました。普通に過ごしている中では、なかなか知ることはできませんが、dスタッフとして関わっていくなかでお話しする機会が多々ありました。その中でも印象深いのは、昨年取材させていただき、ブログに書かせていただいたモメンタムファクトリー・orii代表の折井宏司さん。

高岡銅器の着色を手がける折井さんは、現在その着色の技術を活かして、インテリアやファッションへの進出も挑戦されています。伝統の技法を活かし、次々と新しいことへ挑戦する折井さんは、とてもかっこいい富山の職人さんでした。商品が並んでいるだけでは作った人の想いまでは伝わらないけれど、きっと作り手を知ると、その商品にも愛着が湧く。私の2番目の目標は、商品の作り手をお客さまが知るきっかけをつくることになりました。

 

お客さまに作り手のことを伝えるには、まずは自分が知らないといけません。商品のことを知るとともに、作り手の方についても学ぶようになりました。お客さまが商品を手に取ったとき、ほんの少し背を押せるよう、作り手の人柄についてもお話しします。例えば、真鍮を扱った商品を制作している二上。以前、二上の栓抜きを手に取ったお客さまが、デザインがとても素敵なので紐を通してネックレスにしたいと話されていました。

そのとき私が思い出したのが二上代表の二上利博さん。初めてお会いしたとき、まさにその栓抜きに紐を通し、バッグチャームとしてつけていたのです。そのことをお客さまに話すと、やっぱりそういった使い方もできるのね、納得して買って下さったことがありました。作り手自身が使っている姿は商品からは見えませんが、私たちが伝えることはできます。私が知っているエピソードをお客さまへ話すことで、作り手とお客さまをつなげたり、モノを使う楽しさを伝えることができたなら、とても嬉しく思います。

 

一年半と短い時間でしたが、作り手の皆さんと話すこと、お客さまと話すことは、毎日が新しいことの発見でした。ここでしか積めない経験ができたと思います。なにより、dスタッフの皆さんと働けたことがとても嬉しかったです。私はこれから就職して、作り手の立場となりますが、作り手とお客さまをつなげるdスタッフとして働いた経験が、これからの私を支えてくれると思います。