97: D&DEPARTMENT MIE by VISON

(ナガオカケンメイのメール 7/20より)
国内外12店舗目となる「三重県」のdが今日、誕生しました。僕は冒頭お話した通り、7月は沖縄の月なので、今はここ沖縄にいます。要するに、現場やオープニングに立ち会っていないのです。これにはいくつかの考えがありますが、一番大きいのは「松添新社長体制で作る”新しいd”」を実現したかったのでした。今回の三重県多気町「VISON(美村)」への出店のリードは新社長である松添が進めてきました。もちろん、大まかなアイディアやデザインなどのディレクションはしていますが、そんなことで、僕が出しゃばらないように、挨拶文から、僕は書けと言われても書きませんでした。これはある意味、新しいdとしての時代の始まりだと、ちょっと大袈裟ですが思っています。

僕は大手の開店日から完成された店ではなく、お客さんともちろん僕ら内部の考えとがぐちゃぐちゃになって、一つの形になっていくというのが、本来の「楽しい店づくり」のあり方だと思っています。だから、開業した時は「なんじゃこりゃ」という様子でいいのです。あたたかく見守って欲しいです。もちろん、そこには「人の体温」だけが頼り。システマチックにならないよう、無骨な不器用な人間的なオペレーションでいきましょう。それこそが私たち「d」なのです。

すっかり三重店の話になっていませんが、僕が建築のルフトさんに強くリクエストした場所が写真の休憩ソファです。なんでもそうですが、例えば、百貨店の買い物の楽しみは「休憩」にあります。沖縄の共同売店にも「買わないけど、椅子に座って雑談する」という「ユンタク」という文化があり、買わないなら出て行って、ではない、そういう人たちがいるから醸し出される「居心地」があります。このスペースには本革の上質なシートをお願いしました。買い物している人を眺めながら、なんとなく座ってのんびりしていただく。そういう方々の気持ちのいい時間によって、この拙い駆け出しの店が、みんなから愛される店、場所になっていきますように。