スタッフの商品日記 084 かまどさん

土鍋で炊いたご飯を日常に

誕生
かまどさんは、伊賀焼 窯元長谷園によって、2000年に誕生。「かまどさん」は、8代目 長谷康弘が、父 優磁(7代目)と共に開発。7代目は、ひらめいた事はすぐにメモを取るアイディアマン。食卓・トイレ・お風呂場等、どこにでもメモがあり、ある日、8代目がふと目を止めたメモに、"吹きこぼれなし・火加減なし"の原案があった。8代目は、小さい頃から土鍋で炊いたご飯の美味しさを知っていたが、土鍋で炊くのは面倒で難しいという印象があり、もし、簡単に炊ける土鍋ができれば皆様の食卓で使っていただける。と言う想いから、7代目とともに開発をスタート。伊賀土の持つ蓄熱性を活かし、火加減いらず、余熱で簡単にご飯が炊ける土鍋、吹きこぼれの心配もなく遠赤外線の力でふっくら甘くご飯が炊ける土鍋を目指し、いくつもの壁に当たり、伊賀の粗土ならではの多孔質な素地を活かした炊飯土鍋の完成まで、1,000個もの試作品を作り、4年の歳月をかけ、2000年に「かまどさん」が完成。


かまどさんの魅力
火加減不要で、かまど炊きのようなふっくら美味しいご飯を炊くことができる炊飯用土鍋。熱しにくく冷めにくいという性質を持ち、土鍋で美味しいご飯を炊く火加減の法則(はじめチョロチョロ、中パッパ)を、使い手の腕の善し悪しに関係なく実現出来る。また、二重構造の蓋が吹きこぼれを防ぐので、土鍋での炊飯が初めての方にも安心して使える。


基本の炊き方
1.お米を研ぐ
分量のお米を研ぎ、5分程水切り。

2.浸水する
お米と分量の水をかまどさんに入れ蓋をし、20分浸水。

3.炊く
中強火で炊き始める。※お米の量により火力と加熱時間が異なる

4.蒸らす
火を止め、そのままの状態で20分蒸らす。

5.炊きあがり
蓋を開けて切るように混ぜる。



製作現場の様子


伊賀の土は400万年前の古琵琶湖層と呼ばれる土の層から採取。この土を石膏型で成形。


職人の熟練した技が光る削り出し。石膏型から取り出された粗土の土鍋を丁寧にカンナで削り、鍋底の火に当たる表面積を増やす。直火部分は肉厚成形に仕上げる為、熱をしっかり蓄えて、穏やかに伝え、保温性にも優れている。


水でのばした土を糊にして、「耳」と呼ばれる土鍋の持ち手を付ける。


乾燥


素焼き


乾燥・素焼きを経た土鍋に手作業で釉(うわぐすり)を施す。遠赤外線効果の高い釉薬を使用することで、お米の芯まで熱が通り、ふっくらとしたごはんが炊き上がる。


窯入れ


窯出し


「登り窯」は天保三年(1832年)の創業時から昭和40年代(1970年代)まで稼動していたもので、かつてはこの16の部屋(窯)を焚き上げるには15~20日間を要していた。この大きさ(16連房)の窯で、現存している登り窯は日本ではこれだけと言われている。


つづく産業
後継者や若い人材の不足。また、近年の社会情勢による原材料の高騰。原材料は上がっても価格に転嫁できない状況が続いている。伊賀独自の問題は、陶器の産地は、素地屋・窯屋・商社 と分業で商売が成り立っているところが多いが、伊賀は、商社が無い為、販売の裾野が広がらないという問題もある。


取材時、ナガオカも一緒に展望台へ


つづく仲間
長谷園は、江戸時代 天保3年(1832年)初代 長谷源治が開窯。2022年、長谷園は開窯から190年を迎えた。伊賀の地で、伊賀焼の器や行平土鍋、焙烙などの民具を生産し全国に発信。現在8代目 長谷康弘が社長を務め、伊賀の貴重な資源である伊賀土の特徴を活かし、伝統技術を継承しながら、現在のライフスタイルに合わせた食卓で活躍するモノづくりを目指している。「食卓は遊びの広場だ」をテーマに、土鍋を囲む日本の食卓の楽しさを皆様に発信し、海外の方からも好評を得ている。1832年の創業から、文明とともに進化する暮らしに寄り添い「作り手は真の使い手であれ」の精神のもと、より良いモノづくりを目指し発信し続けている。




陶壁画
長谷園では記念レリーフ(陶壁画)の制作も数多く手掛けている。




つづく環境
多孔質な伊賀土の特性を生かし、「保温」「保冷」の、ecoな提案。
「保温」熱をしっかり蓄える性質があるので、火を切ってからも温かく、余熱で調理が可能。
「保冷」土鍋に十分水を含ませると、外側から水分が蒸発する時の気化熱で鍋内部が冷たく保たれる。アイスペールやボトルクーラー等としても使用可能。


つづく暮らし
取扱説明書の定期的なリニューアルや、パーツ販売など、販売が目的ではなく、愛着のある土鍋を末永く使って頂く為に実施しているカスタマーサービスによるアフターケアの充実。汚れは中性洗剤でおとし、洗った後は水を含みやすい鍋底を上にして、風通しの良いところで十分に乾燥させる。乾燥が不十分だと目詰まりやカビの原因になるので注意。目詰まりを起こした場合は、土鍋の8分目まで水を入れ、重曹を小さじ1杯程度入れて約10分煮立てた後、天日干しをして十分乾燥させる。乾燥させた後、白米でお粥をつくる「目止め」を行う。

パーツ販売はなかなか大変で、同じ規格でつくっていても窯に入れた場所や乾燥の具合によって収縮率が異なる。お客様から三合炊きの上蓋の注文があっても、お持ちの本体とぴったり合わない場合があり、そうするとおいしく炊けない為、お客様に本体の直径を測っていただき、そのサイズに合うものを探してお届けしている。


お気に入りのポイント
火加減不要で、ご飯炊きながら隣でおかず作ったり、台所に立ってる人ならまず失敗しないし、何より美味しい。かまどさんで炊いたご飯と納豆があれば最高。かまどさんで炊いたご飯は、冷凍しても美味しいのが魅力。炊飯以外にも、おでんなど、煮込む系の料理にも使っています。日々のメンテナンスも、炊飯器だとお釜しか洗えない点に比べ、全部洗えて清潔に保てることも長く使っていけるポイント。

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