d SCHOOL「わかりやすいメープルシロップ」レポート

埼玉店第2回目となるd SCHOOLは、緑が豊かな秩父でそこに自生している資源を使い循環させ『伐らない林業』の取り組みをしているTAP&SAP代表の井原愛子さんをお招きして『わかりやすいメープルシロップ』を開催しました。
メープルシロップの産地といえばカナダ、楓のマークが国旗になっていますね。井原さん自身もカナダにホームステイしハンドメイドのメープルシロップ作りを学んできました。まずはカナダでのメープルシロップのお話しや秩父のメープルシロップ作りとの違いについて話してくださいました。

メープルシロップの生産はカナダがメインで世界の70~80%占めています。それでも、純粋なメープルシロップはとても貴重で店頭に並ぶ量はごく一部なんだそうです。そんな中、メープルシロップが日本に輸入される量は以外に多くて約3000トン、世界で第三位になるそうです。

カナダではメープルシュガーは昔から砂糖の代わりに使われたり、保存ができるので冬場の栄養源として食されていました。現代は砂糖の供給が安価に安定してできることから、手間のかかるメープルシュガーは高価ものとなってしまいました。それでも生産量は多いので大手の工場から個人の農家さんまで幅広くメープルシロップが作られています。

秩父では10年ぐらい前からメープルシロップづくりの活動は始まっています。秩父の楓の種類はカナダよりも豊富で21種類あります。そのうちメープルシロップのもととなる樹液が取れる樹種は6~7種類、1月から2月にかけて収穫されます。その時期は春に向けて楓が休眠から目を覚まし根から水分をいっぱい吸い上げ流ので地中の栄養分を多く含んでいるのでミネラル分も豊富です。

ここで参加者皆さんで樹液のテイスティングをしました。樹液は無色透明で香りは無く、味はほんのり甘みがありました。そして少しだけとろみを感じました。

井原さんのオススメの樹液の使い方は樹液紅茶だそうです。あとは焼酎やウイスキー割にも!これは山のおじさん達のオススメです。
樹液の収穫は直径20センチ以上ある木を選んで穴をあけ、直径2センチ程のチューブのようなものを取り付けます。1本の木で1シーズンにポリタンク約20L、個体によっては100L収穫できるものもあるそうです。
楓の木はすべて大切に管理されていて木の状態、枝葉をよく観察し、毎年穴をあける場所や木の個体をかえて収穫します。

山から手作業で集めてきた樹液を糖度2度前後から67度になるまで煮詰めます。
量で言うと40分の1~60分の1になります。煮詰める際の熱源は薪を使用していてガスや電気より風味が豊かになります。これらの加工に使用される機械はカナダから井原さんがとりよせました。薪に使われる木材は広葉樹を使っており秩父の資源を有効利用しています。
次はいよいよメープルシロップの味比べです。メープルシロップといえばパンケーキ!今回ご用意したのはPUBLIC DINERの人気メニューの熊谷産小麦を使って作られているスフレパンケーキをご用意して秩父産メープルシロップ、アンバーとダーク、一般的なスーパーで手に入るメープルシロップの3種類を比べてみました。

参加者の皆さんの感想は『秩父のメープルは上品で雑味のない甘みを感じます』『甘みだけじゃなくて、風味豊か!』『一般のメープルよりも風味を感じる』『ダークは黒糖のような風味』などなどの意見がありました。
メープルシロップのグレードは色の濃さで区別されます。収穫時期によって成分が微妙に違っていて色に違いがでてきます。シロップの糖度は一緒なのに風味は違います。

なんと井原さんは今年できたメープルシロップを携えていざカナダへ行ったそうです!お世話になったメープル農家さんへ秩父のメープルシロップの味を見てもらいました。結果は、、、美味しい!!!でした。カナダ人も認める秩父産メープルシロップ、でもどこか和を感じる風味がやはり純国産を物語っているのかもしれません。

そして秩父の森で生まれたものはメープルシロップだけでなく『キハダ』を使った商品もあります。楓の植生調査の過程でみつけたミカン科のキハダ(黄檗オウバク)、薬効成分があり防虫、抗菌、胃薬、染物などに昔から使われていました。
森の恵みを有効利用するため商品開発をし、苦み成分上手く使いサイダーにしたり、保湿効果と抗菌効果を利用してボディーソープを作りました。キハダの実が入った秘蜜飴もキハダのフレーバーが効いて手軽に取り入れられます。まだまだ、日本薬科大学とともに調査・研究しキハダの可能性をさぐっているようです。

そして、埼玉店でも販売している第3のみつ『秘蜜』ミツバチにメープルシロップ与えたところ成分的には蜂蜜の組成はきちんとあるがメープルシロップに含まれる蜂蜜にはない特有の成分が含まれていることがわかりました。そこで養蜂家の協力のもとミツバチに果汁や野菜ジュースを与えてとてもユニークな第3のみつが誕生しました。秘蜜は普通の蜂蜜よりジュースの持っている成分が上手くプラスされ栄養価が高くミネラル分を多く含んでいます。将来、こうした新しい養蜂が主流になる日が来るかもしれません。
今回、井原さんの活動の色々なことを教えていただき、とても情報量の多い勉強会になりました。未来につながる秩父の森の活動、やりたいことはまだまだ沢山あると井原さんはおっしゃっていました。都心からも近い自然豊かな秩父。ぜひ足を運んでみてください。

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