スタッフの商品日記 051   D&DEPARTMENT 角盆

D&DEPARMENTの各店舗には、お買い物できるフロアとは別に、お食事を楽しんでいただいたり、カフェとしてご利用いただける飲食フロアがあります。中でも東京の店舗でお料理やドリンクをお出しするときに活躍しているのが、「角盆」と呼ばれる木製のお盆です。

どんな食器が載っても違和感の無いシンプルなデザイン、絶妙な持ちやすさ、四角いのに角ばった感じがせず、なんとも柔らかい表情を持つお盆…前から気になる存在でした。

工房Arms
角盆は、北海道の旭川市に隣接する東神楽町(ひがしかぐらちょう)にて、大雪山系の山々を一望できる田園地帯で作られています。作り手の青柳さんご夫婦が営まれているクラフト工房Arms(アームス)のテーマは、「暮らしの中でいきるモノ」。デザインから製作まで、お二人で取り組まれています。

指物(さしもの)技法を駆使して作られているのは、小抽斗(こひきだし)と呼ばれる引き出しやトレー、裁縫箱といった木製の生活用品。
指物とは、釘を使わずに、ホゾや継ぎ手などの加工を施してそれを組むという、緻密な技法を用いて作られた木工品のことです。

無垢材の製品は、完成した後も反りやねじれ、縮みといった、木ならではの形状変化が起きる難しさがあります。しかしArmsでは可能な限り無垢材を使用することにこだわっており、そうした変化もあらかじめ想定しながら加工をおこなっています。

また、材をカットした際に出る端材は、ほかの商品の部材用にストックしたり、割れや節が見られる部位は、冬の薪ストーブの燃料にする、カンナ屑などの細かいものは、土や堆肥、微生物等と混ぜ合わせて畑の肥料にするなど、何も無駄にすることはありません。

そしてArmsでは、木が本来持っている魅力や温もりを伝えたいという思いから、あえて着色をしていません。作られた製品を見ると、木の種類によってこんなに色や模様が違うのかと驚き、それぞれの表情に魅了されます。東神楽町の子供たちを対象に木工教室を開くなど、製品づくり以外の場面でも、木の魅力を伝えていく活動を展開されています。

オリジナルの角盆
角盆は、2012年に東京都渋谷区の商業施設「ヒカリエ」内にD&DEPARTMENTの店舗がオープンした当時、日本各地の食材や食文化を伝える「d47食堂」で使うために、オリジナル品として製造を依頼しました。使用する木の種類はブラックチェリーを選びました。これは、使い込むほどに木の色が濃くなっていく、長い年月魅力を楽しめる材です。

飲食店での配膳に使うということで、より多くのものが載せられるよう出来る限り平面を大きくとり、へりの立ち上がり部分は低めに設定されました。また、運び盆としての使い勝手も考え、角やへりなど手が触れる部分では、大きめにR面をとって丸みを持たせていただいています。

お盆づくりの工程
仕入れたチェリー材は、まず荒取りといって、数ミリのあそびを持たせた状態の寸法でカットします。

そこから加工寸法の長さ、幅、厚みに仕上げていき、溝やテーパーをつけるといった、パーツごとの加工をおこないます。

それらのパーツを組み立てたら、仕上げに研磨をおこない、最後はオイルフィニッシュをおこないます。オイルフィニッシュとは、ニスなどを表面に塗ってコーティングする塗装と異なり、木に油を染み込ませることで表面を保護する方法で、テカリなどが出ず優しい雰囲気に仕上がります。

お手入れのコツ
無垢材なので、水分を吸収すると膨張して、反りや割れの原因となります。水洗いは避け、乾いた柔らかい布で、かるく拭く程度にします。直射日光や冷暖房が直接当たる場所、湿気や、逆に乾燥が強いところでの使用も、反りなどの元になるので、使用環境には注意が必要です。なお、オイル成分を溶かしてしまう性質があるため、シンナー、ベンジン、アルコールは使用できません。

お気に入りのポイント
天然の無垢材でできているので、一点ごとに色味や木目が異なるのが魅力。使い込んでいくにつれて経年変化していく楽しみがあります。使用しているオイルの性質により、輪ジミができにくいというのも嬉しいポイント。手に触れる部分すべてに丸みを持たせているので、見た目が優しい雰囲気なだけでなく、手にも優しいです。底面に指がひっかかるようになっているなど、細かい配慮がありがたい。運ぶ時に安定して安心です。

大・中・小と三種類のサイズ展開があります。大は外寸が425 x 310cm、縁の寸法を除くと、物が載る面の大きさは380 x 265cm。ある程度大きいお皿も運べます。

中は外寸380 x 280cm、物が載る面は340 x 240cm。ご飯、お味噌汁、おかずのお皿に加えて、小鉢も収まるサイズ感。2019年に東京店の1階にオープンした「dたべる研究所」では、定食スタイルのお昼ごはんを提供する際に中サイズの角盆が使われています。

小は外寸350 x 265cm、物が載る面は310 x 225cm。軽いお食事用に、ご飯、お味噌汁、小皿を載せて。ケーキ皿とコーヒーカップが載るのでおやつにもちょうど良いです。

どこからどう見ても、丁寧な仕事を感じるお盆。日用品ではありますが、大切に扱いたいと思わせる風格があります。

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